yk800の週刊! メタゲーム・ウォッチング Vol.23【20.2.20】

 どうも、レッドことyk800です。キリフダッシュ! 今回は筆者都合によりメインフェイズから少し遅れてアタックフェイズでの召喚と相成りました。「キリフダッシュ」だから仕方ない。うん。

 コロコロコミックにて来期のトップバッターを飾るキングマスターカードが公開され、テンションブチ上がりなエブリデイを過ごしています。10個ですよ10個、10個も新規メカニズム登場してテンション上がらないわけがなく。

 現在公開されているのは「キリフダッシュ」「鬼タイム」「マジボンバー」の3種ですが、比較的クセが強いメカニズムが多く、環境に与える影響の大きさに予想がつきません。
 「マジボンバー」は見たまんま強そうですけどね! 《U・S・A・ELEKI》のテキストにおいて「マジボンバー」の説明がカッコで括られているところを見る限り、どうも攻撃時に限定された能力であることが予想されます。スピードアタッカーを付与するカードの価値が向上するかも……? 新カードももちろんのことながら相性のいい旧カードにも思いを馳せたいところですね。

 新カードへの感想はそんなところで本編に移りたいのですが、今回はちょっと特殊な構成……? いつもの記事を楽しみにしてる皆さんには肩透かしかもしれませんが、こっちはこっちで楽しんでいただけるはず。2月第3週、メタゲーム・ウォッチング、スタートです!



今週のトピックス

実録! メタゲーム・ウォッチングができるまで

 はい、というわけでして。今回はいつもと趣向を変えて、「普段メタゲーム・ウォッチングがどんな風に書かれているのか」というところを、今週のメタゲームを題材にして実践形式で記事にしていきたいと思います。

 毎週毎週この記事を書くために頭をフル稼働させて「書くこと」を生み出しているわけですが、ぶっちゃけ行き詰まったこの過程を誰にも知られないまま腐らせておくのももったいないのでは? と思い立ち、いつものメタゲーム・ウォッチングとは一味違う「ノウハウ本」のようなコーナーを設けてみることにしました。

 もちろん今週のメタゲームを題材として考察していくので、実用性の方もバッチリ(の予定)! お楽しみいただければ幸いです。それではどうぞ!

手順その0:Twitter、YouTubeなどで情報収集

 情報収集というよりボーっとTL眺めてるだけだったりするんですが、それでもセンセーショナルなデッキが登場すれば話題になったり、どこぞのCSの入賞リストが流れて来たりと、記事のフック集めには事欠かないのがTwitterです。もちろんDM You Tuberの最新動画もチェック対象。

 ただ、「やらなきゃいけないこと」という意識は薄いので、油断してるとここは疎かになりがち。積極的に入賞リストや動画をRTしてくれるフォロワーさんには日々とても助けられております。感謝……。

 今週の場合はCS結果の報告見て「なんか【火光ビートダウン】勝ってんな〜」ぐらいのざっくりした感想でしたが、こういうざっくりとした感想なんかも記事を書き始める上では結構大事な要素になります。

手順その1:集計作業

 まず、何はなくともこれをしなければ始まりません。データ無くして考察なし。全ての作業のなかで最も重要です。

 筆者は、大体火曜日の深夜に集計作業を終わらせ、翌日のアルバイト中、暇な時間だったりにその情報を元に環境を考察して構成を練るのをお決まりの流れとしています。厳密に決める必要はないんですが、週刊記事を書く場合はこういうサイクルをぼんやりとでも作っておくと継続しやすいのでオススメです。

 Q.「CSは日曜日までで終わるし月曜日に集計すれば良くない? そっちの方が考察に使える時間長いじゃん」

 A.情報が出揃っていないことが多いので、精度の高い情報を掲載するにはむしろ「できる限りギリギリまで待つ」ことの方が重要です。

 独自に情報を集めているわけではなく、田園補完計画さんにアップされた記事を情報元として使用している都合上、先方の記事のアップ状況によって情報の密度が変わってしまいます。なので、集計はできる限りの情報が出揃ってからにしたいのですが、水曜の夕方から集計をしていては考察に費やせる時間がほぼ皆無になってしまいます。考察は頭の中だけでもできなくはないですから、バイト中の時間を有効活用するためにも、集計は必ず火曜の深夜。

 火曜から水曜に切り替わる午前0時。当然怠惰にTwitterを眺めていた筆者は、TLに流れて来た時報がわりのごはんダークマターを見届けると、「まだTL眺めてたいな〜……」という気持ちを押し殺して、Numbers(※Macにプリインストールされた無料表計算ソフト)を起動しながらブックマークの田園補完計画さんのページへ飛びます。

 スクロールしていくと結構すぐに大会結果の記事が見つかるので、記事についたタグの一覧から「殿堂」を探し出してクリック。殿堂構築で行われたCS結果がずらりと並びます。たまに2ブロックや過去の日付の大会結果が混ざっていたりするのを手動で弾きながら、新規タブでガンガン大会結果を開いていきます。ページの下まで行ったら、「次のページ」をクリックしてページをめくりつつ、今まで開いた大会結果の記事を読み、打ち込んでは消し打ち込んでは消ししていきます。
 全部終わったら2ページ目の記事をまた開けて、今週分のを全部確認したらまた打ち込んでは消し打ち込んでは消し。

 集計作業といっても、アーキ名見ながらぼんやり数字を打ち込んでいくだけではお話になりません。当然ながら、入賞したリストには一通り目を通します。馴染みの薄いカードやデッキ、おなじみのデッキであってもメタカードや初動の枚数・配分は必ず記憶の片隅に留めて、集計結果と照らし合わせることで考察の精度を上げていきます。

 また、最近のデュエマは一日単位でメタゲームが変わることもザラにあるのでCSの開催日もぼんやり覚えておくと良いでしょう。環境末期になるとさすがにそこまでの大きな変動は見られないことが多いですが、新環境が始まってすぐの回転速度は本当に凄まじいものがありますからね……。

 というわけで、なんやかんやあってデータが取れました。今週の結果はこんな感じです。

手順その2:印象の書き出し

 まずは、集計結果と眺めた入賞リスト、またを元に、ざっくりとした印象を書き出していきます。ここで書いたこと全部を記事にするわけではないので裏付けや精査は要りません。とりあえず思いついたこと全部書く。

 今週の場合であれば、

・【デイヤー】首位返り咲き。今週は圧勝。(事実)

・【火光ビート】、前週ランク外からの大躍進(事実)

・他は【バーンメア】をのぞいて全体的にパッとせず、事実上の3強環境。(事実)

・【バーンメア】はなんだかんだ火水自然のカラーリングが大多数。(事実)

・【火光ビート】が2日めに一気に増えた印象?(感想)

・リスト公開されている【火光ビート】はほとんどが《ナゾの光 リリアング》+《銀河の裁きに勝てるもの無し♪》の爆発的な展開力を主軸に据えた純正GRビートダウン。たまに《瞬閃と疾駆と双撃の決断》採用型もあるが、《龍終》+《アバレガン》や《クラッシュ“覇道”》、《サンマックス》や《レッドゾーン》などの大打点フィニッシャーを採用した構築は皆無。「縦に突破する」よりも「横に広げて殴る」戦術が強かったといえそう。(事実+考察)

・【デイヤー】のフィニッシュ手段がさらに多様化。《ザルバ》、《ベラ》、《バビロニア》、《ラルド・ワースピーダ/H.D.2.》に加えて《ひみつのフィナーレ!》までもが本格的に採用されはじめ、なんでもいる。(事実)

 とまあ、ざっくり挙げればこんな感じに。適当に思いついたこと全部書き上げるのは大事なことなんですが、それが「事実」であるのか「感想」であるのか「考察」であるのかはキッチリと区別しておきます。

 事実は考察の原料、感想は考察の燃料。

 メタゲーム・ウォッチングという形で出力していいのは基本的に事実と考察のみなので、ただの感想は絶対に加工しなければなりません。そのまま出したら異物混入事件でお縄です。それを避けるためにも、必要となるのが次のステップ。

手順その3:要因の考察

 考察、それは「なぜ?」を追求する行為。

 なぜ【デイヤー】が首位に返り咲いたのか?
 なぜ【火光ビート】はランク圏外から一気に入賞数を伸ばしたのか?
 なぜ環境は3強の状態で落ち着こうとしているのか?

 これらには全てなんらか理由が存在し、それを見つけてまとめることこそがメタゲーム・ウォッチングの本懐。逆に言えば、「まとめた結果を報告するだけで要因を考察しないようでは記事にする意味がない」ということ。ここが頭の使いどころです。

 メタゲームはそれ単体で存在するわけではありません。前週の環境的な要因を引き継いで今週のメタゲームが形成されるためです。当然、前週のデータが考察には必要不可欠。

 また、毎週最後にメタゲームの予想をするのは、翌週の課題を明確にするためでもあるのです。
 大枠が当たっていても、もしくはてんで外れていても、なんらかの形で「予想との差異」は必ず発覚します。この「予想との差異」に着目し、「なぜ予想と違ったのか?」を考えることで環境に起こった変化が把握しやすくなります。

 先週段階での予想は「【カリヤドネ】や【水魔導具】などのスペルコンボ、【火水クラッシュ“覇道”】の立ち位置は良く、ビートダウン系統の立ち位置はあまり良くない」というものでした。

 蓋を開けてみれば、【カリヤドネ】と【クラッシュ“覇道”】はベスト5にこそ入っているもののその他のデッキとあまり大差はなく(【カリヤドネ】は母数の少なさを考慮に入れるとそれなりに活躍したといえそうではありますが)、反対に先週はまったくパッとしなかった【火光ビートダウン】がシェアを爆発的に伸ばしました。

仮説その1:「メタが2段階進んだのではないか?」

 多くの場合、メタゲームは1週間に1段階進みます。これは、「1週目に優位を保っていたデッキに対してに有効なデッキが登場する2週目、3週目には2週目に活躍したデッキに優位なデッキが……」というような動き方。
 今回の事例で言えば、先週は破壊除去による受けトリガーの枚数が増加傾向にあり、今週は順当に行けば「破壊除去による受けを意に介さない」ギミックを搭載したデッキが有効であると予想できました。このさらに一歩先、「破壊受けが通らないデッキに対して強く出られる構築が流行ることを見越し、そこに有効なデッキが勝つ」というのが「2段階進んだメタゲーム」であると言えます。

 仮説を立てた後は裏付けを探していきます。
 いろいろとリストを眺めていくと、今週の【バーンメア】に搭載された墓地メタの枚数にヒントを見つけられそうです。

 先週は多くのリストで0枚近くにまで抑えられていた【バーンメア】の墓地メタですが、今週は《お清めシャラップ》と《ポクチンちん》の2種を合計2〜3枚程度採用したリストが半分以上見受けられ、墓地コンボに対するガードは上がっていました。
 これと反比例するのが受けトリガーの枚数や質であるわけで、その観点で見れば、今週の【バーンメア】は以前と比べ高速ビートダウンに対するガードを下げたと考えられます。これが【火光ビートダウン】のポジション向上に繋がったのではないでしょうか?

 さて、ここでシナプスがスパークルします。……そういえば、【火光ビートダウン】って2日目に増えてそうだったよなぁ。

仮説その2:「今週は土曜日に予想と近いメタゲームが形成され、そこから1日でもう一段階メタゲームが進んだのではないか?」

 書いてみればなるほど、わかりやすくて魅力的なストーリーラインです。実際にそうであれば、ドヤ顔で「先週末の結果まとめ」の項目を書くことができます。
 このように見た目に理解しやすいメタゲームの推移は記事を書く上で非常に役立つ反面、大きな罠も存在します。それは、「印象で記事を書いてしまいがち」になることです。このまま記事を仕上げたい気持ちをグッと堪えて、まずは田園補完計画さんのトップページへ飛びましょう。

 考察には必ず裏付けが必要になります。今回の場合はかなりわかりやすいですね。2/15と2/16のそれぞれについて大会結果を集計し、それを比較検討すれば良さそうです。「頼むから【火光ビートダウン】は2日目で増えててくれよ……」と祈るように集計をした、その結果がこちら。

 ダメかーーーーーーーー!

 絶対数で見れば【火光ビートダウン】は1日目から2日目にかけて増加していますが、それは開催されたCSの数を比較すれば当たり前の話。実態を見るために割合へと目を向ければ結果は一目瞭然。【火光ビートダウン】の「勝っている」度は1日目と2日目で全く差がありませんでした。というわけで仮説その2はボツ
 推測が外れていたのは悲しいですが、間違った情報をドヤ顔で載せる危機を回避できたのでよしとしましょう。

 しかし、こうして日付ごとの集計結果を取ってみると、1つ面白いことがわかります。

 1日目は【バーンメア】が僅差でシェア1位であったにもかかわらず、2日目には【デイヤー】が大差をつけてシェア1位を奪取しているではありませんか! 最初の印象では「【火光ビートダウン】は2日目めっちゃ勝ってるな〜」と思っていましたが、実際に2日目めっちゃ勝っていたのは【デイヤー】だったのです。

 ここまでの情報を整理してみましょう。

⒈【火光ビートダウン】は1日目の時点で既に復権している。

⒉「一段階進んだメタ」を想定すればスペルコンボの立ち位置は良いものだった。しかし、【火光ビートダウン】が活躍する環境であれば、スペルコンボ系統の立ち位置は当初の予想より悪いものになる可能性が高い。

⒊以上の2点より、スペルコンボとの相性があまり良くなく、なおかつ【火光ビートダウン】に対して構築次第で対抗が可能なデッキは活躍できる可能性が高い。

 ここで、今週勝った【ドッカンデイヤー】の構築を改めて検討してみましょう。

 全部が全部、というわけではありませんが、今週入賞した【デイヤー】はその多くが《テック団の波壊Go!》や《九番目の旧王》を3〜4枚、さらに一部の構築では《罪罰執行 ジョ喰ンマ》までもが投入されているなど、カウンターでループインするプランを残しつつ、除去による単純な受け性能を重視したトリガーの採用数が増加しています。究極的にはビートダウンデッキである【バーンメア】に対しても一定の効力を期待できるこれらのカードは、一方でコンボデッキに対してはあまり有効ではありません。

 さらに以前は墓地メタとして広く採用されていた《お清めシャラップ》さえも、もはや採用していない構築がほとんどであり、2日目に結果を残した【デイヤー】は強烈にビートダウンデッキを意識した構築であったと読み解くことができます。

 【バーンメア】というデッキは、ビートダウンに対してコンセプトレベルで一定の耐性を持つ反面、《グレープ・ダール》、《バーンメア・ザ・シルバー》、《ムシ無視のんのん》の各4投12枚がほぼ確定枠で、なおかつこれらは能動的な勝ち筋にはなりうるものの、お互いや《バーンメア》の5枚目以降となる《エモG》以外との噛み合わせがあまり強くありません。コンセプトの完遂に費やされる枠が多いため、構築全体を極端な方向に寄せることは比較的苦手とします。

 一方で【デイヤー】において必須と言えるパーツは《MEGATOON・ドッカンデイヤー》4枚と《スゴ腕プロジューサー》が4枚、後は勝ち筋を2〜4枚ほど。枚数的には【バーンメア】と大差がないように見えますが、勝ち筋の枠が浮いている点がキモになります。
 手順その2で書き出した通り、【ドッカンデイヤー】の勝ち手段は非常に自由度が高いです。改めてデッキ構造を検討すると、このデッキの勝ち手段として必要なのは大きく分けて2つの役割。

⒈無限自壊ループを生成するカード
《百発人形マグナム》、《斬罪 シ蔑ザンド》、《零星 アンバラン》

⒉無限回使用することで勝利できるカード
《腐敗麗姫ベラ》、《黒神龍ザルバ》、《H.D.2.》、《蒼神龍ヴェール・バビロニア》+ハンデス、《ひみつのフィナーレ!》or《「本日のラッキーナンバー!」》+《回収 TE-10》+マナアンタップ手段(《ひみつのフィナーレ!》の場合は《サイバー・I・チョイス》も可)

 などなどなどなど。実際、無限自壊ループを生成するカードなどは《学校男》なんかでも成立するわけで、潜在的な選択肢をあげれば枚挙に暇がありません。

 それぞれのループパーツにも特徴があります。《百発人形マグナム》はメタクリーチャーとして優秀ですし、《シ蔑ザンド》や《アンバラン》は「GR召喚」という【デイヤー】の重要なピースを埋めてくれるカードです。

 《ベラ》や《ザルバ》は貴重な闇文明のマナを産んでくれるフィニッシャーですし、《H.D.2.》は5マナでブースト札して使用して一気にマナドライブ7を達成することができます。これらは単体で勝利することができるのも魅力。

 《バビロニア》や《「本日のラッキーナンバー!」》、《ひみつのフィナーレ!》は単体での勝利が見込めないものの、ハンデス+潤滑剤・GRをも止めるロック・受けトリガーと三者三様に独自の持っている点が強力です。

 他のカードが必要になるとはいうものの、《バビロニア》であれば妨害としてシンプルに採用が見込める《ジェ霊ニー》や初動に計上できる《ベラドンナ》をコンボパーツとして使用できるためメインの枠を圧迫するものではありません。
 《ナンバー》や《フィナーレ》などのスペルループはやや扱いが難しいものの、マナアンタップ要員の代表格である《ハリケーン・クロウラー》は下面の《ブレイン・チャージャー》によって2→4→6のマナカーブを埋める役割を持てますし、ループパーツである《回収》の無限召喚ループによって墓地から無限回単色呪文を回収できるようになるため、アンタップマナが足りなくて困る、というようなシチュエーションも考える必要がなさそうです。

 これらの多彩な役割を持つ勝ち筋たちを環境に合わせて自由に組み替えることができ、さらに「デッキタイプが割れても相手がどの勝ち筋を採用しているのかなかなか判別できない」という点が現在の環境における【デイヤー】の強みである、と言えるでしょう。

 というわけで、ここまでの考察を元に、記事の方針を決めています。

 まずは土曜日、ビートダウン絶不調だった前週の結果を受け、【バーンメア】はビートに対するガードを下げました。活躍が見込まれるミラーや【カリヤドネ】をはじめとした墓地コンボに対するガードを上げたものの、その隙を付いて【火光ビートダウン】は急浮上(=なぜ【火光ビート】はランク圏外から一気に入賞数を伸ばしたのか?)

 元々【バーンメア】というデッキは横展開から過剰打点で圧力をかけられるのはあまり得意ではありません。その影響か、今週入賞した【火光ビートダウン】は横への展開を重視したGRビートダウンがその全てを占めていました。

 【火光ビートダウン】が有力な選択肢であることが判明した日曜日には、フットワーク軽くビートダウン対策を厚めに採った【ドッカンデイヤー】が爆発的にその勢力を拡大しました(=なぜ【デイヤー】が首位に返り咲いたのか?)

 入賞割合の変化を見れば、3強を担う【火光ビートダウン】と【バーンメア】は土曜日から日曜日でその割合にさほど変化がなく、押し出されるように数を減らしたのはその他の雑多なデッキたち。勝ち筋の強固な【ドッカンデイヤー】が一気に幅を利かせた結果、線の細い零細デッキは迫害を受けたとみられます(=なぜ環境は3強の状態で落ち着こうとしているのか?)

 よっしゃ草稿完成! 長々と文章を書いたことから分かる通り、メタゲーム・ウォッチングを書くのはこの時間がマジで大半です。
 といっても今週はめちゃくちゃわかりにくい類で、実際はもうちょっとわかりやすい変化をしてくれることが多いです。【ヤドネ】爆勝ち→翌週【火光ビート】と《お清め》3投【バーンメア】がドカ勝ち、みたいな。

 あとはこの下書きにも満たないような数行の考察をひたすら膨らませていく作業になります。

手順その4:執筆

 ひたすら書きます。と言っても、手順その3で踏んだ裏付けを取ったりリストを眺めたりする段階で、大体の構成はほぼ決まっています。当連載においてお決まりのコーナーを設けているのは、主にここの作業を簡略化させるためのものです。考えることが少なければ少ないほど考察に回せるリソースが増えますからね。

 僕の場合、平日のバイト終わりが大体18時。帰宅に10分ほどかかって、お風呂入ったりおやつ食べたりして実際に着手するのは18時30分ほどでしょうか。で、そこから部屋に籠もってひたすらキーボードを叩き、書き終わるのは早くて21時、遅くて23時ごろですかね。大体2時間30分から4時間30分程度。ここの差異は文章の量よりも、むしろ内容の裏取りにかかった時間やスライド作成の有無に左右されることがほとんどです。実は、書くことない時の方が難産なので文字数が多い時より少ない時の方が実際に執筆にかかった時間は長かったりします……。

 スライドは目新しいデッキが出てきた場合に必要に応じて……と言ったところでしょうか。簡単に言えば「カード同士のシナジーが重要でガチャガチャ動くデッキ」にはスライドを用意しますし、いわゆる「金太郎飴」デッキに対してはあまりスライドを用意しません。また、前環境からあったデッキの動きを踏襲したデッキも用意しないことが多いですね。【ジョーカーズ軸火水自然ミッツァイル】→【火水自然バーンメア】とか。

 筆者の気分次第で作ったり作らなかったりしますが、必要だと思った場合には多少時間が押しても必ず作ることにしています。最近出番が少ないのは、まあ、新デッキが少ないからですね……。

手順その5:公開!

 全部書き終わったらプレビューでざっくり全体をチェックし、flat-さんや神結さんの承認を得れば晴れて公開です。お疲れ様でした!

手順その6:誤字チェック

 公開する前にしろや!

 実際に出してみないとわかんないんですよねえ、あれ。なんなんでしょうねえ。
 たまに画像がなぜかうまく添付されてなかったりするので、その辺りの修正も込みで、アップから大体30分ぐらいはPCの前に張り付いてます。投稿しましたツイートがRTされるのが楽しいからという話もある。

 というわけで、今回は特別企画、「メタゲーム・ウォッチングができるまで」をお届けいたしました。

 最初に書いたんですけど、今回マジで行き詰まりかけまして。いろいろどうしようか悩んでたんですよ。

 で、悩み続けた結果、「今考えてることを順番に全部書いていけばなんか糸口見つかるんじゃね!?」という頭の悪い着想に、「最悪考察の過程晒してなんかノウハウっぽくまとめれば着地点見つからんくとも面白い記事になりそうやしええやろ!」という頭の悪い出力を掛け合わせて、非常に頭の悪い企画をブチ上げてしまったんですが(これ書いてる時点ではまだチェックもらってないのでゴーサインが出るかわかりません。綱渡りィ!)、どうにかある程度説得力のある着地地点が見つかってメタゲーム・ウォッチングとしての体裁を保てそうです……。いやマジで危なかった……。

 実際どの程度参考になるかはわからないんですけど、特に手順その3に関しては単純にメタを考察する際に結構役立つテクニックなんじゃないかなあ? と手前味噌ながら思いますので、ぜひぜひ頭の片隅にでも留めていただければ。

今週のメタゲーム予想

 【火光ビートダウン】、トリガー厚めの【デイヤー】が立て続けに復権したことにより懐かしの3強環境へと突入しました。もっとも、今回はそれほど強固なものではなさそうに感じます。【バーンメア】の構築がオーソドックスな形に戻れば収束してしまいそうですね……トリガーの枚数がある程度戻って来れば【火光ビートダウン】にとって厳しいデッキであることに間違いはありません。
 【デイヤー】に関しては《九番目の旧王》と《テック団の波壊Go!》の存在により《シャッフ》宣言の難易度が跳ね上がっているのが曲者。相変わらず《ジェイ-SHOCKER》の苦手を克服できてはいない以上、意識されれば厳しいことは明々白々ですが、以前よりは対等に戦えるようになっていると考えられます。

 その他のデッキの活路については……現状ではなんとも言えませんね。早いターンに《ジェイ-SHOCKER》から攻撃を仕掛けられるデッキがあれば決して悪くなさそうですが……あるのかなあ。【龍終アバレガン】とか、【火水クラッシュ“覇道”】であれば、あるいは?

 といったところで、今週のメタゲーム・ウォッチングはここまでとなります。それではみなさま、良い週末を!