卍夜弁護士とは!
「この盤面・状況ならば卍夜が最終的に勝っているため勝ちです!」と主張してくる謎の弁護士のことである。
概要
時はGP開催の約2ヶ月前のこと。
GPに臨むにあたって環境デッキ同士の相性を調査するべく、各種デッキを対戦させて戦績を付けていた。
順調に作業が進んでいたが、【ガイアッシュ覇道】と【水闇卍夜】の相性を取るにあたって、お馴染みアドフィク(みかづき)さんが突然渋り始めた。
不審に思った我々が理由を問うたところ、次のような返答があった。
「この対戦をやるには、卍夜側に弁護士がいないと終わらん」
この発言に、サーバーにいる全員が再び困惑した。
卍夜弁護士(イメージ)
詳細
【ガイアッシュ覇道】はご存じ、2022年より活躍を続けるアドバンスを代表するドラゴンデッキ。
この時期はデュエキングドリーム前だったので、リストはだいたいこんな感じだった。
当時の【ガイアッシュ覇道】は各対面に広く五分前後といったところで、極端な有利もなく不利もなくといったところ。
この時点でGPをやるならば、まぁ選択肢の1つにはなるかなというくらいの立ち位置であった。
一方の【水闇卍夜】は《卍夜の降凰祭》を軸にしたループデッキだ。
ループ手順などは省略するが、ざっくり言えば《卍夜の降凰祭》+《暗闇の裏闇市》を揃えることでループが可能に。
もちろんループをしなくとも《卍夜の降凰祭》さえ引けていれば相手にクリティカルに刺さるドルスザクを繰り出すことでゲームを作ることが出来る。
上記のこのリストは最終的に《ツタンメカーネン》をループさせ、相手をLOさせて勝つことを目的としている。
ところが卍夜の研究が進んでいく中で、革新的なリストが登場した。
そう、《ツタンメカーネン》を採用しなくていい構築が生まれたのだ。
具体的には《卍夜の降凰祭》のループはするのだが、そこから相手を即座にLOさせるのではなく、「絶対に負けない盤面」を作ってターンを返す。
そしてこれを相手の山札が切れるまで繰り返すことで最終的に勝つことが出来る、という方向性にリストが変化していった。
詳細は、下のフェアリーチャンネルの解説がかなり詳しい。
これまで《ツタンメカーネン》を入れることで、12分の1ではあるが初動の《龍・獄・殺》を撃ったときに《ツタンメカーネン》が捲れてしまい《卍夜の降凰祭》に繋がらない、というゲームもあった。
これは初動だけでなく、ターン終了時の《手札の儀》で《ガル・ラガンザーク》を建てるときも同様で、もっと言えば《龍月 ドラグ・スザーク》から4体展開するときにノイズとして混ざっても嬉しくないパターンがあり、かなりノイズだったのは間違いなかった。
しかし《堕魔 ドゥザイコ GR》が12枚になることによって、この問題は解消。
初動の《龍・獄・殺》が事故ることもなく、道中の動きは明らかに強く、安定するようになった。
〆の盤面も《ガル・ラガンザーク》+《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》+《飛翔龍 5000VT》+《「無月」の頂 $スザーク$》の1ハンデス+ありったけの呪文トリガーでターンを返す、という感じになり、これを毎ターン作ることが出来るので、あとは相手のLO待ちという勝ち方が出来るわけだ。
実際この構築の卍夜は強力で、相性の調査では特に先攻に於いては優秀な成績を収めていた。
だがそんな中で、「卍夜 vs. ガイ覇」の相性を調査するべく対戦を、という話になったとき、突然みかづきさんが渋り出した。
当然理由を問うことになるのだが、そんな時にこんな事を言うのだ。
「この相性、卍夜弁護士が必要だって」
……?
卍夜弁護士???
卍夜弁護士のイメージ(再掲)
突然の謎ワードに困惑する一同。
……実は、上記した卍夜のフィニッシュ手段の変更には、弊害もある。
大抵の対面については万全となる盤面を作るだけで勝つことが出来るのだが、これではゲームが終わらないデッキもあるのだ。
それが《流星のガイアッシュ・カイザー》を持ち、《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》で追加ターンを取れ、《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》によって呪文の封殺も出来る【ガイアッシュ覇道】なのである。
ただみかさん曰く、ここからが厄介な話らしい。
例えば上記のカチカチ卍夜盤面を作った後に、《流星のガイアッシュ・カイザー》を宣言に成功して2ドローしたとして、そこから【ガイアッシュ覇道】が勝ち切れるかと言うとそれはそれで微妙ではあるし、捲るのも難しい。当然だが《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》が相応の枚数要求されることになるし、都合よく《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》を持っている訳でもない。
結局その時の【ガイアッシュ覇道】側の手札とかマナ状況とか、或いは【水闇卍夜】側の楯落ち(《堕呪 ウキドゥ》である程度までは救出可能だが)しているカードによっても形成される盤面が微妙に変わることで、「捲れる状況・捲れない状況」がそれぞれ別途生じてくるという訳だ。
例えば卍夜側は早期にループに入れていると、《流星のガイアッシュ・カイザー》が出てきてもマナが無くて上から《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》引き続けても【ガイアッシュ覇道】側は厳しい。
でもマナが伸びていたり、或いは《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》が楯落ちして救出出来ない場合は楯の絶対枚数が増えなくて、実はここで《流星のガイアッシュ・カイザー》をチェンジ《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》することで結構な痛手になったりすることもあるという。
よって、みかさん曰くそこで「この盤面・状況ならば卍夜が最終的に勝っているため勝ちです!」と主張してくれる卍夜弁護士が必要、ということなのだ。
コイツが登場時効果でハンデスだったら何の問題もなかったのだが。
ガイ覇側が何かしらの抵抗を見せた場合、絶対に20分以内の決着が困難であり、故に時間内の決着を付けるためには弁護士に「ガイ覇はここから捲れませんよ~~~」って諭してもらう必要がある、ということなのだ。
うん、話はわかった。
……でもそうはならんやろ。
ワイ「いやいや、弁護士が必要って言うけど、GPの会場で『今から弁護士呼んできます』っては言えないやろ」
みかさん「でもそうでもしないと終わらん」
ワイ「仮に終わらんのだったら、それはGPのデッキとして選択出来ないという話になるじゃん」
といった感じで侃々諤々と話し合いをしていった結果、とりあえず実際に弁護士が必要なのかどうかを対戦して確かめることになった。
結果
結果としてはガイ覇が勝ち越した。
まぁこれは単なる相性の話だからいいとして、問題は中身だ。
卍夜側はループを決めたのならば、自分が勝ったことを証明せねばならない。
だが調査の中で、卍夜がループを決めてターンを返した後に《流星のガイアッシュ・カイザー》から大捲りを決めてしまった試合があったのだ。
特に卍夜側のループの始動が遅れてしまったことでガイ覇側のマナが伸びた時は悲惨で、一度完全ループを決めたもののガイ覇側が《流星のガイアッシュ・カイザー》の宣言から《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》で一時的な切り返しに成功し、《飛翔龍 5000VT》のロックを解除。
続けて《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》+《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》が絡んだことで再ループ突入を拒否。更に一度《インフェル星樹》も通っていたため、禁断解放をチラつかせられる、という状況になってしまった。
そうなると卍夜側が殴るしかなくなるのだが、楯からの禁断解放を達成して卍夜を捲ってしまった……という顛末である。
それ以外にも、一度「これは〇〇と××を持っていて、追加の△△が出来ない限り卍夜側の勝ちでは?」と弁護士が出廷してきたこともあったのだが、この弁護士の言葉通りのことが起きて捲ってしまった事件もあった。
これはつまりは卍夜弁護士が出廷したとしても、弁護士側が勝ちを宣言することは不可能。
結局この対面に於いては卍夜側がループ突入後に勝ち切るために、《ツタンメカーネン》によるループが必要だったことが証明されてしまったのである。
こうして、残念ながら卍夜弁護士は解雇となってしまったのだった
総括
……というように、「卍夜弁護士」というセンセーショナルな言葉もあり、一見するとネタのような話ではあったのだが、だがこの日の出来事とは調整の上では重要なシーンでもあった。
以下、みかづきさんの言葉を引用。
卍夜裁判、起きていることそのものはただのネタなんだけど、今の卍夜の立場を示す上では重要な1シーンではあったんよな
時間切れを度外視したとしても、ポテンシャルとして劣るメカーネン採用型で臨まざるを得ないというは卍夜の選択を遠ざける理由の1つになり得た
これはどういうことかと言えば、端的に言えば「GPに【水闇卍夜】で出ようとした場合、いまの自分たちが使っているリストより弱い構築で挑まざるを得ない」ということである。
デッキとしての強度が高いのは《堕魔 ドゥザイコ GR》12枚構成であったのだが、GPの実戦を想定した場合だとループを決めても一定確率で勝ち切れない試合が発生する。
となると、使用する場合はデッキ強度で劣る《ツタンメカーネン》採用せざるを得ない、という結論になったのだ。
実際卍夜は相性表に於いて一定の成績を残していたものの、それは《堕魔 ドゥザイコ GR》12枚であることのも恩恵も少なからずあり、実戦での相性はそれより落ちると判断せざるを得なかったのだ。
こうして【水闇卍夜】は「デュエキングドリームで新規ドルスザクが出ない場合、GPの選択肢としては厳しい」と評価されることになった。
まぁ結果として新規ドルスザクは出なかったのは全員の知るところだと思うが、これがまた次の悲しい事件を生み出すことに繋がることを我々はまだ知らない。
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