【カバレージ】工房スペシャルトーナメント勝者側1回戦ナカジマ vs. MGR

「グランピング」という言葉があるらしいことを、恐れ多くも筆者はこの時初めて知った。

曰く「グラマラス」と「キャンピング」を合わせた造語らしく、宿泊施設に寝泊まり出来るキャンプのようなものらしい。要するにテントを貼ったり自分たちでキャンプセットを用意したり……といった煩わしさから解放されてキャンプを楽しむことが出来るのだ。

そんなわけで去る7/12、flat-工房メンバーは社員旅行的イベントということで、グランピングに来ていたのである。

社長を始めとした社員一同の日頃の行いが祟り生憎の雨ではあったが、それでも止んでる時間もそこそこあったため、幸いスケジュール自体に大きな問題はなかった。

そんなグランピングの中で用意されていたイベントが、「工房スペシャルトーナメント」と呼ばれる社内大会だ。これはつまり、工房の社員やバイトたちが全員参加するデュエマトーナメントで、優勝と最下位を決めるのである。一応、賞品もある。罰ゲームもある。

筆者はというと、今回はカバレージを書くためにトーナメントには参加してない。

え？　なんでこんなイベントにカバレージがあるのかって？　いや、わからない。わからないけどあるんだ。なんならグランピングの2ヶ月くらい前から、グランピングの詳細は知らなかったけどカバレージを書くことだけはちゃんと決まってたんだよね。

……まぁ実際、カバレージってこういうイベントで書くの結構向いてると思うんだよな。みんなカバレージってお堅い文章をイメージするかもしれないけど、カバレージってもっと自由で結構好き勝手にやっていいものだと思ってるんだよね。

そんなわけで、トーナメントの1回戦が始まる。筆者の眼前に座っているのは、ナカジマとMGRだ。ナカジマは秋葉原店の社員で、MGRは富山の方の従業員である。このイベント、秋葉と富山が一同に介している。写真、撮っておけばよかったな。

さて、両プレイヤーの簡単プロフィールを紹介しておきたい。ナカジマは2016年の全国大会にも出場したことのあるプレイヤーで、比較的中速系の安価なビートダウンを好むプレイヤーだ。最近だと【赤黒邪王門】をずっと触っていたようだ。

もっとも、実績の話で言えばMGRの方が数段上であろう。2014年度全国王者で、二度の全国大会出場経験を持つ北陸No.1プレイヤーといって差し支えない。2019年度ランキングでは、なんと脅威のCS優勝11回を達成している。倍率などの関係もあって全国出場ラインには届かなかったが、この優勝回数を超えているプレイヤーはランキング2位のユウキングと同3位のランディーだけである。

もっとも、コロナ情勢下ではそこまでデュエマはプレイしていなかったようだ。

「オレ、今のカードは値段しか知らないかも」

MGRがそんなことを言いながらデッキをカットしていた。そのままナカジマと軽く雑談を交わして、やがて試合が始まる。

先攻：ナカジマ

先攻を取ったのはナカジマだった。そして、いきなり動く。1マナで《ヘルコプ太の心絵》をプレイし、《晴舞龍ズンドコ・モモキング》を回収する。何やら、怪しいカードたちである。

対してMGRがチャージしたのは、《アクア・ベララー》。この男、とかくハンデスコントロール系のデッキが好きなのだ。全国大会2014でも《至宝オール・イエス》を使って優勝しているのである。

一方でナカジマは2ターン目はマナ加速を進める。ブーストしてマナに落ちたのは、《神羅ケンジ・キングダム》。何やら、怪しい予感は正しかったらしい。

カードの値段しか知らないMGRはケンジの効果を入念に確認すると、マナチャージから2コストで《特攻人形ジェニー》を召喚。手札から《The邪悪寄成ギョウ》が落とされる。

両者とも、真剣な表情だった。正直お祭りワイワイガヤガヤイベントになると思っていた筆者としては、やたら真面目な進行をしているゲームに困惑しているところである。

ナカジマは続くターンで、盤面のタマシードを《晴舞龍ズンドコ・モモキング》に進化させる。怪しいコンボデッキの匂いを感じたMGRは、返しに再び《特攻人形ジェニー》を召喚してハンデスを行うも、ナカジマの手札から落ちたのは《神羅ケンジ・キングダム》。

先ほどテキスト確認を行った際にわかっているが、このカードはなんと墓地から召喚出来るとか書かれている。

そういうわけで、ナカジマの動きは当然の《神羅ケンジ・キングダム》の召喚だ。

いまいちど、効果を確認しておきたい。

このクリーチャーを自分の墓地から召喚してもよい。

究極進化：進化クリーチャー１体の上に置く。

W・ブレイカー

このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から３枚を墓地に置く。その後、その３枚の中からクリーチャーを１体出す。

このカードで墓地から出せるのは、「このカードの効果で墓地に落とした3枚のカードの中のクリーチャー」だ。先ほど《特攻人形ジェニー》で落ちた《The邪悪寄成ギョウ》は出せない。

そんなわけでナカジマは山上3枚を気合いを込めて墓地に置く。その中にあったのは……《終末の監視者ジ・ウォッチ》！

T・ブレイカー

このクリーチャーが召喚によってバトルゾーンに出た時または攻撃する時、クリーチャーを２体まで選び、持ち主の手札に戻す。

相手のクリーチャーがバトルゾーンに出た時、または相手が呪文を唱えた時、ターンの残りをとばしてもよい。

このカード、今年の全国大会を見ていた人ならよく知っているだろう。ぴゅうくんが全国大会のアドバンスで使用し、上から引いておんそくさんを粉砕したあのカードである。

というわけでターンはまだ先4。盤面はなんかヤバいカードによって支配されてしまったのだった。

ターンが返ってきたMGRは、《終末の監視者ジ・ウォッチ》の効果を読みながら、入念にルールを確認する。

「これ、《有象夢造》で出てきたクリーチャー効果までは使えるよね？」

ターンプレイヤーの待機している効果は全て解決されるため、問題ない。それを確認して《有象夢造》を唱える。

効果で墓地に捨てられた《コオニ弁天》と《悪魔妖精ベラドンナ》が蘇生し、それぞれの効果を使った後に《終末の監視者ジ・ウォッチ》でターンが飛ぶ。

……なお、ナカジマのマナには《超神羅ギュンター・ペガサス》が存在している。

一応、念のため、テキストを確認しておこう。

このクリーチャーを自分のマナゾーンから召喚してもよい。

究極進化MAX：究極進化クリーチャー１体の上に置く。

T・ブレイカー

このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から３枚までマナゾーンに置く。その後、クリーチャーを好きな数、自分のマナゾーンから出す。これらのクリーチャーが出ることによって起こる効果はすべて無視する。

当然、出せば勝ちと書いてある。そして場にはしっかり、《神羅ケンジ・キングダム》が残っている。

するとMGRが、こんなことを口走った。

「オレ、このために3日調整したからね？」

そう、MGRのデュエルマスターズに対する姿勢はやはり真面目そのものなのだ。生半可なデッキや練度で挑みたくはなかったのだろう。このハンデスも、しっかり調整した賜物。「カードの値段しか知らない」なんてのは、嘘だったのだ。

こうした姿勢こそが彼を北陸No.1プレイヤーに、そして全国優勝に導いたのだろう。

……もっとも、そうした努力が必ずしも報われないゲームであることは、筆者も含めてここにいる3者はよ～～～～～～～く知っているわけで。

「じゃあ《超神羅ギュンター・ペガサス》を召喚しま～す」

こうしてMGRは、跡形もなく粉砕されてしまった。

Winner：ナカジマ

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