余話として。
神結です。
この記事はGP7th振り返りのオマケなので、先にこちらを読んでいただくことをオススメします。
ちなみにこの記事は「カバレージ班/神結からみたGP7th」みたいな内容をつらつら書いたものですので、その点は予めご承知おきいただければと思います。
どちらかと言えばたぶん個人note向けの内容なんですけど、元々私はこういうの書くのが好きですし、ブログをいつも読んでいただいてる皆様にはこういった記事をお届けしたこともなかった気がするので、たまにはどうでしょうかというところで。
それでは、よろしくどうぞ。
カバレージライター
そして、デュエルをする事ではなく、それを物語として綴る事を選択するものもいる。
それがカバレージライターという人種だ。
カバレージライターには、素晴らしい戦いを特等席で見る特権を持つ代わりに、その素晴らしい戦いを読者に届ける。だから、自分がその最高の戦いの当事者になることはできない。
デュエマが公式大会でカバレージを書くようになったのは2015年夏のGP1stからです。
元々カバレージはマジックの世界の産物で、デュエマには2010年台始めに輸入されてきました。恐らく最古のデュエマのカバレージは、黒井さんが書いた岡山CSのカバレージだと思われます。
第4回岡山CS – DM岡山CS実行委員会 (fc2.net)
その後は静岡CSなどでもカバレージが執筆されるようになりました。メジャーとは言わないまでも、デュエマには公式が書き始めた以前からカバレージがあったんですね。
【観戦記事】決勝トーナメント第1回戦:ナダル VS りゅーてぃ☆ | DM:Akashic Record (akrecord.com)
ちなみに余談ですが、私が知っている範囲でカバレージという文化のあるTCGはマジック、デュエマ、WIXOSSです。デュエマはマジックから輸入し、WIXOSSはデュエマから輸入しました。WIXOSSは1ゲームが濃厚ということもあって、凄く読み応えのある面白いカバレージが多いという印象ですね。
私はGP1stで初めて「カバレージ」というものに触れた人間です。特に当時読んだ「Las Vegas vs モブウエポン」のカバレージがかなり衝撃的で、「こんな面白いものをなんでいままで知らなかったんだろう」「私もカバレージを書いてみたい」と思うようになりました。
準々決勝:Las Vegas vs. モブウエポン|Dig TCG総合情報
というのも私は元々小説書きで、そこから趣味の1つとしてカードへと流れてきた人間です。
関東に来たばかりの頃は「カードで一番になりたい/なれる」と思っていたのですが、ここで知り合ったTIGHTやハザマさんといったトッププレイヤーたちの技術・思考などに遠く及ばないことを思い知らされます。
特に当時は仕事もしていたので「時間の取れる学生である彼らに対して、自分が働きながら追い付くのは不可能」と結構絶望的な気持ちになっていたんですよね(ちなみに当時はヘルボイメン環境で、プレイヤーの技量がそのまま結果に反映される環境でした)。
そんな中で出会ったのがカバレージです。
こうして「ナンバーワンのプレイヤーにはなれないかもしれないけど、『カバレージを書けるプレイヤー』で一番になろう」という道が拓けました。(因みにですが、その後の努力の成果もあって、今ではプレイヤーとしても大きく成長することが出来たと自負しています。ありがとうビッグマナ)
その後紆余曲折(また機会があれば書こうと思います)がありましたが晴れて公式でカバレージを書けるようになり、エリア予選や超CSⅡを経てGP7thでもカバレージを担当することになりました。
結構長く書いていたつもりだったんですが、GPで書くのは初めてだったんですよ。振り返ってみると結構意外です。
さて、超CSⅡの辺りから徐々に自分の書くカバレージに自信は持てるようになってはいたものの、GPとなるとまたやっぱり違うんですよね。
他のライター面子についてもまつがん先生の他、ヤスさんやプレインという充実のラインナップだったんで、単純に「負けられない」という思いもありました。
- まつがん先生……ご存知かの伝説だらクソの筆者。現在は研究仙人として活躍中。この方が「ハンデスとかいう陰キャ戦法」とか書いたことで、「公式でもハンデスは陰キャって言われてる」とかいう謎のコメントが記事に寄せられるようにもなってしまった。ライター控え室で宇宙みたいなマジックのデッキを回してライター陣一同が全く理解出来ない中、後にそのデッキで見事結果を残したというエピソードがある。天才。
- ヤスさん……DM:Akashic Recordの管理人。歴史の生き証人みたいな方。実はGP7thの打ち上げの際に「CSの主催をやってみた方がいい」と私に進言をしてくれ、年は跨いでしまったものの風花CSにてようやく第一歩を踏み出すことが出来た。かなり感謝してます。
- プレイン……川崎さんと美味しんぼのトークが出来る偉人。ちなみに川崎さんでも知らない美味しんぼのエピソードを話すことがあり、「プレインは自分の脳内で生み出した美味しんぼエピソードと実際に掲載されたエピソードの区別が付いていないのでは?」と囁かれている。GP8thの伝説の決勝を書いたライターでもある。
特に行きの新幹線なんかは、本当に記憶がありません。
京都に着いた後は、事前打ち合わせで焼き鳥をいただきながら、プレインと川崎さんの美味しんぼトークを聞き流していたような気がします。
GP7th
さて、本編でも書いたようにGP7thは2ブロックでした。
……ところが私自身は直前に「砲雷撃戦よーい」の原稿(要するに同人小説です)をやっていたこともあって、実は殆どカードをやっておらず、通常環境までは追えていたものの2ブロックまではよくわかっていませんでした。
ですので当日は顔の知っているプレイヤーを捕まえてはデッキの話を聞きまくりました。
このデッキはどういうデッキなのか、どうやって勝ちを狙うのか、他のデッキとの相性はどうか、他のデッキに対してのキーカードは何か、等々……。幸いなことにジョラゴン、デスザークといったデッキは通常環境にもありましたし、覇道も触ったことありました。唯一白ゼロサッヴァークだけが未知だったので、そこはかなり根堀り葉掘りしましたね。教えてくださった皆さん、ありがとうございました。
こういうとき、カードゲームのスキルアップをしていたことが生きました。教えてもらう中で、環境概要の理解がだいぶ早かったです。
また、GP7thではジャッジインタビューもさせていただきました。インタビュー記事ってあまりやったことがなかったんで、かなり手探りで進めることになりました。
結果ほぼ出ずっぱりだったお陰でライター控え室での出来事ほぼ覚えていないんですよね。
ずっと試合観てましたし、そーいえばflat-くんの試合も目の前で観戦していた記憶があります。ばっちり負け試合でした。
さて予選も終わり、本戦も進んでいくと段々上位の顔ぶれも明らかになっていきます。
本戦もかなり面白い試合が多かったんですよね。是非カバレージを読んで欲しいです。
デュエル・マスターズ グランプリ-7th テキストカバレージ | デュエル・マスターズ (takaratomy.co.jp)
Vのもれ、ユーリ、Wといった有力プレイヤーも敗北していく中、準決勝に残ったのは前年度日本一のdotto、前年度CS最多優勝を誇るぎらさき、北のカリスマZweilanceといった錚々たるプレイヤーでした。
ライター控え室、大盛り上がりです。「こんな面白いGPあるか?」と、ついさっきまで選手をしていたはずのイヌ科さんまで巻き込んでのフィーバー状態でした。
そして準決勝の残るひと枠、そこに食い込んでいったのがえんがわでした。
えんがわ
えんがわと初めて会ったのは関東でのとあるCSです。正確な年月まで覚えていないんですが、GP7th前年の春だったと記憶しています。
当時の彼は金髪でキメていたんですが、「金髪=陽キャ」というオタク特有の短絡的発想を持っていたので普通に怖かったです。でも本厚木の面子が彼とそれなりに親しそうに話していたので、「まあ怖い人ではないんだろうな」と思っていました。
この時はお近づきの印?にお菓子をくれました。お菓子作りが趣味なので、その後何度か手作りお菓子を食べさせてもらいました。
その後のえんがわはジョーカーズに対する深い理解を武器に、様々なジョーカーズのデッキを構築していきます。
ただ彼と彼の作るデッキはどうにも間が悪く、大舞台で日の目を見るケースがなかったんですよね。
《ベイB ジャック》入りのジョーカーズはかなり強力だったのですが、完成したのは《ベイB ジャック》プレ殿の1週間前。最後に一花咲かせるために新潟まで遠征したものの、運悪く負けてしまい活躍させることが出来ませんでした。
また《ジョット・ガン・ジョラゴンJoe》と《ジョット・ガン・ジョラゴン》を足した《ガンバトラーG7》軸の「ハイブリッドジョーカーズ」もまた、彼が生み出した非常に強力なデッキだったのですが、大型大会での活躍は叶いませんでした。
その後は超CSⅡにて準優勝したハマチのジョラゴンの制作に大きく関わっていましたが、やはり本人が日の目を浴びることはなく。
こうした積み重ねがあった結果もあったでしょうか、本人のデュエマに対するモチベも低下していってしまいました。この時点では結構低かったと記憶しています。
GP7thに向けてもギリギリまでジョーカーズの調整をしていましたがどうしても勝てず、彼は大きな決断を下します。
拘りのあったジョーカーズを諦め、白ゼロサッヴァークの使用を決意します。
決断したのは1週間前ほど。よく詰めたなと思います。流石に元々プレイスキルが高いですね。
準決勝に残った他3人に比べれば知名度こそ劣るものの、実力に関しては疑う余地がありません。
あとはそれを証明するだけでした。
準決勝
DMGP7th 準決勝:えんがわ vs. dotto | デュエル・マスターズ (takaratomy.co.jp)
決勝
DMGP7th 決勝戦:えんがわ vs. ぎらさき | デュエル・マスターズ (takaratomy.co.jp)
準決勝、“魔王”dottoとの戦いで三度の《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》を《隻眼ノ裁キ》のトリガーによって見事逆転し、決勝の舞台へ到達します。
決勝のカバレージを担当することになったのは私でした。
先述まで足跡を、私は痛いほど知っていました。
そんな彼が決勝の舞台に辿り着いたこと、そしてその栄えある試合のカバレージを担当出来たことの感慨は、ここに書くまでもなく察していただけるのではないでしょうか。
決勝のいきさつについては、是非カバレージを読んでいただければと思います。
おわりに
「物語を紡ぐ事とデュエルをする事は同じ」……そんな言葉があります。
あらゆる試合の背景には物語があり、その一部は刻印され、今日の私たちも目にすることが出来るのです。
時にはそんな物語も楽しんでいただければ……と思います。
それではまた。