yk800の週刊! メタゲーム・ウォッチング Vol.17【20.1.8】

 どうも、レッドことyk800です。新年も明けて1週間が経ち、今週からお仕事・学校初めという方が多かったのではないでしょうか。僕も2日から昨日まで毎日シフトインしていたので、バイト先で日付を記入する際に「2020年」と書くことにもそろそろ慣れてきました。嘘、やっぱちょっと違和感ある。なかなか慣れないですよね、あれって。

 とまあ益体もない年明けあるあるはさておき、デュエル・マスターズ的には新年早々から大荒れとなった1月第1週。もうだいたいどんな感じになっているか想像がついている読者さんも多いのではないかと思いますが、解説はしっかり行っていきたいと思いますよ。
 今回は冒頭の挨拶もあっさり目に、メタゲーム・ウォッチング、スタートです!



先週の結果総まとめ

 まずは先週(19.1.1〜19.1.5)行われたCSの結果を見ていきましょう。
(※元となった大会結果は田園補完計画さんからお借りしています。また、情報の抜け・漏れがある可能性がございますことをご了承ください)

 デイヤーーーーーーーーーッ!!!

 失礼しました。デイヤーと出てしまいました。

 というわけで見事先週のベストデッキのポジションを勝ち取ったのは新勢力【火水自然(闇)ドッカンデイヤー】。年始早々から日本各地で《MEGATOON・ドッカンデイヤー》がCS会場を飛び交い、お互いがお互いに手札を投げ捨て合う、世紀末のような幕開けとあいなりました。

 今回はリスト公開の有無などの理由から泣く泣くデッキタイプ分けを断念しましたが、オーソドックスに爆アドを取ってスピードアタッカーを付与しつつ殴り抜ける構築から、ライブラリアウトループを勝ち筋とする構築までその形式は様々。

 特に大きな差異は闇文明の有無です。闇文明が一切入っていない構築があるかと思えばタッチとして6〜7枚のみ搭載されていたり、もはや水自然闇タッチ火文明と言った方がしっくりくるほど大きく闇文明をフィーチャーしたリストも見られるなど、まだ環境の中で最適な形が定まっておらず、各々が各々に「ぼくのかんがえたさいきょうのでいやー」を持ち込み、それのどれもが強いという結果となりました。

 余談ではありますが、筆者が個人的に執筆させていただく記事の中で、【火水自然闇ドッカンデイヤー】に対して「ミッツァイルリペア」という単語は使用せず、デッキタイプとしても「ミッツァイル」の文言を入れることは基本的にありません。そもそもの勝ち筋やデッキ構築の理念からして以前の【火水自然ミッツァイル】とは差異のあるデッキに対し、「リペア」という表現を用いるのは公平な情報ではないとの判断からこのような立場を取らせていただきます。ご理解のほどをお願いいたします。

 さて、このセンセーショナル極まりない、デュエマ界の黒船とも言えるデッキは一瞬にして環境を席巻し、こと先週のフィールドにおいては対抗馬の存在すら許さない圧倒的な母数を保っての入賞数1位となりました。
 ベスト4内のシェア39%という驚くべき数値は、最盛期の【デッドダムド】を凌ぐほどの勢いです。

 かろうじて2位に滑り込んだ【火水自然ジョーカーズ】は先週紹介した《奇天烈 シャッフ》、《ムシ無視のんのん/灰になるほどヒート》を共に採用し、ミッドレンジ気味に戦う前環境【ジョーカーズ軸火水自然ミッツァイル】に極めて近い理念のデッキ。

 マナドライブ勢がGRのほとんどを占めるのが一般的でしたが、最近では《バーンメア・ザ・シルバー》が採用されるようになったことから《バーンメア》+《せんすいカンちゃん》or《無限合体 ダンダルダBB》のパッケージを組み込んだ構築が主流になりました。

 後ほど紹介する注目カードをはじめとして、様々のメタカードを環境に合わせて採用することができ、対戦相手のギミックに幅広く対応可能な点が強みの純正ミッドレンジデッキですが、《BAKUOOON・ミッツァイル》の不在により自身の勝ち筋を押し付ける力はやや弱まったと言わざるをえません。
 引きやシールドの埋まり方、GRの強さに依存してしまう場面が少なくないためデッキパワーの高さを存分に活かしきるのが難しいデッキであるといえそうです。

 その他のデッキタイプは突如として襲来した【火水自然(闇)ドッカンデイヤー】に対応しきれずパッとしない結果に。今週以降の対応に期待がかかります。

今週のトピックス

【火水自然(闇)ドッカンデイヤー】

 先述の通り多種多様な構築が存在する【火水自然(闇)ドッカンデイヤー】ですが、今回は個人的に最も危険度が高いと感じた「闇文明10枚以上採用、ループ有り」の構築をスライドにしました。

 デッキの構造自体は非常にシンプルで、

⒈マナを伸ばす。
⒉GR召喚する。
⒊勝ち。

のお手軽3ステップ。

 この構造を支えているデッキのメインエンジンが《MEGATOON・ドッカンデイヤー》です。

 大量にGRを出せるという点で《BAKUOOON・ミッツァイル》の抜けた穴を埋めた……かと思いきや、ことこのデッキにおいては純粋なカードパワーの面で見ても《ミッツァイル》より優れているとさえ言えるカードです。

 そのタネは最新弾で登場した「自壊するGRクリーチャー」の存在です。これらのカードは自分からGRに戻るため、1回の解決で大量のGR召喚を行うのではなく、「GR召喚1回」という誘発効果を捨てた手札1枚につき1回ストックさせ、都度解決していく《ドッカンデイヤー》との相性は抜群。
 これはつまり、「自分のGRゾーンが残り4枚しかない時に手札を6枚捨てたとしても、残り2回は無駄になるのではなく、自壊するGRを超GRに戻してから再登場させられる」ということです。

 さらに言えば場にクリーチャーが残りづらくなったため《ミッツァイル》で踏みつけるための頭数は確保しづらくなりましたし、おまけに《ドッカンデイヤー》によるGR召喚は登場時能力ではなくあくまで常在型能力であるため、2枚目の《ドッカンデイヤー》はGR回数が2倍、3枚目の《ドッカンデイヤー》は3倍と、次々に爆発的なGR召喚ストックを作り出します。

 総合的に見ても、このデッキは《MEGATOON・ドッカンデイヤー》でなければ成り立たないデッキなのです。

 では改めてデッキのメインギミックを解説していきましょう。

 このデッキの骨組となるのは《天啓 CX-20》・《サザン・エー》に代表されるハンドを拡充するGRと、《マリゴルドⅢ》や《ヨミジ》といった《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を踏み倒すGR
 2ターン目、3ターン目と脇目も振らずにブーストを連打して7マナを揃えたら、まずは《*/弐幻キューギョドリ/*》や《“魔神轟怒”万軍投》などの1度に複数回GR召喚するカードを用いてこれらのGRクリーチャーをめくりに行きます。もちろんここで《ドッカンデイヤー》を使っても構いませんし、それが可能であることもまた《ドッカンデイヤー》の強みですね。

 そして上手くハンドを5〜6枚抱えた状態で《マリゴルド》や《ヨミジ》にアクセスできればフィーバータイムスタート。《ドッカンデイヤー》を踏み倒して手札を放出し、めくったカードからまたリソースを補充して次の《ドッカンデイヤー》を投下し今度は手札の枚数×2のGRストックを作り……。実際にカードを手元に用意して動かしてみればわかるかと思いますが、5、6回のGRができれば本当になんの気なく残り半分の超GRを全て出し切ることができます。

 一切の知識がないところからこのデッキの動かし方を練習したい場合、まずは「2枚の《ドッカンデイヤー》を使ってGRゾーンを空にする」練習から始めるのが個人的にはオススメです、ここまで持っていくことができればほぼ勝ったも同然ですからね。
 マナドライブ7を維持し続けるのは一見難しそうですが、マナが6枚の状態から《マリゴルド》で《ドッカンデイヤー》を拾い上げて5マナになったとしても、《ドッカンデイヤー》のGRによって《クリスマⅢ》を2枚射出できれば先に2ブーストすることで達成できるライン。GR召喚のストックが余っているようなら自壊した《クリスマ》を再度登場させて追いブーストも可能と至れり尽くせり。
 動き出してしまえば後からどうにでもなる場合がほとんどなので、一度コンボに入ったらとにかく全力で超GRを空にすることを目指しましょう。

 GRゾーンが空になった状態で、《ヨミジ》の効果を解決すれば墓地のオレガ・オーラを釣り上げることができます。《ヨミジ》の解決順は「自身の破壊→リアニメイト対象の指定」となるので、先に《ヨミジ》がGRゾーンに戻り、GRゾーンに1枚だけの《ヨミジ》が再度登場。この《ヨミジ》を破壊すればつけたオーラは墓地に行き、リアニメイト対象として選ぶことができるので、今戻ったヨミジが登場して……と、これが基本となる《ヨミジ》ループです。

 改めて手順をまとめると以下の通り。

・初期状態:マナゾーンに闇を含む7枚以上。墓地にオレガ・オーラが1枚以上。超GRクリーチャーは全てバトルゾーンに出ており、《ヨミジ》の登場時能力が待機されている。

⒈待機されている《ヨミジ》を解決、破壊。《ヨミジ》が超GRに戻る。リアニメイトの対象はいずれかのオレガ・オーラ。

⒉オレガ・オーラをバトルゾーンに。超GRは今破壊されて戻った《ヨミジ》1枚なのでそれをGR召喚し、オーラをつける。

⒊《ヨミジ》の登場時能力を解決、破壊。《ヨミジ》が超GRに戻る。破壊されたと同時に《ヨミジ》についていたオーラも墓地に行くため、そのオーラをリアニメイトの対象とする。

⒋以下手順2と3を好きな回数繰り返す。

 この手順の中で1ループにつき1回必ずオーラがバトルゾーンに出るので、その登場時能力を無限回使うことができます。《kβバライフ》が無限ブースト、《キューギョドリ》が無限ドロー、《シ蔑ザンド》が無限自壊になるということですね。ブーストとドローももちろん強力ですが、《シ蔑ザンド》を介した無限自壊ループこそがこのデッキにおける最大の革命児。

 単体では使い道の薄い無限自壊ですが、このデッキのコンボで用いるのは《ヨミジ》、つまりリアニメイトです。自分のクリーチャーを墓地に置けば、リアニメイト経由でその能力を使い回すことができます。

 これを活用した最も基本的なループが《スゴ腕プロジューサー》ループです。手順は以下の通り。

・初期状態:マナゾーンに闇を含む7枚以上。墓地に《スゴ腕プロジューサー》が1枚以上。超GRクリーチャーは全てバトルゾーンに出ており、《ヨミジ》の登場時能力が待機されている。《ヨミジ》+《シ蔑ザンド》のループにより自分のクリーチャーを任意の回数破壊することができる状態。

⒈待機されている《ヨミジ》を解決、破壊。《ヨミジ》が超GRに戻る。リアニメイト対象は《プロジューサー》。《プロジューサー》の登場時能力が待機される。

⒉無限回ストックされている《シ蔑ザンド》の登場時能力を解決、《プロジューサー》を破壊。《プロジューサー》の「バトルゾーンを離れた時」能力が待機される。

⒊待機された《プロジューサー》の能力のうち好きな方を解決。超GRは今破壊されて戻った《ヨミジ》1枚なのでそれをGR召喚する。

⒋以下手順1〜3を好きな回数繰り返す。

 このループでは《スゴ腕プロジューサー》の「バトルゾーンに出た時」または「バトルゾーンを離れた時」のGR召喚のうち、いずれか1つを無限回ストックすることができます。無限回GR召喚ができる=《ヨミジ》の登場時能力を無限回使えるということであるため、先ほど作った《シ蔑ザンド》の登場時能力無限ストックと組み合わせると、「コスト8以下のクリーチャーかオーラの登場時能力を無限回使うことができる」ループへと早変わり。これを使って《腐敗麗姫ベラ》や《黒神龍ザルバ》の登場時能力を回して勝つ、というのがループ搭載型【火水自然闇ドッカンデイヤー】の勝ち筋です。

 とにかくGR召喚の試行回数を増やし、リソースを稼いでから《ドッカンデイヤー》を複数枚並べれば簡単にループインが可能。マナドライブ7は相応に重く、《ミッツァイル》を失ったために繋ぎとしてGR召喚を行うことのリスクは以前よりも格段に増していますが、それを補ってあまりある出力と対策のしづらさで環境トップの座を奪取しました。

 率直に言うとこのデッキのギミックに対抗しつつ他のデッキに対しても戦いうるパワーを確保するのは非常に難しく、GR召喚に対する強烈なメタが追加されるまで、どれだけ早くとも「謎のブラック・ボックス・パック」が発売されるまでは、このデッキは不動のTier0であり続けると予想しています。

 登場時能力のみでチェインコンボ的に即死ループへと繋がるため誘発型能力による妨害(Ex:《マグナム》系の能力、《壊滅の悪魔龍 カナシミドミノ》など)が一切通用せず、また無限GRを活用した《アカカゲ・レッドシャドウ》ループによる全盾回収や《ダダダチッコ・ダッチー》を使ったボトム固定ギミックなども持ち合わせ、これらと言わずもがなの《マリゴルド》や《クリスマ》、《ヨミジ》が組み合わさることによって超GRを構成するカードのみで全てのゾーンに触ることができるため、ループコンボデッキでありながらデッキ構造のレベルで盾落ち・マナ落ちのリスクを完全に潰しているのがこのデッキの真に驚嘆すべき点です。

 トップがGR召喚を行うカードでさえあれば常に勝機を見出せるトップデッキの密度の大きさも拍車をかける要因のひとつ。

 完全ロックを採用しうるとはいえ打点を揃えて殴るほかなかったために、ケア手段を揃えられず立ち止まることも多々あった前環境の【火水自然ミッツァイル】よりもデッキそのものの厄介さは遥かに向上していると言えます。

 では、私たちはこのデッキにどう立ち向かっていけばいいかを考えていきましょう。まずはデッキの特徴を洗い出していきます。

⒈当然ではあるが、【火水自然ミッツァイル】がボーダーラインとしていたマナドライブ6よりも、マナドライブ7の方が到達が難しく、遅い。序盤のブーストで躓けばキルターンが6以降になることも珍しくない。

⒉上記に付随して、キルターンが遅いにもかかわらず、純粋に受けとして機能するトリガーの採用はかなり少ない。また妨害手段に費やせる枠も右に同じ。

⒊超GRへの依存度が非常に高いが、除去手段も多く取られていないのでGRをロックするメタクリーチャーに対し特殊な構築が要求される。

⒋超GRが11〜12枚固定。《サザン・エー》、《クリスマⅢ》、《アカカゲ・レッドシャドウ》1枚、《天啓 CX-20》、《マリゴルドⅢ》、《ヨミジ 丁-二式》までは確定枠で、《ダダダチッコ・ダッチー》も準確定枠。

 ⒈について。キルターンが遅い=キルターンが早いデッキに強く出づらいのはもちろんのこと、序盤を全力でブーストに費やさなければならないためその手段を封じたり消費したリソースを無に帰されてしまうハンデス・ランデスに対しても耐性は低め。
 ただし、特にハンデスについては兼ねてよりの課題であった「マナドライブラインに到達されるとトップ解決を許してしまう」点を解決できておらず、ミッドレンジ気味に仕掛けようにも蓋として機能していた《「本日のラッキーナンバー!」》を失ってしまったため、中途半端な速度ではトリガーGR召喚からカウンターループを食らってしまいます。
 ハンデスそのものをコンセプトとして成立させるのは難しそうですが、ある程度の速度を出せるコンボデッキが補助的に使用するハンデスには一定の効果がありそうです。

 ⒉については、トリガー過剰な環境になったと同時に調子を落とし気味だった高速ビートダウンデッキに活躍の場が与えられると感じています。新弾発売から殿堂施行までのメタゲームは【零龍速攻】をスタートラインにトリガーカウンターの見込めるミッドレンジ・呪文主体のコンボデッキが市民権を確保しており、いわゆるアグロに分類されるデッキは賞味期限切れの様相を呈していました。
 筆者の感想として、【火水自然闇ドッカンデイヤー】はこれらのデッキが減るであろう環境だったからこそ大きく活躍したデッキであると思いますし、このデッキが流行っている間はまたアグロデッキの立ち位置が少し改善され、アグロ<ミッドレンジ・呪文コンボ<GR(マナドライブ)コンボ<アグロというような三すくみを形成していくと予想しています。

 【火水自然闇ドッカンデイヤー】側は高速コンボが多いと読んでハンデスなどの妨害に枠を費やすか、アグロが多いと読んでトリガーに枠を費やすかの二択を迫られることになりそうです。逆に言えばどちらか片方であればガードを上げて対策することが不可能ではないので、今後もこのデッキが環境の中心に居座るのは間違いなさそうですが……。

 ⒊はよりピンポイントかつ具体的なカード名が挙げられる弱点です。ずばり《暴走龍 5000GT》と《無双の縛り 達閃》ですね。
 序盤のリソースをほぼマナ加速に費やしてしまうこのデッキでは消耗しきったタイミングで投下されるこれらのメタクリーチャーの前に手も足も出ません。トップからリソースを稼ぐことのできるカードはある程度限られており、上手くハメることができれば一気に優位を形成できます。特に《暴走龍 5000GT》はトリガーからのカウンターすら封じ込め、勝利までの遂行速度も早いため非常に強力です。
 《達閃》を使う場合、棒立ちでは《シ蔑ザンド》に咎められてしまいますので横に他のクリーチャーを置くように心がけたいですね。

 ⒋を活用するのはやや難しいですが、《あたりポンの助》や《「本日のラッキーナンバー!」》の宣言を外すことがないのはこれらのカードを駆使するデッキにとって重要です。
 また、自由枠がないということはメタに割ける枠がほぼないということでもあるため、墓地コンボを咎める《ポクタマたま》や火文明のアグロに対して強烈なストッパーとなる《全能ゼンノー》が採用されていない可能性が非常に高く、やりたいことを押し通すオールインなデッキにとっては考える要素が少なくて済むやりやすいデッキといえるかもしれません。

 GR召喚という非常に対策の難しいギミックが主体の、完全cipループというさらに対策のしづらいコンボデッキというだけあり、鮮烈なデビューとなった【火水自然(闇)ドッカンデイヤー】。ここまでの勢力を誇りながらデッキとしてはまだ発展途上、まだまだ強くなっていく余地があります。これから長い付き合いになりそうなので、使うにせよ倒すにせよ今後もじっくり腰を据えて研究していきたいですね。

HOT TECH

《ジェイ-SHOCKER》

 メタを張ることが極めて難しいGR召喚というギミックに対し、今最もスマートな回答を示すことが出来るのがこの《ジェイ-SHOCKER》。相性が良く常に採用圏内であった【火水万軍投ジョーカーズミッツァイル】は消えてしまいましたが、《バーンメア・ザ・シルバー》という新たな相棒を携え、【火水自然ジョーカーズ】のテックカードとして幾つかの上位入賞リストにその名前を刻みました。

 《「本日のラッキーナンバー!」》亡き今、GR召喚を止められる有力なカードは概して3種類。《暴走龍 5000GT》、《無双の縛り 達閃》、そして《ジェイ-SOCKER》です。
前2つと《ジェイ-SHOCKER》の最大の差別化点として、「《ジェイ-SHOCKER》は誘発型能力であるため、返しに除去されてもそのターン中はロックが解除されない」という大きなメリットを持っています。

 今後【火水自然闇ドッカンデイヤー】の対策としてこれらのカードが増えていけば、【デイヤー】側は《知識と流転と時空の決断》のようなカードを投入し、除去によって時間を取り戻してくると予想されます。こうなったときに《GT》や《達閃》では不十分になる可能性がありますが、《ジェイ-SHOCKER》はSAを付与して殴りさえすれば次のターンにループインされることはなく、確実な1ターンを稼ぐことができます。

 コスト4のジョーカーズを用意する手間があるものの、上手くハマれば居座りつづけて相手のプランを大きく牽制することができます。序盤の遅延から大打点形成後の後詰めまで、幅広いタイミングで活躍の機会が見込めますね。

 SAを付与する手段が限られるためこのカードを十全に使えるデッキはそう多くありませんが、最も指定したいコスト4のジョーカーズとして《鋼ド級 ダテンクウェールB》や《無限合体 ダンダルダBB》を採用する場合が多い【火水クラッシュ“覇道”】のようなデッキが、序盤の手札整理をこなしてくれる《*/零幻ルタチノ/*》や《*/弐幻サンドロニア/*》などのオレガ・オーラと一緒にこのカードを起用するというのも一考の余地があるのではないでしょうか。

今週のメタゲーム予想

 【火水自然(闇)ドッカンデイヤー】のデッキパワーは非常に高く、殿堂施行に伴ってカードパワーの低くなった新環境において数少ない「前環境を上回るパフォーマンスを発揮できる」デッキとして今週も活躍が衰えることはないでしょう。抜本的なGRメタが登場しない以上は勢力を落とす理由が見つかりません。
 しかしそうなれば今度はミラーでどう勝つか? という新たな課題を抱えるようになり、そこに隙が生じます。今週のところは同型戦であまり役に立たない受け枠をさらに減らし、より安定してマナを伸ばせるように2コストのブースト枠をさらに増量した構築が登場するのではないかと予想しています。

 受けが減るということは過剰打点での突破が狙いやすくなるということ。【零龍速攻】や【龍終アバレガンワンショット】といった新環境におけるアグロデッキの代表格は決して悪くないポジショニングです。
 【龍終アバレガンワンショット】は《ラッキー・ダーツ》をフィーチャーした【星龍ダーツデリート】複合型の構築が活躍するなど、個性的な構築が数多く結果を残しています。入賞したリストを眺めるだけでも面白いですね。

 また、【火水自然(闇)ドッカンデイヤー】の跋扈する環境では墓地対策はそれほど意味を為さなくなるため、メインデッキからの墓地対策はおそらく減少傾向。【墓地ソース】や【カリヤドネ】といった【火水自然(闇)ドッカンデイヤー】に対して比較的有利のつきやすい高速墓地コンボデッキの動向にも注目を怠ることができません。筆者個人の感情としても【カリヤドネ】には頑張ってほしい……!

 というわけで、今週末は間違いなく【火水自然(闇)ドッカンデイヤー】の週。問題はミラーマッチが爆発的に増える中で【デイヤー】の構築がどのように変わっていくか・翌週以降、そこにどのようなデッキが付け入るのか、というのが筆者の考える要チェックポイントですね。

 今週のメタゲーム・ウォッチングはここまでとなります。それではみなさま、良い週末を!