yk800の新・週刊! メタゲーム・ウォッチング Vol.12【23.09.09】

　どうも、レッドことyk800です。なかなかに立て込んでまして度々の休載申し訳ございません……！

　ざっくりとおさらいすると、先々週は【青魔導具】と【アビス】が環境を席巻する週となっていました。上位2デッキで合わせて約30%。……と聞くと途端にそこまで偏っていないようにも感じますが、実際のところ入賞数で言えばもう少し下のデッキとは顕著な差として現れていた印象です。

　しかし、偏ったメタゲームは回りやすいのがこの世の常。環境は週ごとに大きく姿を変えていきます。目まぐるしくメタが流れ始めた9月第1週。メタゲーム・ウォッチング、スタートです！

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結果総まとめ

先週から今週（2023/9/2〜9/8）にかけてのCS結果は以下の通り。

（※データはDMPランキングに掲載されている公認CSの運営Twitter等を元に独自に集計したものとなっております。詳細な大会結果を確認できなかったCSについては集計の対象となっていないこと、その他抜け・漏れがある可能性がありますことをご了承ください）

【青魔導具】強し。

　【サムライ】や【赤単我我我】といった明らかなカウンターデッキの大流行から逃げ切っての入賞数1位。

　派生デッキである【青黒ヴォゲンム】の入賞数を差し引いての結果ですので、さすがに現環境においてデッキパワー最強を疑う余地はないでしょう。通常の《月下卍壊ガ・リュミーズ卍》を使った構築では《堕∞魔ヴォゲンム》の

　その【サムライ】や【赤単我我我】は【青魔導具】大流行と聞きつけてやってきた今週の好ポジションデッキたち。

　【サムライ】は追加の初動に《戦術の天才マロク》を採用した構築や《ドラゴンズ・サイン》を採用したうえで《覚醒連結 XXDDZ》と《音卿の精霊龍ラフルル・ラブ》を2:2で採用した構築、あるいはそのハイブリッドなど、細部のバリエーションの開拓がどんどん進んできています。

　特に《覚醒連結 XXDDZ》と《音卿の精霊龍ラフルル・ラブ》の両採用がデフォルトになりつつあることで、呪文主体のデッキに対して比較的安定してアプローチできるようになってきているのが、このデッキの環境における大きな主張点。

　もちろん環境最上位のデッキとして評価を確立している【青魔導具】に対して有利な点も良く、再評価の流れが進んでいます。

　【赤単我我我】は特定のキーカードを持たないため比較的ハンデスに強く、リソースカードや《烈火大聖ソンクン》のおかげで粘り強いゲームもこなせる点が強力。

　盤面を並べるデッキであるため単に止められるだけでは返しのリーサルが解除しづらく、全体除去のようなアグロ対策一辺倒のカードが環境柄採用しづらいこともあってこちらも現在のメタ傾向にうまくハマッている印象です。

　その下では、【赤緑アポロヌス】・【青黒ヴォゲンム】・【アビス】・【5cザーディクリカ】がほぼ横並び。

　基本的には以前から高い評価を得ていたデッキ群ですが、この中でひときわ異彩を放っているのが【青黒ヴォゲンム】。　【青魔導具】の派生系でありながら単独で20以上の入賞数を叩き出す大躍進を遂げています。

　先々週の時点では《卍新世壊卍》＋《月下卍壊ガ・リュミーズ卍》を主体とした従来型の【青魔導具】が圧倒的多数で、登場したばかりの【青黒ヴォゲンム】はやや下火となっていました。

　が、【青魔導具】が一躍環境最強クラスに躍り出たことでマーク対象として突出し、カウンターデッキである【サムライ】や【赤単我我我】が先述したように大幅に増加。

　コンボプランを完全に切り捨てて除去や受け札の枚数を安定させた【青黒ヴォゲンム】はアグロに対しての勝率を見込みやすいため、ちょうど先週は活躍しやすい環境が整っていたと言えます。

　構築も登場直後から洗練されており、「アグロに強い」という【青魔導具】との差別化点を強調するためか、より堅実にアグロを受けられる《秩序の意志》を採用した構築が主流になってきています。手札回転効率の良い軽量魔導具呪文とS・バックの性質が噛み合うのはもちろん、闇マナの供給源としても優秀なカードです。

　コンボデッキとしての押し付けの強さが活きる対面も数多くあるため一概には言えないものの、現在の環境トップ陣との対面を考えれば【青魔導具】以上に適したデッキであるように感じました。ただし、直接対決では決定力と遂行速度に優れた【青魔導具】の方がやや優勢か。

　【赤緑アポロヌス】は手札コンボデッキであるためハンデスで足並みを崩されやすいこと、一度返されると再度走るリソースは確保しづらいこと、あまりに存在感がありすぎるためにそもそも【アポロ】に対して何らかの切り返しを持つデッキしか上位にいないことなどから、他のデッキと比べても環境上の立ち位置はかなり悪め。

　デッキ自体の理不尽さで一定の入賞数は確保しているものの……、といった印象です。

　【5cザーディクリカ】は【青魔導具】系のデッキに弱くアグロデッキ全般に強いという絶妙な相性関係。環境トップの【青魔導具】と絶賛勢力拡大中の【青黒ヴォゲンム】に弱いため今この瞬間はかなり厳しいポジションにありますが、メタの周り次第では悪くない選択肢になりうるでしょう。

　【アビス】はハンデスやトリガー自体は一定数有しているもののそこまで受けの比重が高いデッキではないため、アグロデッキ増加の煽りをそのまま受けた形。

　仮に受かったとしても既に形成された盤面を抑え込む手段があまりなく、《アビスベル＝ジャシン帝》が着地していなければ防御自体は成立しても返しに差し切れずそのまま押し切られてしまいがちです。　【青黒ヴォゲンム】も決して有利とは言えない相手で、やや環境上の強みが弱まってきています。

　その直下ではしばらく不遇をかこっていた【アナカラージャオウガ】や【4c邪王門】がウォーミングアップ中。

　【アナカラージャオウガ】はメタクリーチャーと4〜5ターンの《CRYMAX ジャオウガ》への意識が下がった環境に鋭く突き刺さり、【4c邪王門】はアグロが強い環境であれば言わずもがな。対【サムライ】だけは《一王二命三眼槍》に頑張ってもらう必要があるものの、【赤単我我我】・【赤緑アポロヌス】には相変わらずの強さです。

メタゲーム予報

　大ビート時代をどう捉えるかが今週末のカギとなる予感。

　シンプルにビートダウンを意識するのであれば有力な選択肢は分かりやすく強力なトリガーを有するデッキでしょう。【5cザーディクリカ】や【4c邪王門】、あるいは【マッド・デッド・ウッド】や【5cロマノフ】などのS・トリガーを主体としたデッキはビートダウンに対して良好な相性をキープできる選択肢です。

　が、この手のデッキは軒並み【青魔導具】にさほど良い立ち位置を主張できません。　また、【サムライ】の評価向上まで考えるのであれば呪文に受け手段を依存した受けデッキはややリスクもあるように思われます。

　直近でグングン勢いを伸ばす【青黒ヴォゲンム】はまさに台風の目。アグロデッキにも一定の勝率を担保しつつ、アグロを止めに来た受けデッキに対してもかなり勝ちやすいデッキであるため立ち位置でいえば◎です。

　しかし、さらにアグロが少なくなって受けデッキと【青黒ヴォゲンム】ばかりのフィールドになれば従来型の【青魔導具】の独壇場。この辺りのバランス感覚が今週末は重要になってくるのではないでしょうか。

　ここまでに上がってない選択肢で言えば、極端に受けに寄せず、　最小限の面ストップ非呪文トリガーで打点を捌いてカウンターに持ち込む4〜5ターンリーサル主軸のデッキは面白い選択肢かもしれません。

　具体的には《終止の時計ザ・ミュート》を採用した【アナカラージャオウガ】や、《スロットンの心絵》＋《「正義星帝」＜鬼羅.Star＞》＋《終末の時計ザ・クロック》や《奇天烈シャッフ》といったパッケージをフル活用できる【ライオネル.Star】系のデッキ。これらのデッキの活躍には個人的に注目したいところです。

今週のメタゲームウォッチングはここまでとなります。それでは皆さま、良い週末を！