【デュエマの歴史】《BAKUOOON・ミッツァイル》の歴史【振り返り】

こんにちは、神結です。

YouTubeのflatデュエマ工房のチャンネル登録者数が10万人を突破しました。いつも観ていただいてる皆様、新たに観てくださってる皆様、誠にありがとうございます。

さて、直近で更新されていましたGRの歴史シリーズは観ていただけましたでしょうか?

今回はその番外編ということで、《BAKUOOON・ミッツァイル》の特集記事になります。カードの歴史を振り返ろうという、紀伝体的な内容になります。

というわけで早速ですが《BAKUOOON・ミッツァイル》史、始まります。



超天篇第1弾 ~登場~

2019年3月30日に超天篇第1弾「新世界ガチ誕!超GRとオレガ・オーラ!!」が発売されました。

当時は全国大会2018で優勝を果たした【緑ジョラゴン】を中心に【チャンジザドンジャングル】や【赤白轟轟轟】といったデッキがメインの環境でした。

《BAKUOOON・ミッツァイル》は新ギミックであるGRを強力に使えるカードとして、そして前環境で猛威を振るった《Dの牢閣 メメント守神宮》への回答としてデザインされたものと思われます。恐らく最低でも今後1年は使い続けるカードだろうな、と当時は思いました。

そんなミッツァイルは新たな切り札として、【赤白轟轟轟】に搭載されていきます。デッキには新たに《KAMASE-BURN!》や《♪銀河の裁きに勝てるもの無し》が加わり、言うならば【赤白GR轟轟轟ミッツァイル】ともいうべき形へと変化していきます。

4月に行われたGP8thでは、【赤白メタリカミッツァイル】を使用したデデンネが見事優勝。その後GWからは赤白に《Dの牢閣 メメント守神宮》を採用した【赤白ミッツァイル】が大躍進を果たします。

轟轟轟による速攻プラン、メメントによる盤面制圧プラン、《音奏 プーンギ》+《イオの伝道師ガガ・パックン》による呪文メタビート等、取れるプランが非常に多彩なのが特徴で、トリガーの枚数も多く攻守共に隙の少ないデッキでした。

それにしてもGRゾーン、今振り返ってみると可愛いカードたちですね。


超天篇第2弾 ~さらば轟轟轟、そして忍び寄るJの鼓動~

2019年6月22日に超天篇第2弾「青きC.A.P.と漆黒の大卍罪」が発売されます。そして7月1日付けで《“轟轟轟”ブランド》が殿堂入りを果たしました。

轟轟轟を失った赤白は、新弾の《MANGANO-CASTLE!》に活路を求めた構築が生まれた他、新弾の《Wave All ウェイボール》を使った赤青、赤白青のミッツァイルなども作成されていきました。ただこれらは環境で爆発的な支持を集めたわけではありませんでした。

また一方で環境的には《ガヨウ神》を殿堂で失ったジョラゴンの衰退が激しく、《ゴッド・ガヨンダム》や《パッパラパーリ騎士》といった優秀なGRクリーチャーを獲得したもののそれを大量に展開するだけのデッキ的な余力は残っていませんでした。

優秀なGRクリーチャーを使えるジョーカーズ、そしてGRクリーチャーを大量展開出来る《BAKUOOON・ミッツァイル》。

その出会いは必然だったのか、両者を合わせた【赤緑ジョーカーズミッツァイル】がここで登場します。

後に当然のように行われる「GRを12枚全て使い切る」「並べたGRをミッツァイルで破壊して再度使い回す」「GRゾーンの順番を固定出来るようになる」「盤面に平然とミッツァイル数体が並ぶ」などというえげつない行為はこのデッキの完成から端を発します。また《夢のジョー星》による山札の掘削やGRをジョーカーズに固めるギミックなどは、後の【赤青ジョーカーズミッツァイル】にその要素を引き継ぐことになります。

また7月20日には『絶対王者!!デュエキングパック』が発売され、程なく【赤白サンマックス】が登場しますが、このデッキはミッツァイルというよりも《MANGANO-CASTLE!》+《S級原始 サンマックス》に重きを置いたデッキであるので、ここでは省略します。

天災の襲来 ~雌伏の刻~

【赤緑ジョーカーズミッツァイル】の天下はそれほど長くは続きませんでした。

2019年8月9日に「SSS!! 侵略デッドディザスター」が発売。その後わずか1週間で環境は【アナカラーダムド】一色となります。8月17日に山形で行われた超CSⅢでも、上位128名のうち実に49名がダムドを使用しています。

特にミッツァイルは盤面を並べるデッキである都合上、《虹速 ザ・ヴェルデ》+《SSS級天災 デッドダムド》の餌食になりやすく、常に劣勢を強いられることとなります。ダムドの一強とも言える環境が続き、従来の赤白系統は姿を消していきます。

こうしてミッツァイルは暫くは雌伏の時間を過ごすことになるのでした。



超天篇第3弾 ~魔神見参とマナドライブ6~

2019年9月21日、超天篇第3弾「零誕!魔神おこせジョルネード1059‼」が発売されます。

発売されてしまいます

ではここで、ジョルネードの主な収録カードを確認していきましょう。

・《“魔神轟怒”ブランド》
・《ジョリー・ザ・ジョルネード》
・《生命と大地と轟破の決断》
・《DROROOON・バックラスター》
・《魔導管理室 カリヤドネ》
・《スゴ腕プロジューサー》
・《バイナラシャッター》
・《天啓 CX-20》
・《マリゴルドⅢ》
・《ダダダチッコ・ダッチー》
・《解罪 ジェ霊ニー》
・《BUNBUN・ヴァイカー》
・《続召の意志 マーチス》
・《ジェイ-SHOCKER》
・《オケ狭間 寛兵衛》
・《トムのゼリー》
・《*/弐幻サンドロニア/*》

最初は画像を一枚ずつ貼っていこうかと思ったんですけど、諦めました。一瞬指名手配犯リストかなんかと間違えそうですが、要はこれだけの強力なカードが世に放たれたんですね。

【赤単ミッツァイル】はダムドに勝てるデッキとして前環境からそれなりの立ち位置を有していましたが、《“魔神轟怒”ブランド》の登場によってデッキが強化されました。デッキの動き自体は変わらないものの、《“魔神轟怒”ブランド》を捲った時にケア出来るトリガー数が圧倒的に増えたんですね。

そして何より環境に多大な影響を与えたのが【シータミッツァイル】の登場です。

色配分(特に《続召の意志 マーチス》を使うための白の枚数)や、《マリゴルドⅢ》+《ハリケーン・クロウラー》のギミックなど、開発側の苦心と工夫が読み取れるこのデッキ。新弾のパワーカードを惜しみなく投入されており、GP9thの開始前の時点で環境を掌握しました。

特にこれまでのミッツァイルデッキとの大きな違いは「盤面を作っておく必要がない」という点にあります。というのも、《Wave ウェイブ》+《知識と流転と時空の決断》で4体盤面に並ぶので、盤面0からもで即座にミッツァイルを着地させることができるようになりました。しかも場合によっては《マリゴルドⅢ》や《ダダダチッコ・ダッチー》でオマケまで付いてきます。

相手の《無修羅デジルムカデ》などは《オコ・ラッタ》で展開する“ついでに”除去することが可能。さらにミッツァイルから出た《天啓 CX-20》で引いた2枚目のミッツァイルで再展開……などといった犯罪行為が日常的に横行しました。

ハンデスなどにも強く、《知識と流転と時空の決断》、《Wave ウェイブ》、《DROROOON・バックラスター》、《スゴ腕プロジューサー》などトップから引いて解決出来るカードが多量に積まれているのもポイントです。

弱点であったダムドを克服したのみならず、有利にすらなったんですよね。

いやー、下野して力を蓄えるってやべーんですね。

そういうわけで、ミッツァイルは環境のトップに返り咲きます

それでも、この時はまだ強力な対抗策がありました。それが《「本日のラッキーナンバー!」》による「4」宣言です。GRクリーチャーがコスト4に固まっているため、デッキの構造上生まれる必然的な弱点です。そしてこのナンバーを上手く使える【青黒カリヤドネ】が、最終的にGP9thで頂点立っています。

そういった意味では、この時はまだ一応のバランスは取れていたのですが……。

万軍と全能の叡智 ~もう終りで~す~

GP9thも終わった2019年10月19日、「必殺!!マキシマム・ザ・マスターパック」が発売されました。

発売されてしまいました

このパックそのものが強力というわけでもなかったのですが、入っていてはいけないものが2種類ありました。

それが上記の《全能ゼンノー》、そして《“魔神轟怒”万軍投》ですね。

“デュエマの基本ルールが書いているだけ”などど形容されることもあるゼンノーは、マッハファイターが乱舞する環境ではある意味で必然の登場だったのかもしれません。が、何よりの問題はマグナの方でした。

まず素が6コストということで、ブースト2回から撃てるもっとも強力なカードということで、当然のように【シータミッツァイル】に採用されていきます。

そして「そのターン中に手札を捨てた分だけコストが2下がる」などという訳の分からない効果により、1コストのルーターと合わせれば最速3ターンで撃つことが出来るのが、このカードです。

はい、もうお分かりですね。

最速3ターンキルが可能な【赤青ジョーカーズミッツァイル】が誕生してしまいました。

ギミック的には前述の【赤緑ジョーカーズミッツァイル】の系譜を受け継ぎながら、ルーター+《“魔神轟怒”万軍投》によって赤緑より1ターン早いキルを実現してしまいました。

「最速3ターン」というと「よっぽど上ブレればの話でしょ」となりがちですが、このデッキに於いては結構な割合(3割くらい)で3ターンキルが可能であり、そうでなくとも4ターン目にはほぼほぼミッツァイルが着地するというのが基本的な動きです。

トリガーケアに関しても《ジェイ-SHOCKER》が非常に強力で、とりあえず「4」をJトルネードさえしておけば大凡負けなかったんですよね。

ちなみにルーター+《“魔神轟怒”万軍投》のギミックに気付いたプレイヤーは当然多く、聞いた話によればマキシマム・ザ・マスターパックの発売日には既に全国3~4箇所くらいで同時にこのデッキが使用されていたそうです。「【赤青ジョーカーズ】はデザイナーズデッキ」なんて話もまことしやかに囁かれましたが、まーそんな訳はない

そして何より問題だったのは、この赤青とシータが同時に環境に存在したことです。

例えば、赤青はハンドコンボギミック的な要素があるため【ドロマーハンデス】系統のデッキには比較的不覚を取ります。ですが、シータはハンデスには負けません。

もしミッツァイル以外のデッキでミッツァイルに勝つためには、赤青とシータに同時に勝てなければいけません。

これを満たしうるのはせいぜい【青黒カリヤドネ】くらいで、ヤドネ自体も赤青にはお世辞にも有利とまでは言えませんでした。

(これ、元ネタは超人戦隊バラタックってアニメの最終回のサブタイトルです)

また追討ちのように11月16日には「ガチヤバ4!無限改造デッキセットDX!!」が発売。《無限合体 ダンダルダBB》を手にしたことにより、両ミッツァイルは最終形態へと移行します。

この辺りからミッツァイルに対する明確なヘイトも目立つようになり、YouTubeにはミッツァイルに対する怨嗟の声が溢れ、サムネにミッツァイルを入れると動画の再生数が露骨に落ちる(というか、対戦動画自体の再生数が落ちる)という現象も起こっています。

みんな気付いてるんですよね。どんなデッキを紹介しても「でもそれミッツァイルに勝てなくね?」という。

これは《Wave ウェイブ》軸のシータミッツァイル。

こっちは《グレープ・ダール》+《エモG》型のシータミッツァイル。

こちらは最終形態の赤青ジョーカーズ。

この辺りのリストの解説は、本ブログにも記事が残っておりますので、そちらも参考にしてみてください。

シータミッツァイル概要

赤青ジョーカーズミッツァイル概要



さらばミッツァイル! とはいかず……

さすがにやらかしたと思ったのか、或いは本格的なユーザー離れが現実的になってきたのか。

2019年12月19日のコロコロチャンネルの配信おいて《BAKUOOON・ミッツァイル》の殿堂が発表されました。ちなみに当時、エリア戦で《BAKUOOON・ミッツァイル》のプロモが配られている時期でもありました。

最低でも今後1年は使うだろうと考えていたカードが、まさかの1年も保たないという結果に終わってしまいました。とはいえこの発表は流石に好意的に受け取るユーザーが多く、公式サイドもホッと胸を撫で下ろしたことでしょう。

 

こうして2020年1月1日の新殿堂施行をもってミッツァイルは1枚制限となりましたが、それでも相変わらず使われ続けております。

ご存じ【4cデイヤーループ】ですね。このデッキにおいてはデイヤーの5枚目として、そして貴重なSA生成カードとして大きな役割を担っております。というわけでミッツァイル、まだ現役です。

さて先日、クリエイターズレターにて「GRは失敗だった」というニュアンスのことが記載されていました。

いや、まあそれはみんな知ってるんですよ。一時のユーザー離れを招き、プロモーションカードとして配っているカードを殿堂させざるを得なかったわけで。これは決して成功だったとは言いにくいでしょう。

ですが現実として、《BAKUOOON・ミッツァイル》は生まれました。

そういう意味では「何故ミッツァイルを刷ってしまったのか」、より正確には「何故ミッツァイル刷った後に天啓やマリゴルドを刷ってしまったのか」「何故ヨミジが生まれてしまったのか」といった、開発メカニズムが知りたかったんですよね。そして今後同じ過ちを犯さないために、どういった対策を導入するのかという点も含めて発表して欲しかった、というのが個人的な本音でした。

まあこの辺りは企業秘密になってしまうかもしれないので、リリース出来ない内容なのかもしれません。そもそもクリエイターズレターのリリース自体が、かなり勇気ある決断だったとは思っています。

これは予想ではありますが、今夏の新殿堂にてある程度GRクリーチャーの殿堂或いはプレ殿が発表されるのではないでしょうか。

というわけで、《BAKUOOON・ミッツァイル》の歴史でした。

《BAKUOOON・ミッツァイル》の歴史はまさにGRの歴史で、1年間の環境の変遷やデッキ開発の動き、そしてGRクリーチャーの変化などを読み取っていただければ幸いです。

 

参考文献(2020/04/08閲覧)

デネブログ

DMGP8th DAY2:TOP8デッキリスト 2019/04/14 公開

TIGHT『赤白ミッツァイル紹介記事&プレイメモ』 2019/06/11 公開

ユーリ『【ユーリ】赤緑ジョーカーズミッツァイル解説【デッキ解説】』 2019/7/26 公開

山形超CSⅢ:決勝ラウンド メタゲームブレイクダウン 2019/8/17 公開

DMGP9th:決勝ラウンド メタゲームブレイクダウン  2019/10/5 公開

DMGP9th:TOP32デッキリスト 2019/10/5 公開

全国大会2019 九州エリア予選:TOP16デッキリスト 2019/11/30 公開