yk800の週刊! メタゲーム・ウォッチング Vol.18【20.1.15】

 どうも、レッドことyk800です。連日公開される「超ブラック・ボックス・パック」のコラボカードに開いた口が塞がらない今日この頃。気付けば先行発売日もすぐそこまで迫ってきましたね。

 今のところ大きく環境を変えそうなカードはあまり見当たりませんが、初回のBBPにはビッグマナ・《ミラクルとミステリーの扉》系デッキへのメタとして一時代を築いた《デュエマの鬼!キクチ師範代》、第2弾となる超BBPには今でも採用されることのある《オリオティス・ジャッジ》や【デッドダムド】環境で突然花開いた《レアリティ・レジスタンス》など、実用に耐えうる新規カード、それもその当時に流行っていた戦略に対するメタカードがしれっと収録されることが多い傾向にあります。

 大暴れ真っ只中なGR戦略に釘を刺すカードが登場するかも……? 先行購入組の速報が今から楽しみですね!

 というわけで1月第3週、今日も張り切って参りましょう! メタゲーム・ウォッチング、スタートです!



先週の結果総まとめ

 まずは先週(20.1.11〜20.1.13)行われたCSの結果を見ていきましょう。
(※元となった大会結果は田園補完計画さんからお借りしています。また、情報の抜け・漏れがある可能性がございますことをご了承ください)

 【ドッカンデイヤー】の牙城、崩す鍵は墓地にあり?

 トップ2は相変わらずの【火水自然闇ドッカンデイヤー】と【火水自然バーンメアジョーカーズ】ですが、3位、4位に名乗りを上げたのはどちらも墓地を活用した高速コンボデッキである【墓地ソース】と【カリヤドネ】。環境のトップ陣に通りづらい墓地メタは「コンセプトレベルでトップとやりあえる」デッキにしか採用する余地がなく、結果として先週末、これらのデッキの通りはよかったようです。

 【墓地ソース】は最速で2ターン目にも着地する《暴走龍 5000GT》の小型封殺能力が最大の環境的な強み。このカードを着地させ、除去される前に殴り切ってしまうことが【墓地ソース】というデッキの全てであると言っても過言ではありません。

 土曜日に開催されたCSにおいては各地で猛威を振るった【墓地ソース】ですが、日曜日以降は【ドッカンデイヤー】側も《5000GT》への回答として《テック団の波壊Go!》や《九番目の旧王》などの呪文による除去トリガーを増量し、対応。最大勢力とまではならず、有力デッキの一角に収まった印象です。

 【カリヤドネ】も同じく墓地コンボですが、こちらはある程度のキルターンの速さを確保しつつ《スーパー・デーモン・ハンド》や《知識と流転と時空の決断》の存在によって受けの堅さを両立しているのがポイントです。

 同じく先週末に台頭した【墓地ソース】との直接対決では、【カリヤドネ】側の受けが全て呪文であるため《GT》の影響を受けづらく、《バルチュリス》が絡むゲーム以外は十分に受け切ることが可能。また、【カリヤドネ】は超GRに《ポクタマたま》や《トムライ 丙-三式》、メインデッキに《超次元エクストラ・ホール》といった墓地戦略をメタるカードを採用する余地が大いにあるのもあり、どちらかと言えば【カリヤドネ】の方に軍配が上がるでしょう。

 もちろん【墓地ソース】側もこれらの墓地メタGRは採用しているようですが、GR召喚の手段は《手札の儀》オンリーである場合がほとんど。1度しかGRできないのが普通であり、ゲームに絡むことはあるでしょうが心許ないのは間違いありません。

 トップ2の片割れである【火水自然バーンメアジョーカーズ】は入賞したリストのほとんどに《ジェイ-SHOCKER》が2枚搭載されており、現在の【ドッカンデイヤー】過多な環境を物語っています。
 ミラーにも強いこのカードですが、新興勢力である墓地コンボ系に対してはほとんど何も出来ないため、デッキ全体の出力はやや下がっているのが実情。

 【墓地ソース】が大きく躍進した翌日である日曜日以降のリストでは、メインデッキに《ポクチンちん》が搭載されていたり、GRに《ポクタマたま》が1枚だけ採用されたりと、各選手の苦心が様々に見られました。

 環境の絶対王者【ドッカンデイヤー】に抗うべく、一躍頭角を表した墓地コンボ系デッキたち。これらの二層構造による板挟みは強固であり、現在のプールでどちらにも十全に対応できるデッキを構築するのはなかなか難しそうな印象です。
 今週末、果たして大きく環境を動かすようなデッキは現れるのでしょうか……。

今週のトピックス

【零龍墓地ソース】

 《零龍》のリリース初週ににわかに話題に上がったものの、その後とんと存在感を消していた【墓地ソース】。
 【零龍速攻】の隆盛に伴って呪文トリガーの多く搭載される環境がしばらく続いたため《5000GT》のロック能力が十二分に機能しない場面が多発し、追い風とは言えない環境でしたが、スペルコンボの大部分を駆逐する【ドッカンデイヤー】の台頭に伴ってGRクリーチャーのほとんど全てを封殺する《5000GT》の価値は大きく向上しました。

 大きく話題となった今週末はまた母数が増えると予想されます。改めてデッキの概要をおさらいしておきましょう。

 《メルゲ否男》の登場以後、【墓地ソース】というデッキタイプは36枚近くが固定枠となり、半ばテンプレデッキ化していました。環境の変動に対して取り入れられるギミックが少なく、《5000GT》という高ポテンシャルなフィニッシャーは抱えていたもののブレイクスルーを見出せず、環境の中での立ち位置は程々止まり。そんな【墓地ソース】事情を激変させたのが《零龍》です。

 現在主流な【墓地ソース】は既存の構築から大きく形を変え、《零龍》を可能な限り活用しようとしています。
 最も大きな要因は、強烈なフィニッシャーである《零龍》そのものよりもむしろ《復活の儀》。マナを使わずに墓地を2枚肥やせるのは派手さはないものの非常に強力です。このギミックを全力で達成するべく《暗黒鎧 ザロスト》や《暗黒鎧 ダースシスK》をフルで登用した新型【墓地ソース】は、これまでとは一線を画した速度での展開を可能としています。

 最大のぶん回りは主に後手時、

1t目:《「今も我らの願いはただひとつ」》。手札の《暗黒鎧 ザロスト》を墓地へ。(手札4、墓地2)

2t目:《ザロスト》解決。シールドを1枚墓地に置き、バトルゾーンへ。(手札4、墓地2)
《復活の儀》達成。トップから2枚を墓地へ。(手札4、墓地4)
カードを1枚引き(手札5)、《暗黒鎧 ダースシスK》を自身の能力で召喚。《ザロスト》、手札1枚、トップ1枚を墓地へ。(手札3、墓地7)
《ダースシスK》の2枚目を自身の能力で召喚。《ダースシスK》、手札1枚、トップ1枚を墓地へ。破壊した《ダースシスK》がバトルゾーンへ。(手札1、墓地9)

ここに《一なる部隊 イワシン》が2枚絡めば墓地が11枚となり、後手2ターン目に《暴走龍 5000GT》が登場する。

 2ターンという速度でここまでの出力が発揮されるには相当な要求値がありますが、《ダースシスK》が1枚でも絡めば3ターン目の《GT》着地はかなり現実的に起こりうるラインであり、たいていのクリーチャー主体のデッキはそのまま粉砕してしまうことができます。

 また、単純にトップに刺さるカードが扱えるというだけでなく、苦手とする《奇石 ミクセル》系のメタクリーチャーが現環境のトップ2に対しほぼ機能していないのが非常に大きな追い風です。

 【火光ビートダウン】は墓地コンボ・スペルコンボ系のデッキに対して優位を取れますが、【ドッカンデイヤー】に対して有利がつくほどの速度が出るとは言い難く、ジャスキル打点で攻め切るデッキであるため【火水自然バーンメアJ】のようなカウンター性能の高いデッキに対してもあまり強く出られません。必然的に、彼らがTier1付近に居座り続ける以上は厳しい立ち位置を強いられます。
 トップを食いに来たこのデッキを食おうとするとトップ陣に不利を強いられることになるため、環境的なポジショニングは非常に有利です。

 では、このデッキの対策を検討していきましょう。

 カード単位で苦手なのは先述した《ミクセル》式のメタクリーチャー、軽量な墓地対策。最高速こそ高めのデッキですがブレは非常に大きく、グダった隙に墓地対策やメタクリを連打されるとかなり息苦しい展開となります。
 ただし、単純にこれらのカードを採用するだけでは【ドッカンデイヤー】や【火水自然バーンメアJ】に対する無駄牌が増えてしまう、というのは何度も繰り返しているとおり。環境トップに勝てるデッキがさらに枠に余裕を持ってようやく、と言ったところでしょう。

 デッキ単位で苦手なのは、《GT》を意に介さない呪文による受けの強力なデッキ群です。
 例えば先述の通り【カリヤドネ】は《バルチュリス》が絡まなければ1回の総攻撃程度容易に返しますし、1枚でも《スーパー・デーモン・ハンド》を踏んでしまうと返しでほぼ確実にループイン。
 【ナウ・オア・ネバー】に至っては《音感の精霊龍 エメラルーダ》による無限シールドギミックを持っているため、一度ハメパターンに入ってしまえば【墓地ソース】が突き崩すのはほぼ不可能です。

 純粋に速度の出るビートダウンデッキでありながら、《暴走龍 5000GT》という独自の強みも持ち合わせる【墓地ソース】。同じ日に全国各地で爆発的に勝ったためマークが上がってしまった感はありますが、メタの動き方次第では常に選択肢となりうる爆発力を秘めています。
 今のうちに復習をして、頭の片隅に止めておきたいですね。

HOT TECH

《蒼神龍ヴェール・バビロニア》

 今週のHOT TECHでは【火水自然闇ドッカンデイヤー】のバリエーションをご紹介。

 初週から入賞報告のあった《蒼神龍 ヴェール・バビロニア》採用型の【ドッカンデイヤー】に、やや増加の兆しが見られます。

 《逆転のオーロラ》+《生命と大地と轟破の決断》から前環境の【メルゲドッカンデイヤー】よろしくメカーネンループに移行する【バビロニアドッカンデイヤー】というデッキタイプも存在しますが、今回は【火水自然闇ドッカンデイヤー】のパーツとしてのピックアップとなります。

 あまり聴き馴染みのないカードかもしれませんので、その能力を確認しておきましょう。このクリーチャーの能力は大きく2つに分かれており、一つ目は「登場時、相手の手札を見てその中から1枚をボトムに置かせ、その後1枚引かせる」能力。二つ目は「自分がカードを引くとき、1枚引くかわりに2枚引いて1枚捨てる」能力です。

 一つ目の能力は言わずもがなの擬似ハンデス。枚数的に損をしてしまうので決して強力であるとは言えませんが、それでも特定のキーパーツに頼ったコンボデッキであれば一定の効力を期待できます。妨害手段の乏しいこのデッキにおいて、前方確認をこなしつつ致命的なメタカードを抜いてしまえる可能性があるだけでもそれなりに活躍が期待できると言えるでしょう。

 そして、このデッキにおいてキーとなるのが二つ目の能力。「カードを引くときに2枚引いて1枚捨てる」。それだけでは何も起こりませんが、このカードがある状態で《MEGATOON・ドッカンデイヤー》が登場すると何が起こるでしょうか?

 《ドッカンデイヤー》の能力で出てきた《天啓 CX-20》の「3ドロー」が「6ドロー3ディスカード」に変換され、手札を3回捨てたことにより《ドッカンデイヤー》の能力でさらに3回GR。その中から《天啓》か《サザン・エー》が出てきたり、《ヨミジ》から墓地の《キューギョドリ》を釣ったり……様々な手段でドローを継続することで連鎖的にGRを呼び出し、フィニッシュループへと容易に移行することができます。

 引いてしまったキーパーツを墓地に落とすこともできるため柔軟性が高く、妨害手段とフィニッシュ補助の両立を狙えるのは他のカードにはない独自の強みです。

 一方で、

・後出しにあまり意味がなく、あらかじめ手から出しておくか墓地に置いておくかしなければ微妙に活躍しづらい

・妨害とフィニッシュ補助を両立できること自体は悪くないが、そもそもフィニッシュ手段は足りているため、速度的に優位が生まれないのであればより尖った妨害手段を採用したい

 など、このカードを採用しない理由も無数に考えられます。

 「入れるべき」「入れないべき」と簡単に結論が出せるものではありませんが、少なくとも対戦相手が出してきたときに面食らわないよう、どのような役割を果たすカードなのかをきちんと把握しておきたいですね。

【2020.1.16追記】

 「《ヴェール・バビロニア》はフィニッシュパーツでもある」との旨を読者の方からご指摘いただきました。
 歴の長いプレイヤーであれば、「Nパクリオループの要領」というと伝わりやすいでしょうか。

 《ヴェール・バビロニア》の「ハンデスしてドロー」能力は、相手の手札がない場合、強制1ドローにより山札を1枚減らすことができます。

 あらかじめ《解罪 ジェ霊ニー》に代表されるハンデスの登場時能力を無限ストックしておき、あとは《腐敗麗姫ベラ》や《黒神龍ザルバ》を回すときと同じ要領で《バビロニア》の無限ストックを作ることで、相手の手札を0枚にしたのち《バビロニア》解決→ハンデス解決→《バビロニア》解決→ハンデス解決→……と交互に処理していくことで相手の山札を全て削り切ることができる、という仕組みのようです。

 フィニッシュパーツがコンボ補助、妨害要員を兼ね備えられるのは非常に魅力的。複数の役割を持てるため2枚以上積みやすく、ボトム固定要員の《ダダダチッコ・ダッチー》を排除しやすくなっています。空いた枠に追加のハンデスである《カット 丙-二式》や、苦手なデッキに対する強烈なメタクリーチャーとなる《ポクタマたま》を搭載しやすいのは独自の強みであると言えそうです。

 一方で、選択枠であるハンデスが確定枠となりメインデッキの自由度がやや下がってしまう点と、デッキ全体の闇文明依存度を向上させながらも自身が闇文明でないためマナベースにやや負担がかかる点は特筆しておくべきでしょうか。

 道中にも役割を持てるカードがフィニッシュまでこなせるとあっては、単なる便利カードの枠に収めることはできません。筆者が当初考察していた以上に有力な選択肢であると言えそうです。

 ご指摘いただいた読者の方へのお礼とともに、追記・訂正させていただきます。ありがとうございました。
 

《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》

 続いて、墓地利用デッキに対する最終兵器として数件の採用が見られたこちらもピックアップ。

 もはや墓地メタとしては最もポピュラーな部類であるためあまり言うことはありませんが、数ある墓地メタの中でもコンセプトである2→4→6のマナカーブを阻害せず苦手な対面への相性改善を見込めるため、言わずもがなではありますが墓地対策としては使い勝手に優れています。

 あまり機会は多くなさそうですが、呪文として唱えた後《ヨミジ 丙-二式》を介して《ステゴロ・カイザー》としてリアニメイトできる点は覚えておきたいですね。盤面処理をこなしながら後続を確保できるので【水闇光ハンデス】のようなデッキの《Wave ウェイブ》に対して使ったり使わなかったりするかもしれません。

 デッキとの相性そのものは悪くないものの、《天災 デドダム》や《ガチャマリン・チャージャー》のように手札を減らさずにマナカーブを繋げられるわけではなく、《κβバライフ》や《ガチャマリン・チャージャー》のようにマナドライブ達成後のGR召喚要員として機能するわけでもないため、このカードを採用すればするだけデッキの純粋な出力は下落します。一方で序盤のハンドリソースに乏しいこのデッキにおいて、必要な対面できっちり引き込むためにはある程度枚数を採らなければあまり意味がありません。

 採らなければ引けないが採れば採るだけデッキは弱くなる。メタカードというのは得てしてそういうものですが、現代デュエマにおいて1ターンの無駄トップはそれだけで敗北に直結しかねません。
 メタカードは自身の参加する大会の環境を良く読み、用法用量を守って正しく使っていきましょう。

今週のメタゲーム予想

 【火水自然闇ドッカンデイヤー】という不動のワントップと【墓地ソース】・【カリヤドネ】と言った墓地コンボ系デッキ。対応力が高く地力のある【火水自然バーンメアジョーカーズ】を特例とすれば、これらの織りなすジレンマに対抗する手段は非常に限られるでしょう。先週末の【墓地ソース】隆盛以後、【ドッカンデイヤー】の受け枠は増量傾向にあり、速度のあるビートダウンでの貫通も一筋縄ではいかなくなっています。

 総じて、今週末は環境の変化がそれほど大きくないことが予想されます。引き続き墓地コンボ系の立ち位置は良く、特に勝ち筋の特質上【デイヤー】にピンポイントなメタを強い、ローグデッキにも対応しうる【カリヤドネ】は今週の有望株です。

 それ以外のデッキタイプはやや厳しい立ち位置にありますが、筆者が個人的に可能性を感じているのは《生命と大地と轟破の決断》系のコンボデッキ。特に《妖精の裏技 ラララ・ライフ》をフィーチャーした、最速で3ターン目に5マナに到達するタイプの構築は速度面で独自の強みを持っており、非常に魅力的です。

 《BAKUOOON・ミッツァイル》と《「本日のラッキーナンバー!」》が殿堂入りを果たした現在のデュエル・マスターズにおいて、3ターン目と4ターン目には大きなギャップが存在し、3ターン目にビッグアクションを取って仕掛けることのできるデッキの価値は向上しています。
《奇天烈 シャッフ》という乗り越えるべき壁は存在し、また引きの要求値も高くはありますが、どのようなデッキが成立しうるか? を検討するには十分値するのではないでしょうか。

 大きな変動が起こりづらく見えるメタゲームの中で、何かブレイクスルーがあるとすれば、このコスト5・自然文明の呪文なのではないか。そう思わせるパワーが《生命と大地と轟破の決断》にはありますね。

 今週のメタゲーム・ウォッチングはここまでとなります。それではみなさま、良い週末を!