【デュエマ】GP3rdのお話【GP振り返りシリーズ】

こんにちは、神結です。

突然暑いです。東北育ちの自分は「仙台は涼しくて羨ましい」みたいなことを言われる度に「いやいや東京の方に比べたら涼しいのかもしれないけど住んでるこっち側からするとめちゃくちゃ暑いから関係ねーよ」とか思っていたんですが、今だとまあ言いたくなる気持ちもわかります。夏はギルティ。

ところで「夏は」って書くと「夏葉」って変換されるんですね夏葉といえば当然有栖川夏葉さんの話になるんですがよくダンベル君主論がネタにされるんですけど結局彼女の本質ってダンベルを持ちながら君主論を読むことではなく自身への期待と妥協無き努力する姿勢でそれだからこそ高いとこに目標を置くし時に他人にもそれを要求することもあるんですがそれはともかくめっちゃ顔良くないですかこの御人。

 

まあそれはともかく、今回もGPの振り返りをやっていこうと思います。

今回は2016年秋に開催されたGP3rdになります。

それではいってみましょー!



GP3rdの基本情報

開催日:2016年9月19日

会場:神戸国際展示場

本戦参加者:約2000人

プロモ
TOP8:《偽りの王 ヴィルヘルム》
TOP64:《クリスタル・メモリー》
参加賞:《白骨の守護者ホネンビー》

GPも3回目にもなりましたが、遂に関東を離れて関西での開催となりました。この時は神戸です。淡路島のタマネギが食べられるイベントがあったような記憶があります。主催はフルコンプさん。

以降、GPは東西で年に1回ずつ開催されることになります。

ところで開催日の9月19日ですが、実はこの2日前に「革命ファイナル 第2章 世界は0ゼロだ!! ブラックアウト!!」が発売されてるんですよね。

そして何を考えたのかが逆にわかりやすいのですが、この新弾のパックが使えるというのがGP3rdのレギュレーションでした。

これは流石にTwitterも荒れました。例の通り、全カードリストが公開されたのは前日の夕方です(一応この頃は前日の夕方でもかなり早い方だった)。プレイヤーはたった2日で強いデッキを作る必要がありました。ここまでいくと、新弾を使って強いデッキを作れるかはもう運ゲーの類いです。

更に更に、よりによって新弾には《禁断機関 VV-8》や《時の法皇 ミラダンテXII》という「そりゃ強いのはわかるんだけど、短期間でデッキにするの難しくないか?」というカードが目玉でもあったんですよ。

結局当日の生放送中にもこの点については公式側も謝罪的な言葉を述べていて、以降は「発売日直後にGPやるよ」みたいなのはなくなりました。

またもう一つ補足ですが、予選の数が全9回戦になりました。これまでは1敗であっても予選落ちをするケースが必然的に発生していたのですが、GP3rdからは2敗プレイヤーでもオポーネント上位だと決勝ラウンドにいけるようになっています。

 

トッププロモはお馴染み《偽りの王 ヴィルヘルム》です。ここに来て初めて刃鬼パーツではなくなりましたが、「大型の強力なクリーチャー」というこれまでの傾向的に、それほど意外といった印象は受けませんでした。

ちなみにTOP64プロモの《クリスタル・メモリー》はご存じ《水晶の記録 ゼノシャーク》がいますし、《白骨の守護者ホネンビー》に至っては「そんなカード、使う時代もあったなぁ……」といった感じになってしまいましたね……。

 

ところで今大会は特に「チーム」というものが注目された大会でもあったと思っています。

何せこの年の夏は、関東を中心に活動していた「Heaven’s Dice」の最盛期でもありました。♦斎藤を中心としたバスター研究の進展は凄まじく、関東なら何処のCSへ行ってもダイスの誰かしらは入賞している、といった状況だったんですよね。彼らの活躍を見てそれに憧れ、チームを結成したコミュニティも多かったと思います。

そしてGP3rdでは同じく関東で活躍していた「原一派」と協力してデッキを開発し、ある一つのアーキタイプを持ち込むことになります。

またこの年の春には愛知県で初のデュエマ専門店である「カードショップWINNERS」が開店。愛知の方ではこの店を中心としたコミュニティが成熟しつつありました。

そして“WINNERS勢”と呼ばれた彼らもまた、環境を激震させるアーキタイプを密かに練り上げているのでした。

事前メタゲーム予想

まずGP2nd以降の環境の話をしていきましょう。

《蒼き団長 ドギラゴン剣》の登場によって、これまでの環境デッキはほぼ一掃されました。

特に《蒼き団長 ドギラゴン剣》+《勝利のアパッチ・ウララー》のセットは、アパッチから《勝利のリュウセイ・カイザー》or《アクア・アタック<BAGOOON・パンツァー>》or《紅蓮の怒 鬼流院 刃》を用意できるため6打点を容易に生成でき、この時点で対戦相手にトリガーを要求しています。ちなみに《光牙忍ハヤブサマル》は《紅蓮の怒 鬼流院 刃》の効果によって、防御手段としてそれほど信用出来るものではなくなりました。

そしてバスターを使うデッキの中でも、特に強力だったのが【デアリバスター】【赤黒バスター】です。

デアリは《神秘の宝箱》のような優秀なブースト基盤と《ディメンジョン・ゲート》のようなサーチ、そして《フェアリー・ギフト》という早出しカードを持つことから《蒼き団長 ドギラゴン剣》というカードを極めてシンプルかつ強力に使うことが出来る優秀なデッキでした。

端的に言えば「安定して」「最速」で走れるのが、このデアリバスターの特徴になります。

(デッキサンプル -デアリバスター)

 

一方の赤黒バスターは《ボルシャック・ドギラゴン》のパワーが高く6点パンチを比較的受けやすいことから受けの強いデッキとして台頭します。ちなみに《一撃奪取 トップギア》を使うリストと《龍友伝承 コッコ・ゲット》を使うリストの2パターンがありましたが、この時点ではギア派の方がやや多かったという印象です。

速度を捨てる代わりに「防御力」を確保したのが、この赤黒バスターというわけです。

(デッキサンプル -赤黒バスター)

というわけで2種のバスターによる殴り合いの環境が続いていましたが、対抗馬としてそれなりに存在感を発揮していたのが【ドロマーハンデス】【緑単サソリスループ】【天門ループ】【赤黒デッドゾーン】【青白サザン】辺りですね。

【ドロマーハンデス】は《ブレイン・タッチ》の登場や《オリオティス・ジャッジ》の採用によってバスターに対して一定の勝率を保つことに成功し(有利とは言ってない)、【緑単サソリス】も特にデアリに対しては《古龍遺跡エウル=ブッカ》を踏ませてさえしまえば勝つことが出来る対面でした(有利とは言っていない上に赤黒の《ウソと盗みのエンターテイナー》や、コッコゲット型で採用されることの多かった《メガ・マグマ・ドラゴン》がかなり重い)。

【天門ループ】についてはデアリが《解体人形ジェニー》を採用したことで怪しくなり、加えて何故か《蒼き団長 ドギラゴン剣》から《音精 ラフルル》を出せるというバグが存在したため比較的苦戦を強いられる対面となっておりました(当然有利ではない)。【青白サザン】は《制御の翼 オリオティス》や《タイム3 シド》などを引ければ充分戦えますが(有利とは言ってない)そもそもの素のデッキパワーが低く、【赤黒デッドゾーン】に至っては《メガ・マナロック・ドラゴン》が重すぎてそもそもバスター系には不利(サザンとかハンデスとかをボコせてしまうので、Tier2以下のデッキには異様に強かった)という有様です。

殴るデッキを考えれば全てバスターの劣化になり、そうでないデッキを考えるとほぼ全てのデッキがバスターに不利が付く……この年の夏はそんな環境です。

余談ですがこの頃の私は刃鬼を使っていました。上記した全てのデッキに不利が付いています。なんで使ってたんだ?

 

というわけでバスター同士でメタが回るような状況でしたが、GPも迫る9月に大きな変革が2つありました。

まず1つ目に新殿堂の施行がありました。

対象となったのは《フェアリー・ギフト》、《邪帝遺跡 ボアロパゴス》、《フォース・アゲイン》の殿堂、そして《次元流の豪力》のプレ殿でした。

デアリがデッキの大きな主張点である《フェアリー・ギフト》を失った他、サソリスが(ボアロ1本はともかく)《次元流の豪力》のプレ殿という大きなダメージを受け、また天門やマークロ等のループ系も《フォース・アゲイン》を失う格好となりました。

ちなみに赤黒バスターは無傷です。

そしてもう一つは、先に書いた「世界は0ゼロだ!! ブラックアウト!!」が発売されたことです。

この弾は先に書いたように《時の法皇 ミラダンテXII》や《禁断機関 VV-8》といったカードが目玉だったのですが、ちょっとヤバ目のカードが1枚あったんですよね。

《フェアリー・ギフト》、お前さっき殿堂した筈では!?

どうみても《メガ・マナロック・ドラゴン》と一緒に使ってね、という性能をしています。

色の配分上デアリバスターにはちょっと採用が微妙ですが、このカードを違和感なく投入出来るデッキがあったような……?

こうして直前に2つの大きな変化があったお陰で、【赤黒バスター】が絶対王者として君臨することが予想されました。

また殿堂で弱体化を免れた【赤黒デッドゾーン】や、《時の法皇 ミラダンテXII》を手にした【青白サザン】といったデッキが第二グループとして赤黒バスターを追う格好になりました。

 

しかしその裏で、デュエマ史上屈指の凶悪さを持つデッキが開発されていることなど当事者以外は誰も知る由がなかったのです……。

当日の結果

優勝:W(赤黒バスター)
2位:とも(オプティマスループ)
3位:イーレ(NEXミラダンテ)
4位:でゐ(5cジャックポット)

ベスト8(順不同):
Avan(赤黒デッドゾーン)
夢現(赤黒バスター)
クロペコ(白単天門)
F氏(緑天門ループ)

トップ8のデッキリストはこちら。トップ64のアーキタイプ分布はこちら

多様なアーキタイプが入賞していますが、ビッグサプライズもありました。

GP3rdは、GPの歴史の中でも大きな転換点だったと思います。ひとまず、上位デッキを見ていくことにしましょう。

赤黒バスター

やはり強かった、というのが第一印象です。

そもそもこれまででも充分過ぎるほどに強かったのに、そこに《スクランブル・チェンジ》+《メガ・マナロック・ドラゴン》というパッケージまで手にして弱い訳がなかったんですよね。

予選突破者も最大、そして優勝者を輩出と非常に妥当な結果となりました。

それにしてもなんで《スクランブル・チェンジ》を刷ったんでしょうね?

なんというか、《メガ・マナロック・ドラゴン》にヘイトを集めて殿堂させるための遠回しな戦略だったのではないかとすら思えてしまうんですよね。

(赤黒バスター GP3rd優勝)

赤白ジョバンニ

今大会最大のサプライズと言えるデッキです。

本当に衝撃でした。

先述したWINNERS勢によって持ち込まれ、わずか14名の使用ながら5名の本戦進出を果たしています。

(赤白ジョバンニ GP3rdベスト16)

惜しくもベスト16までに全員敗退してしまったものの、生放送やカバレージなどでその活躍は驚きをもって伝えられました。私も生放送中に「ジョバンニが勝っている」みたいなコメントを観て、ちょっと信じられない気持ちになったのを覚えています。

このデッキは《天雷王機ジョバンニX世》の効果で《ドリル・スコール》を回して相手のマナを枯らして、自身は《クルトの気合釣り》で山札を回復して相手をLOさせるという言っちゃなんですが「デュエル・マスターズの勝ち方」をとことん突き詰めた先にあるようなデッキでした。

実際ジョバンニ……もとい、ランデスが強い下地はあったんですよね。

というのも環境2トップと思しき【赤黒バスター】も【赤黒デッドゾーン】も、マナを加速するデッキではありません。だから《マナ・クライシス》などでランデスをするとテンポを取ることが可能でした。

ですがここから更に《オリオティス・ジャッジ》まで含めて【ジョバンニ】というアーキタイプ辿り着いたことが凄いところでした。

またこのリストはGPで勝つためのメタゲームも意識しており、《コロッサス・ブースター》という《タイム3 シド》対策カードや、【青白サザン】や【緑単サソリス】に強い《メガ・マグマ・ドラゴン》といったカードの採用にも至っています。

この後ジョバンニが環境を荒らしまくったのはご存じの方が多いと思います。何せ最速2ターンでマナを縛られたら、大抵のデッキは出来ることないんですよ。

余談ですが、これまでのデュエマの殿堂環境上に存在したデッキの中で最も強いデッキってなんだろう? ってなるとギフトの制限がない【デアリバスター】とこの【赤白ジョバンニ】はTier1ランクのデッキだと思うんですけど、最盛期は絶妙にすれ違ってしまったんですよね。惜しい……。

またこのデッキの登場と活躍によって「WINNERS勢強し」の印象が広まり、加えて「チームで新デッキを持ち込む」ことの強さを証明したことで、以降のGPでは各コミュニティが「GP向けの新デッキ」の開発を目指すことになります

多くのプレイヤーがGPへの向き合い方を再考したといってもいいデッキだったかもしれません。

 

赤黒デッドゾーン

バスターのせいでかなり割を食った子。

《Dの禁断 ドキンダムエリア》や《復讐 ブラックサイコ》という大抵のフェアデッキを屠るカードを持っているにもかかわらず、上位のデッキが大抵アンフェアデッキであるため、上に行けば行くほど苦しくなるという構造なんですよね。

しかしGPという多様なアーキタイプが存在する環境では、上記の点はむしろ強みとして発揮します。何かに勝とうとしてデッキを組むと、デッドゾーンがキツイんですよね。例えばビマナなんかもバスターに寄せると絶対デッドゾーンには勝てません。

というわけでキングオブ2番手として、環境の番人として役割を見事に果たしたと言えるでしょう。

予選突破者数2位、ベスト8に1名輩出という結果は、これも非常に妥当なラインかなと思っています。

(赤黒デッドゾーン GP3rdベスト8)

NEXミラダンテ

こちらはHeaven’s Diceと原一派の共同制作のデッキとなります。

《ボルシャック・NEX 》の効果で《凰翔竜機バルキリー・ルピア》をリクルートし、ルピアの効果で《時の法皇 ミラダンテXII》をサーチすることでNEX1枚からミラダンテまで繋げます。一度着地してしまえば大抵のデッキは回答の手段がなく、加えて《ファイナル・ストップ》があれば呪文まで縛ることが可能です。

しかしルピアを引きすぎてしまうとこの動きは繋がらず、また赤と白というデッキの都合上リソースを確保しにくいデッキでもありました。もちろんスクチェンマナロは強い動きですが、10年前のカードである《コッコ・ルピア》を採用をせざるを得なかった点を鑑みても、デッキのやりくりには苦慮したのは間違いありません。

それでも《時の法皇 ミラダンテXII》というカード新規カードは強く、プレイやデッキの動きも割れていなかったことから3位という結果を残すことが出来ました。

ただGP以降はパッとせず、環境上で痕跡を残すことは叶いませんでした。ちょっと他のデッキが強すぎたんですよね。

ちなみにこれも余談ですが、GPから帰ってきたあとHeaven’s Diceのまささんから「バルキリールピア持ってるならさっさと売った方がいい」って話を聞いたのが妙に印象に残ってたりします。

(NEXミラダンテ GP3rd3位)

ループ系

ジョバンニこそいたものの、比較的ガードが下がったためか活躍出来たのがループ系統です。

《フォース・アゲイン》を失ったものの【天門ループ】は上位に入賞し、完全に意識外だったであろう【オプティマスループ】は準優勝という結果を残しました。

特に今回はこれまでのように事前メタゲームで「○○ループが強い!」という訳ではない中での入賞です。やはりGPにおいてはループというフィニッシュ方法がいかに強力であるかを再再度確認させられた結果となりました。

余談ですが出発前日に青馬堂のCSに来たともさんがフリーで「俺オプティマス強いと思うんだよね~」って言いながら回してて、正直「(スクチェンマナロに抗えないし)そんなわけねーだろ」とか思いながら一緒に回してたんですが、気付いたら2位でした。時効だと思いますが、この場を借りてお詫びしようと思います。でも決勝ではちゃんとスクチェンマナロ喰らって負けてたから僕も別に間違ってはなかったと思うんだ。

(オプティマスループ GP3rd2位)

まとめ

というわけでGP3rdの振り返りでした。

ちなみに今回は日程が3連休の最終日ということもあって、私は参加できませんでした。なんか噂によると、土日で会場を確保するのが難しかったとかなんとか。

こうして書いてみると、GP3rdは以降のGPの形を決定付けたような大会だったような気がします。特にこれ以降はGPの度に「秘密兵器」を期待されるようになったのは大きいでしょう。

 

次回は翌年春、様々なカードが規制された中でのGP4rdthとなります。