こんにちは、神結です。
キーワード能力解説、今回は「マナ武装」になります。
能力
マナ武装は2014年の「ドラゴン・サーガ」から登場した能力です。
例として、《理英雄 デカルトQ》を紹介します。
- ブロッカー
- マナ武装 7:このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンに水のカードが7枚以上あれば、カードを5枚まで引いてもよい。
- このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、手札を1枚、新しいシールドとして、自分のシールドゾーンに裏向きにして加えてもよい。そうした場合、自分のシールドをひとつ選び、手札に戻す。ただし、その「S・トリガー」は使えない。
- W・ブレイカー
マナ武装n(nは任意の数字)と表記され、特定の文明のカードがマナゾーンにn枚あるときに起動する能力となっています。
任意とは書きましたが、ドラゴン・サーガ内では基本的には3,5,7のサイクルが各文明に収録されています。《暴龍事変 ガイグレン》と《不敗英雄 ヴァルハラ・グランデ》だけはマナ武装9だったりします。(ちなみにマナ武装2というサイクルも革命編で登場しましたが、スルーして大丈夫です)
ドラゴン・サーガは相当な単色推しのシリーズです。各文明が相争うというストーリーなのですから、それもそうなるのでしょう。それぞれの文明が争ってるのに多色とか出てきたら「いやお前の実家何処だよ」みたいな話になりかねませんからね。
とはいえ、これまでの環境は【赤単速攻】みたいな速攻デッキでもない限り、単色デッキが使われることはそうそうありませんでした。
なんとかみんなに単色デッキを使って欲しい。でも、単色デッキは強くなりにくい……。
そんな問題を解決すべく開発側が考え出したのが、この「マナ武装」というシステムなのでしょう。
要するにデッキに縛りを与える分、効果を強力にしたのです。多色マナ武装3であれば《雪精 ジャーベル》のような初動として優秀な能力、マナ武装5であれば《爆霊魔 タイガニトロ》のようなゲームをより有利にする能力、そしてマナ武装7は《二刀龍覇 グレンモルト 「王」》のようなゲームを決める……という風に設計されているのでしょう。
そして実際、マナ武装を持つカードは環境でも活躍しました。ドラゴン・サーガから革命編前後にかけては実際に【黒単ヘルボロフ】などの単色デッキや【赤緑モルトNEXT】のような準単色デッキの活躍する時代が到来します。
多色カードが多数登場したその翌々年(革命ファイナル)では「多色マナ武装」などの派生も登場しました。
プレ殿となった《裏切りの魔狼月下城》や、現在プロモカードとなっている《獅子王の遺跡》など、お馴染みのカードも多いですね。
マナ武装、お前、いい子ではないな……?
この「マナ武装」をもう少し深掘りしていきましょう。
まずこのマナ武装ですが、マナ武装3であれば3マナの時に使いたい能力ですし、5なら5マナ、7なら7マナ……といった具合に、マナカーブ通りに使えることが求められます。
無駄なマナは基本的には許されません。ですので、単色かそれにかなり近い準単色くらいのデッキでないと基本的には腐る能力となるでしょう。
……この時点で、豊富なブースト手段を持つ緑以外のデッキだと相当苦しい構築が要求されます。【黒単ヘルボロフ】は《ボーンおどり・チャージャー》や《龍覇 ニンジャリバン》+《龍魂遺跡 グリーネ》、【赤緑モルトNEXT】は《フェアリーの火の子祭》、【白単天門】は《天星の玉 ラ・クルスタ》という回答を持っていましたが、火の子はともかくとしてそれぞれ癖のあるブーストです。《ボーンおどり・チャージャー》は《爆霊魔 タイガニトロ》くらいしかマナカーブが合わないし、ラクルスタは先攻だと役に立たないケースも多い。
特に当時3コストチャージャーを持たなかった青は割と悲惨でした。青のマナ武装カードでもっとも使われたのは《術英雄 チュレンテンホウ》と《英雄奥義 スパイラル・ハリケーン》。前者は基本的には《薫風妖精コートニー》+《妖精の裏技ラララ・ライフ》のオプティマスループという染色での達成、後者は《電脳鎧冑アナリス》や《怒流牙 佐助の超人》の登場を待たなくてはなりませんでした。
マナ武装を使う構築が如何に困難か、という部分についてはまず承知いただけたと思います。
基本的にデュエマは複数カラーを混ぜたデッキの方が幅広く戦術を取れますし、文明の弱点を補完できます。単色デッキは赤単くらいわかりやすい主張がないと厳しい。
ですのでこのマナ武装には代償に対しての相応なパワーを求められることになります。
その点で言えば、「活躍したカードもあるし活躍を見いだせなかったカードもある」ということになります。もちろんこれはどの能力もそうなのですが、「代償に比べたら効果がしょっぱい」カードは山ほどありました。
例えばドラゴン・サーガの第1弾で登場した7マナでマナ武装7の「英雄サイクル」は、環境で使用されたのはせいぜい《護英雄 シール・ド・レイユ》が【白単天門】で使われたくらい。《理英雄 デカルトQ》は代償に対してゲームに勝てません。《牙英雄 オトマ=クット》などは中々ユニークかつ強力な効果に見えますが、こっちはデッキの縛りが厳しくて結局使用されていません。他2つはシンプルに弱いです。英雄としての覚悟、足りてるか?
しかしその一方で多数の強力なカードも登場しています。
中でも有名なのが、赤のドラグナーサイクルでしょう。
マナ武装7で超次元を好きに展開できる《次元龍覇 グレンモルト「覇」》、1枚でゲームエンドに迎える《二刀龍覇 グレンモルト 「王」》、そしてお馴染み《超戦龍覇 モルトNEXT》です。コイツは赤のマナ武装とドラゴンマナ武装という2つのマナ武装がありましたが、両方の条件を達成することで真の力を発揮します。
……あれ、これドラグハートがいかれてるだけじゃ?
いやいや、落ち着こう。
《雪精 ジャーベル》なんかはマナ武装界隈でも相当使用されたカードでしょう。特に【緑単サソリス】や【緑単ジャック】などではデッキに抜群の安定感をもたらし、《龍覇 サソリス》や《龍覇 マリニャン》といった後続のドラグナーを大いにサポートしてくれました。
……やっぱりこれ、ドラグハートがいかれてるだけなのでは……?
そう、なんせこの能力はドラグハートとかいう歴代屈指のぶっ壊れカード群をサポートしていた能力。その故あって、単体での評価が極めてムズい~~~~~~!!
もう少し、考察していきましょう。
マナ武装で活躍したカードの多数は、単色デッキです。【イメンループ】の《爆轟 マッカラン・ファイン》のような特殊なパターンもありますが、あれは《龍覇 イメン=ブーゴ》が特殊な効果を持っている故なので、前述したオプティマスの《術英雄 チュレンテンホウ》と同じです。
一見関係なく汎用トリガーに見える《古龍遺跡エウル=ブッカ》や《魔狼月下城の咆哮》なども、結局使われたのは【緑単サソリス】や【黒単ヘルボロフ】といったデッキ。それ以外の単色のデッキでは使われなかった、というより単色のまともなデッキが中々登場しませんでした(ヘルボロフ登場以前に【黒単次元】と呼ばれるデッキがありましたが、結局消えていきました)。
……つまり、実は単色デッキを成立させていたのはドラグナーとドラグハートであって、マナ武装ではないやないか~~~~い、という話の可能性が高まってきました。つまりめっちゃ強い「ドラグハート」とでも組み合わせない限り、単色デッキで輝いたのってやっぱり速攻系くらいに限られてしまう、そんなことを示唆しています。
ドラグナーの1枚も入っていないデッキで活躍した単色のマナ武装持ちカードは、【赤黒バスター】の《龍友伝承 コッコ・ゲット》、【赤黒ドルマゲドン】で採用されていた《爆霊魔 タイガニトロ》、【3軸ベアフガン】の《雪精 ジャーベル》くらいだったのではないでしょうか? ベアフもまぁ、速攻だしな……。
さて、デュエルマスターズに限らずTCGプレイヤーは多様性があることを望んでいます。ですがこのマナ武装は結局、2つの意味で多様性を損なわせています。
1つはこれまで散々述べてきた通り、代償が大きくてデッキ構築が困難だったこと。
そしてもう1つですが、「その代償を乗り越えて成立したデッキがヤバすぎて環境から多様性を失わせたこと」です。
マナ武装+ドラグナーを使った【黒単ヘルボロフ】や【赤緑モルトNEXT】は環境を随分と長く支配することになりました。
おいおいNEXTはともかくお前ヘルボはイメン、天門と三強だったって前に書いてたやんけ! 環境デッキ複数あって多様やん! って思った方がいるかどうかは知りませんが、あらかじめ言っておくと「三強環境」も「多様性がない」ことも事実です。
逆に三強環境で他に頑張ってたデッキ、何か聞いたことありますか? モルトNEXTとか赤単ガトリングとかに限られていませんでしたか?
そう、上が強すぎて環境外から食い込む余地って殆どなかったんですよ。あらゆるデッキは、こ三強のいずれかに大きく不利をつけられていたために「それ以外の誰か」がCSで優勝する、なんてことはほぼありませんでした。これって多様な環境なんですかね? 実は一強環境より二強とか三強とかの方が環境外デッキはノーチャンなんですよ。
さて、少し話は逸れましたが、まとめるとこんな感じになりそうです。
マナ武装は、その代償があまりに大きかった。様々なデッキが作られることはなかった。その代償を受け入れられるほどの強力なカードも複数作ったが、逆にそれは環境を支配しすぎてしまった。結果、やはり環境は多様化しなかった。黒単ヘルボロフは環境を半年近く、モルトNEXTに至っては複数年に渡り環境を支配してしまった。
そういう意味では、「よ~し、多様なデッキで使ってもらえるなマナ武装を作るぞ~~~~~~!」と開発が意気込んだもの必然と言えるでしょう。
こうして作られたのが多色マナ武装ですが、こちらもこちらで使うのは結構難しかったんですよね。《裏切りの魔狼月下城》はテキストが判明したときから「バグっぽいカード」とわかってはいましたが、実戦で活躍するには数ヶ月の期間を必要としました。やっぱり、条件が厳しいんですよ。結局「多色を目一杯使う」からは逃れられなかった部分もありますし。
そんなわけで、開発はもう一度「よ~し、今度こそは多様なデッキで使ってもらえるなマナ武装を作るぞ~~~~~~!」と意気込んだのだと思われますが、それは次回の解説としましょう。
一体何の能力が出てくるんでしょうかね? ワクワクが超天して身体中からエナジーが湧いてくるし、胸のマリ鼓動も高まってきました。
評価
というわけでマナ武装としての評価は難しいですが、強さで言えば10点中6点くらいで如何でしょうか。
能力に関しては、代償を払っているだけの強さを持ったカードも多いです。しかし、その代償はさすがに厳しいものがありました。
極めて強力なカードも多かった中で、デザイナーズの普及には成功したもののそこから先の多様性という部分に関しては課題を残した……決して失敗ではなかったものの、「大成功」だった能力ではなかったでしょう。
能力を評価するというのは難しく、人によっての評価軸も様々です。
この記事を読んでいる読者諸氏は、カードゲームのオタクも多いことでしょう。是非、この記事を発端としてあれこれ考察してみてください。それがカードゲームの理解に繋がっていくかもしれません。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう。
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