【番外編】映画『ヲタクに恋は難しい』を観てきました

※この記事は映画のネタバレを含みます。

こんにちは、神結です。半月に1回くらいある、デュエマと全然関係ない記事です。

今回は映画の感想です。

最近は映画の感想について、ネットの評判(特にTwitter)を意識することがなくなりました。

というのも昨今、Twitterの映画の感想については所謂「バズ狙い」が酷く、強い言葉が乱発されがちだなぁと感じています。いや、わかるんです。わかるんですよ。過剰に盛ってしまうのも、言葉にインパクトを持たせようとしてしまうのも。でもそれは時に滑稽にも写ることもあるし、そして何より虚構で作られてしまった言葉の壁によって、どうにも映画の本質を見えにくくしてしまうようにも思うんですよね。

まあ結局のところ、よりタチの悪い食べログだよなぁ、みたいな認識になってしまいました。

「百聞は一見にしかず」という言葉もあるので、最後は結局自分の足で映画館に行くしかないわけです。だから皆さんもこれを読んで気になったら、是非映画館へ行ってみてください。

で、今回。ちょっと話題のアレです。

上映時間、二時間もあるんですね……。

経緯

冒頭にも書いた通り、やたら悪評ツイートを見ました。内田真礼さんのライブシーンがあるらしいこと以外の評価は軒並み低く、「制作サイドのオタク蔑視が激しい」みたいな感想も流れて来ました。

ここまでだったらいつものことかと特に気も止めなかったんですけど、その翌日にご存じ全国プレイヤーのあーくんが同じく全国プレイヤーのユーリくんとカバレージライターのげんじくんを連れて同映画を観に行ったらしく(しかもあーくんは二人のチケット代とお昼代も出したらしい)、その夜の通話で「いや、観に行ってくれ」としきりに言うんですよね。

あーくんは昨今プレイヤーとしての評価を高くしてますけど、本質的にはオタクとしての彼が僕は非常に好きで、Twitterをフォローした時に掛けられた言葉が「勇者シリーズが好きで、今観てるアニメがイクサー3なの、信用しかないでしょ」だったんです。いや、こっちも信用しかないでしょ。

そんな彼が行ってくれと言うからには、何かあるんです。Twitterは信用できないけど、あーくんは信用出来る。

事前情報

原作未見。本映画は山崎賢人が主演。主人公の二藤宏高は身長184cmと高スペックだが、人食いのバルトロメオやダイヤモンド・ジョズには及ばないらしい(前者は220cm、後者は503cm)。



雑感

こんな前振りをしてどんな感想を捻り出すのかと思われるかもしれないですけど、個人的にはいくつかアクの強いシーンはあったものの思った以上に面白い作品で楽しかったです。

ストーリーはというと、過去にヲタバレして彼氏に振られたオタク(桃瀬成海 演:高畑充希)が、昔馴染みのオタク(二藤宏高 演:山崎賢人)に再会して付き合うこととなり、イベント等に参加しながらなんやかんやするミュージカル映画です。

はい、ミュージカル映画です。

僕は好きなんですよ、演出としてのミュージカル映画。最初にたまたま観たのが歌の雰囲気がよくて好きだったんです(ちなみにその映画の名前は今でもわからない)。何かというと、場面場面の雰囲気に合わせて歌うんですね。登場人物が。ミュージカルそのものは演劇の世界ですが、それを映画に持ってきた感じのジャンルです。気になる人は『ミス・サイゴン』とかで『レ・ミゼラブル』とかでググってみてください。

ところで劇中に内田真礼さんのライブシーンがあることは先にも書いたんですが、この演出もミュージカル映画だったせいで入れることが出来たんじゃないかな、と思ってます。たぶん普通の映画だったら、なるみんが遠くから「なんかのライブやってるところを見る」的なカメラアングルが限界だと思うんです。そのシーンだけリアルタイムライブだと、どうしても浮いてしまうような気がします。

ちなみにその内田真礼さんがこの世界線ではどういった扱いなのか非常に謎で、賀来賢人曰く「大人気声優」ですけど、地下アイドルっぽいライブ会場だったですよね。多分この辺りは制作サイドの知識不足や認識違いで、実際他にもそういったシーンはありました(担当以外の曲に全くノらないとか、コミケのシーンで山崎賢人前に行列を作る一般参加者とか、その行列を見て極めて冷静な成海とか)。実際この辺りを見て違和感を覚えるのはオタクだけなので、僕はこの辺りをあまり映画の評価軸に含めないです。大河ドラマでいちいち「史実と違う」みたいな指摘をしないと同じ感覚です。

話は逸れましたが、ストーリー的には前後左右に大きく心を揺さぶられたり濃密なストーリーがどうこうってわけではないので、比較的気軽に観られてスナック感覚で楽しめる映画だと思います。「見終わった後に無だった」みたいな感想もあったんですけど、そういう系統の作品ではあるので「なんとなく2時間をほんわかと過ごしたい」時に観られる映画なのかな、と思います。ちなみに、オチは好きでした。世界史鍋TVで観たようなエンディングも、個人的には好きです。

「制作サイドがオタクを蔑視してる」という印象は受けませんでした。

もう少し踏み込んだ話

ところで正直なところを申し上げると、スクリーンを直視出来ないシーンが二カ所ほどありました。特にその一カ所目が冒頭5分というのが、致命的にこの映画の評価を下げているような気がしてならない。これがテレビだったら、間違いなくこの5分でチャンネルを変えていたと思います。

小説や漫画といったエンタメでは「冒頭で読者の興味を引く」というのが鉄則だが、逆に冒頭で読者をドン引きさせるのも中々珍しい。

ちなみにどういうシーンかというと、ウザいおっさんが会社の事業について説明してるのが、演技とか演出とかそういうのを飛び越えて普通にウザく、不愉快なんですよね。共感性羞恥という訳でもなく、本当にウザい。しつこいようだがウザい。この5分で思わず時計を見てしまい、「うわっ。これあと110分もあるのか……」と絶望。

と、ここまで書いて思ったんですけど、開始5分で鑑賞者のテンションを谷底に落とすことで後から普通のシーンでも評価を上げて貰えるん演出?な気さえしてきました。映画館は冒頭5分で人は帰らないし。こうなると、術中にハマったみたいで若干の悔しさがあったりなかったり。

ちなみにもう一カ所の直視出来ないシーンは居酒屋でのコスプレ自己紹介シーンでした。fgoの人気キャラのコスプレをして、レイヤーさんたちがそのキャラの名乗り口上を披露するというシーンなのですが、イベント会場とかでサービスでやってくるものではなく、こう客観的にそういったシーンを見せられると「ウッ」ってなります。まあつまり、こっちはわかりやすい共感性羞恥です。あと微妙に「そんな台詞あったっけ……?」ってなったり。

Q.「雑魚どもを蹴散らしにいくわよ」って言ってる彼女は、何者ですか?
A.雑魚どもを蹴散らしにいくウーマンです。

Q.この主人公の名前はなんですか?
A.ぐだ子です。

結局オタクに恋は難しかったのか?

実のところ一切説明しないパロディシーンがいくつかあったり、その他コミケやコスプレ、原稿〆切と僕にとっては馴染みのシーンも、一切関わらずに生きてきた人の方が遥かに多いでしょう。

ちなみに鑑賞時に僕の前に座っていたのは大学生くらいのカップルだったのですが、終わった直後の感想は「よくわからなかったね」とか「山崎賢人がカッコよかったからよかったね」だったので、結局のところこの映画の本質的な部分まで理解できるのはオタクという人種だけなのかなぁ、と。デュエマのネタはDMPにしか伝わらないですからね。

そういう意味ではオタク向けの映画であり、オタクに観て欲しい映画でもあります。

 

ところで「ヲタクに恋は難しい」というタイトルですが、恋が云々というより、そもそも「ヲタクにコミュニケーション全般は難しいんだな……」というのが映画のまとめになります。

まだ観てない方は、是非鑑賞してはいかがでしょうか。

※気になることがあったら適度に追記していきます

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その他コミックヲタクに恋は難しい(1)