【デュエマの歴史】《蒼き団長 ドギラゴン剣》の歴史【殿堂解除選手権 番外編】

こんにちは、神結です。

今回は殿堂解除選手権のラスト……という位置付けになりますが、こういった形の方が最終回には相応しいでしょう。

というわけで殿堂解除選手権のラストは、デュエマの主人公と呼んでも過言ではないこのカードの歴史を追って、締めくくりたいと思います。

カード単体の歴史を振り返る記事は、これまで《轟く侵略 レッドゾーン》と《BAKUOOON・ミッツァイル》とで2回やっています。

何度消えても不死鳥のような復活を果たすレッドゾーンや、また殿堂するまでわずかな期間を太く生きたミッツァイルとも違い、《蒼き団長 ドギラゴン剣》は極めて長い期間を太く逞しく常にトップで、そして環境に甚大な影響を与えながら活躍し続けました

殿堂となった現在でも【4cドラグナー】など当然のように環境デッキで採用されているこのカードですが、今回は殿堂後に関しては軽く触れるに留めて、殿堂するまでの活躍を中心に振り返っておきたいと思います。



はじめに

《蒼き団長 ドギラゴン剣》は登場以降ずっと環境に居続け、そして2年9ヶ月後に殿堂しました。

極めて強力なカードでありながら残り続けたということは、他の多くのカードを犠牲にして残った、という訳なんですよね。

なおドギラゴン剣系統のデッキに採用されていたカードで、殿堂入りしたカードは以下の通りです。

《フェアリー・ギフト》
《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》 →  解除
《メガ・マナロック・ドラゴン》
《スクランブル・チェンジ》
《裏切りの魔狼月下城》 → プレ殿
《超次元ガロウズ・ホール》 → 解除
《単騎連射 マグナム》
《音精 ラフルル》 → プレ殿
《次元の霊峰》
《勝利のアパッチ・ウララー》 → 解除
《プラチナ・ワルスラS》
(《“龍装”チュリス》) → (バスターというよりはノヴァなので括弧書きで)

もちろんこれらのカードはそもそもが強力なものも多く、ドギラゴン剣の完全な“スケープゴート”にされたカードというと数はそれなりに減ります。

しかしそれはそれとして、《蒼き団長 ドギラゴン剣》が先に殿堂していれば、殿堂する必要はなかっただろうカードもまた多いんですよね。

 

そんなわけでそんなドギラゴン剣の活躍を順に追っていこうと思います。

またこの情報を整理するためにドギラゴン剣の関連年表を作成したので、この記事の最後に置いておきます。確認したい方はどうぞ。

第1期 ドギラゴン剣の登場とデアリバスターの衝撃

2016年5月28日にGP2ndが開催され、せいなの【マーシャルループ】が優勝しました。

そして同日、革命ファイナル第1弾ハムカツ団とドギラゴン剣」が発売され、《蒼き団長 ドギラゴン剣》は世に解き放たれました。

当初は同じレジェンドカードだった《百族の長 プチョヘンザ》が注目され、《蒼き団長 ドギラゴン剣》は「まあワンショットは出来るよね」くらいの認識だったのですが、発売日以降はその評価が逆転しました。

革命チェンジ、SA付与、踏み倒し……弱いことは1つも書かれていないこのカードは、《勝利の道標レティーシャ》や《勝利のアパッチ・ウララー》などと組み合わせたワンショットが強力なことが発覚。これまで一番のビードデッキだった【赤侵略】を一瞬で過去のものにしました。発売翌日から、それなりにCS入賞報告も上がっています。

ただ当初活躍していたのは、【成長バスター】や、《奇天烈 シャッフ》などが搭載された【クローシスバスター】(後の《Mの悪魔龍 リンネビーナス》が採用されているクローシスバスターとは全く別のアプローチのもの)でした。

しかしこれらはデッキに問題を抱えており、中でもバスターパーツを自主的に揃えるのが困難だったためイマイチ安定しなかったんですよね。

例えば《次元の霊峰》はこの時点で注目はされていましたが、それを含めても「チェンジ元」「チェンジ先(ドギラゴン剣)」「踏み倒したい奴(アパッチなど)」を安定して揃えきるのは困難だったんですよね。ちなみに余談ですがバスターの3キル率の確率計算をミスって公開したflat-さんは、(たぶん最初の)炎上を経験。一躍時の人になりました。

実際、この時の環境はまだ【緑単サソリス】が強力で、まだ評価もリスの方が高かったと言えます。

しかし、《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》が《蒼き団長 ドギラゴン剣》になり、《勝利のアパッチ・ウララー》を出す……その動き自体が強力なことに、疑う余地はありませんでした。またアパッチから出てくる《勝利のリュウセイ・カイザー》の他、《紅蓮の怒 鬼流院 刃》の盤面捲り能力・フィニッシュ性能はハッキリ言っていかれており、《光牙忍ハヤブサマル》などのこれまでの防御手段を無にするだけの力を備えていました。

そもそも、イーヴィルドギラゴン剣アパッチなら、デアリカラーでデッキが完結しています。そして緑には《ディメンジョン・ゲート》や《神秘の宝箱》といった優秀なマナブースト・サーチカードが豊富に使用出来ます。

ただこの時、DS→革命編と単色カードオンリーの時代が続いており、多色カードの実装自体が久しぶり。「革命チェンジ」という未知のギミックと併せて、デッキの開発は難航しました(また当時はCSの開催自体も少なかったため、環境の回り方が今より遙かに遅かったという事情もありました)。

 

そして求めていたものは《蒼き団長 ドギラゴン剣》の登場から約一月後の7/3、その時が訪れます。

チームHeaven’s Diceまさが、志太CSで優勝。その時使用していたのが、【デアリバスター】でした。

この時の【デアリバスター】はまだプロトタイプと言える状態で《父なる大地》なども採用されていたのですが、そこから研究は流石に早かったですね。1カ月もしないうちに、【デアリバスター】の完成形と言えるリストが登場しました。

このデアリバスターは従来の殺傷力に加えて安定感を獲得。《フェアリー・ギフト》を絡めた先攻3キルこそ少なかったものの、そもそも先攻3ターン目にマナロックが着地し、それがバスターになるならゲームは終わっています。

仮にパーツが揃っていなくともブースト→ブースト→マナロックや、ホールリュウセイによる遅延も可能。マナロックを出して止めている間にサーチを使ってバスターパーツを揃える、なんて運用も可能でした。

恐らくこのデッキは、デュエマの歴史においても相当に理不尽かつ強力で、「歴代環境デッキ最強大会」を開催した場合には確実に優勝候補の1つになるでしょう。

 

ただこのデアリバスターに挑戦するデッキもこの時、登場します。

それが《ボルシャック・ドギラゴン》によるカウンター性能を高めた【赤黒バスター】です。バスターには、既にバスターで対抗する時代が始まっていました。

この時の【赤黒バスター】はデアリのバスターウララーに対して、《ボルシャック・ドギラゴン》と《革命の鉄拳》を複数抱えることで対抗。

デアリ側がそれを乗り換えるために超次元呪文などから《勝利のリュウセイ・カイザー》などで溜めるプレイを採った場合、今度は《熱血龍 バトリベンジ》という回答を用意。またこれらをサーチ出来る《ゴーゴー・ジゴッチ》を採用しています。デアリバスターのギミックの弱点を突いたカウンターデッキでした。

ただ登場当初は赤黒有利とみられていたものの、

①デアリ側にギフトマナロックという強力な制圧択があること
②赤黒バスターの《ボルシャック・ドギラゴン》は成功率こそ高いものの【カウンターNEXT】のような捲りそのもので解決出来るカードは入っていないこと
③そもそも《ボルシャック・ドギラゴン》が《蒼き団長 ドギラゴン剣》を破壊出来るパワーラインでないこと
④そのため、《超時空ストームG・XX》などを使った高速の禁断解放や、バスターの本体攻撃を止めるのが非常に難しかったこと
⑤デアリ側が《解体人形ジェニー》を採用したことで《熱血龍 バトリベンジ》を叩き落とせるようになったこと

……などなど複数の要因が重なり、最終的にはデアリ有利という結論に落ち着いています。

ただ赤黒バスターは《ウソと盗みのエンターテイナー》が強力でした。デアリには《超次元ムシャ・ホール》でわからされるものの、【緑単サソリス】や、超次元を使った【ドロマーハンデス】にはシンプルに刺さったことから、環境第2位の地位は譲りませんでした。

なんならサソリスは《古龍遺跡エウル=ブッカ》と《革命目 ギョギョウ》のお陰で比較的デアリにはいけたのですが、赤黒がゲロくて環境トップには立てませんでした。「エンテイでサソリスからのパゴス直行ルートを妨害しやすく、その間に《メガ・マグマ・ドラゴン》で流す」というプランが重かったんですよね。

 

第2期 GP3rdと赤黒バスター

こうして夏の環境を結果を残し続けたデアリバスターでしたが、9月に最初の殿堂を経験します。

デアリの先攻3キル、4キルに数々の貢献をしてきた《フェアリー・ギフト》が殿堂します。

一方で【赤黒バスター】にはお咎めなし。ライバルの【天門ループ】や【緑単サソリス】も弱体化。

更に更に《スクランブル・チェンジ》の新登場によって、「赤黒しか勝たん」状態が生まれてしまいます。

こうしてGP3rdでは、【赤黒バスター】を使ったWが優勝。

ただ、赤黒バスターの最盛期はここだったと言えるでしょう。

スクランブルマナロは確かに強力なのですが、この時のGPで台頭してきたデッキにあまりに分が悪かったんですよね。

そう、【赤白ジョバンニ】です。

このジョバンニのランデスに対して、直接的なブーストを持たない赤黒側から出来ることがかなり限られていました。

 

また《フェアリー・ギフト》を失った【デアリバスター】も、依然強力なデッキであることが発覚。わずかな雌伏の時を経て、環境へと帰ってきます。

更に《リュウセイ・ジ・アース》を獲得し、《フェアリーの火の子祭》というジョバンニに対して強いブーストを持っていることを主張出来る【赤緑モルトNEXT】が徐々に台頭。

 

環境はバスター、ジョバンニ、NEXT……そして天門ループといったデッキによって構成されていきます。

 

なお赤黒バスターはこの後、マイケルという一人の変人の手によって試行錯誤と洗練が繰り返されていくことになります。

 

第3期 5cドギラゴン剣と単騎ラフルル

バスターで先攻を取って走った。天門を踏んで負けた。くだらない。

ボルシャックドギラゴンから凄い捲り方をされて負けた。くだらない。

この年の冬が近付くにつれて、そんな思いを募らせた人がいたのか、新しいバスターがまた誕生しました。

それが《Mの悪魔龍 リンネビーナス》の力によって「単騎ラフルル」を実現出来るようになった【5cバスター】です。

形は様々でしたが、《裏切りの魔狼月下城》で遅延しつつパーツを探し、最後にバスターから単騎ラフルルを決める……というのは共通でした。《ダーク・ライフ》を採用しているケースも多かったですが、ジョバンニに勝つためにこのリストは《フェアリーの火の子祭》にしています。なお赤が落ちずに負けている人も数多くいました。

ご存知の通り単騎ラフルル下では、クリーチャーも呪文もトリガー出来ません。この時、バスターは完全にトリガーをケアして倒す構築を手に入れたのです。

 

また、年末には《終焉の禁断 ドルマゲドンX》が登場。【赤黒ドルマゲドン】の裏側で、いよいよ【赤緑モルトNEXT】も完成形を迎えました。

デアリバスター、5cバスター、モルトNEXT、赤白ジョバンニ、天門ループ、そして徐々に覚醒の波動を感じさせつつあった緑単ゴエモンキー……この時の環境は、多種多様にクソみたいな動きをしてくるデッキたちに溢れていました。自分はデアリバスター派でした。

 

バスターはこの年、常に最強であり続けました。

そのため冬の殿堂では、流石に大幅な規制が入りました。

バスターを支え続けた《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》と《メガ・マナロック・ドラゴン》が殿堂。ライバルだった《天雷王機ジョバンニX世》や《奇跡の精霊ミルザム》はプレ殿へと消えていきます。

以降、バスターがTierGODを手にするには、しばしの空白が生じます。

代わりに環境最強となったのは……バスターを有した【赤緑モルトNEXT】でした。

 

第4期 モルトNEXT、国士無双

年は変わって新章デュエルマスターズが始まります。今となってはお馴染みの枠にデザイン変更もされ、新たにジョーカーズが登場します。

また革命チェンジのハッスルっぷりを重くみたか或いは既に予想していたのか、《異端流し オニカマス》を始めとした強力な踏み倒しメタカードが多数登場しました。

 

そんな中、新環境で大活躍したのは新登場のジョーカーズ……ではなく、モルトNEXTでした。

この時のモルトNEXTは、ハッキリ言ってイカれていました。

《スクランブル・チェンジ》を使っての最速3ターンキルが可能で、環境にこのデッキより早いアグロデッキなど当然存在する筈もありません。そしてその上で、閣ループという安定したフィニッシュが可能なビートダウンデッキも存在していなかったのです。最強のアグロであり、最強のミッドレンジだったのです。スクチェン4枚の時代は【赤青レッドゾーン】なんかに対してですら有利と言えました。

《蒼き団長 ドギラゴン剣》はその中で、NEXTハートバーンプランに過剰打点を添えるお仕事や、閣ループでデッキのドラゴンをすべて引きずり出すお仕事に従事していました。エースモンスターを歯車にしてるNEXTさんサイドがバグってます。

 

じゃあバスター主体のデッキがなかったのかと言えば、そんなこともなかったです。

《アクアン・メルカトール》を手にした5cバスターは構築を変えながらそこそこの結果を残していましたし、またこの時【クローシスバスター】も開発されました。

デッキの思想的には5cと共通していて、一回受けたあとにバスターで走る、という構築ですね。《異端流し オニカマス》が出てきたため多少面倒な要素も増えましたが、《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》のお陰で長期戦を戦うことが出来るようになっています。こちらもNEXT大活躍の裏で、まずまずの結果を残しています。

そのためなのか、夏の殿堂では《スクランブル・チェンジ》と珍しく被害の少なかったバスターも冬の殿堂では《裏切りの魔狼月下城》、《超次元ガロウズ・ホール》、そして《単騎連射 マグナム》に《音精 ラフルル》もそれぞれ殿堂となります。

これらのカードは決してバスターが直接的な原因とはいえず、環境で広く使われてるカードでもありました。裏切りは5cなんかでも活躍していましたし、ガロウズもデュエランドなんかでデッキを支えるカードでしたからね。

なお、モルトNEXTくんは《爆熱天守 バトライ閣》とのコンビ殿堂が制定。何を規制されても環境トップであり続けたデッキでしたが、流石にこれで最期を迎えることになりました。

 

ただこの新章は最後に、殿堂よりも遙かにインパクトのあるカードを置いていきました。

何を思ったか、《“龍装”チュリス》がここで登場してしまいます。

 

第5期 ドルガンチュリスとバルチュリス

一説によれば、「双極篇より新たに始まる2ブロック環境と、殿堂環境を差別化するために《蒼き団長 ドギラゴン剣》を強化した」なんて話もありますが、それはともかく新章ラストで《“龍装”チュリス》は確かに登場してしまいした。

このカードの情報を見て多くの人は「遂に《蒼き団長 ドギラゴン剣》を殿堂にするんだな……」と思ったことでしょう。

商業的な観点はともかく、環境的な観点で振り返ってみると、ここで殿堂にしておくのが一番“綺麗な形”だったかな、とも思います。

しかし、結果として《“龍装”チュリス》は世に放たれ《蒼き団長 ドギラゴン剣》は殿堂を免れます。

 

待っていたのはもちろん、ドギラゴン剣による環境支配でした。

2年前とは違い、CSも大幅に増えてデッキ開発の速度もレベルも段違いになったDMPたち。【赤青バスター】が誕生し、環境を支配するのには時間は要りませんでした。

そして新殿堂のわずか後に開催された全国2017では、既にメタが回っていました。【赤青バスター】をメタった【赤青t白バスター】が生み出されており、それを使ったdottoが見事日本一に輝きます。

このデッキは極めて強力で、《Dの牢閣 メメント守神宮》による盤面管理と《プラチナ・ワルスラS》でのドロー効果、小型クリーチャーの展開、そしてデッキが回るお陰で殿堂カードであっても単騎ラフルルが実現可能と、攻守において隙がありませんでした。

 

また双極篇の第1弾では《龍装者 バルチュリス》が登場。

《「本日のラッキーナンバー!」》、《“乱振”舞神 G・W・D》、《ドープ “DBL” ボーダー》といった多様なカードから環境に合わせて自由にカードを選択し、構築出来るようになりました。

《龍装者 バルチュリス》によって、ドラゴン不在の盤面から《“乱振”舞神 G・W・D》で盤面を破壊しつつバスターが着地する……なんて芸当の可能になりました。

また、春から夏にかけて《次元の霊峰》を使った【霊峰バスター】も登場。

初期のデアリバスターに比べるとサーチやトリガーなどが相当に嵩増しされて中身がスカスカになったな~という印象を受けますが、それでもバスターはバスター。

この年は《ジョット・ガン・ジョラゴン》、《“轟轟轟”ブランド》、《龍装艦 チェンジザ》、《卍月 ガ・リュザーク 卍》などが登場した年ではあったのですが、春から夏にかけては間違いなくバスターが環境の中心でした。春先なんかは完全にTierGODだっと言って差し支えないでしょう。

そんな影響もあって、夏の殿堂はバスターにとって厳しいものでした。

赤青バスターを支えた《プラチナ・ワルスラS》、そして霊峰バスターの軸であった《次元の霊峰》がそれぞれ殿堂。

そして何より、長年ずっとバスターの相棒であり続けた《勝利のアパッチ・ウララー》も、遂に殿堂入りとなってしまいました。

それぞれ強力なカードだったことには違いありませんが、その元凶が誰であるかはあまりにもハッキリしていました。

ここまで来ると流石にプレイヤー間でも「いい加減バスター本体なんとかしろよ……」「そこまでするならなんで《“龍装”チュリス》作ったんだよ……」みたいな言説も出てくるようになりましたね……。

 

最終期 ドギラゴン剣の功罪

今回も殿堂の直撃を受けたバスターでしたが、8月の超CSⅡでは未だ強力で予選突破者数は最大、そしてなっぷるが《守護炎龍 レヴィヤ・ターン》を使ったバスターで優勝を果たします。

バスター健在を示した大会ではあったのですが、これが本当に最後の輝きだったかもしれません。

 

《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》、《メガ・マナロック・ドラゴン》、単騎ラフルル、《勝利のアパッチ・ウララー》……。

数々の仲間を失ったドギラゴン剣とまだ一緒に戦ってくれるカードは、もう殆ど残っていなかったのです。

……一応、赤青バスターはリペアされて【ラッカバスター】は作られましたが、かつてのデッキたちと比べるとそのパワーは物足りないでしょう。

やがてバスターは、環境から徐々に姿を消していくことになります。

よく「登場してから2年9ヶ月の間、常に環境トップに居続けた」的なことは言われますが、それは正確に言うと少し怪しいです。

この年の最後は、【ジョラゴンループ】【赤白轟轟轟】【チェンジザダンテ】、そして2ブロからの刺客であり立ち位置的にも完全にバスターにとって変わった【赤青覇道】におされ、バスターが環境で活躍出来る余地は殆ど残っていませんでした。

ですのでバスターは、妙な話で殿堂直前が一番活躍していなかったというわけです。数々のプレイヤーに勝利を与えてきたバスターの去り際にしては、少し寂しいものだったような気がしています。そういった意味でも、正直あと1年早く殿堂して欲しかったと私は思っています。

 

華々しく活躍し、数々のカードを殿堂に送り込んだ《蒼き団長 ドギラゴン剣》。開発者のカティノも、GP3rdでのインタビューで「強く作りすぎたカードは?」の問いに「《蒼き団長 ドギラゴン剣》」と即答しています。

主人公カードを守りたい……といった考えも開発側にあったとは思うのですが、その代償は少なくなかったと言えるでしょう。私にはどうしても“晩節を汚した”感が拭いきれないのです。《勝利のアパッチ・ウララー》の殿堂は、その最たるものだっと思うのです。

ただこうした反省もあってか、以降は「本当にヤバいカード」を直接殿堂入りさせるケースが増えているように思います。《“轟轟轟”ブランド》しかり、《不敵怪人アンダケイン》しかり、ですね。それがあるべき姿なのかな、と私は思っています。

またこのカードの影響で《異端流し オニカマス》などのメタカードが強力な環境が生み出され、ゲーム観そのものに大きな変化があったことも付け加えておきます。この辺りの話はガチまとめさんの方で「【DMカードコラム】《異端流し オニカマス》の一生」というタイトルで記事を書かせていただいておりますので、よければ併せてご覧下さい。

 

スローライフを謳歌中? 華麗なる復活

殿堂後の《蒼き団長 ドギラゴン剣》は一時期【アナカラーデッドダムド】に差されて切り札的活躍する……と言ったように、逆に“主人公カード”としての存在感を取り戻しているような雰囲気がありました。

そして2020年、『蒼龍革命』にて《蒼き守護神 ドギラゴン閃》が登場。バスターはリメイクされ、バスターは再び「ドギラゴン剣」というカテゴライズのデッキの中で輝けるようになりました。

そこからの活躍は……流石に最強の殿堂カードと呼ぶに相応しいものだったですね。

最初は【赤青バスター】が、そして【赤白バスター】がマイケルの手によって生み出されると、ドギラゴン閃や《“龍装”チュリス》と共に環境の第一線に帰ってきます。

 

特に《“龍装”チュリス》との再会は、昔一緒に戦った友と再会して再び戦場に立つ、というような熱い物語を感じられるんですよね……。

ちなみにこのデッキは3ターン目に走って4ターン目に決めたり、3ターン目に展開して打点で押し切ったりといった勝ち方を目指すデッキですが、バスターを引いていればチャラルピアがSAに化けたりなど色々バグって3キルが可能です。やっぱりバスターはイカれてるんだよな。

更に更に更に、カツキングやガイアッシュなど、強力なカードが続々と登場していきます。

特に単体でも2025年からやってきたようなカードであるカツキングですが、そんな彼が相棒に選んだのが……やっぱり《蒼き団長 ドギラゴン剣》でした。

特にカツキングとの相性の良さは本当に桁が違っていて、カツキングチェンジバスターで攻め込むもよし、そこからカツキングを投げ直して手札補充をしつつバスターをバックしてアタキャンするもよし……と「もう彼奴ら二人で一生デュエマしてろよ」みたいなことが出来るんですよね。

というわけで令和に入っても相変わらず【赤白ノヴァ】や【シータRX】といったデッキで、圧倒的な存在感を放つ切り札として、試合の勝敗をひっくり返してしまうような活躍をしているんですよ。ん~~~~さすがにこれは殿堂カード。

ちなみにその結果、かつての旧友であった《“龍装”チュリス》を殿堂に送り込んでしまいましたが、まあ仕方ないよね。《蒼き団長 ドギラゴン剣》は昔から、自分の相棒を殿堂させるのが趣味みたいなところありますからね。これもやはりドギラゴンと関わった者の宿命なのでしょう。(まあチュリスに関してはノヴァも大抵悪いんですけど)

なんか「引いた試合は流石に勝てる」度合いで言えば、コイツとネイチャーと虚無空間は流石に頭抜けていると思うんだよな。次点で《“轟轟轟”ブランド》かも。

ちなみに現在《蒼き団長 ドギラゴン剣》を活躍させたいなら【4cドラグナー】がお勧めですが(ちなみにこれを作ったのもマイケルです)、まあドラゴン入ってるデッキだったら別に何に入れても強いです。

お守りとしてても入れるでも全然OK。ドラゴンデッキならとりあえずぶち込んでおきましょう。

きっとドギラゴン剣は、貴方を歴代のプレイヤーたちと同様に勝利に導いてくれる筈です。

 

ドギラゴン剣関連年表

2016/5/28 「ハムカツ団とドギラゴン剣」が発売し、《蒼き団長 ドギラゴン剣》が登場

2016/7/3 志太CSにて【デアリドギラゴン剣】が優勝 デアリバスター時代の到来
これに対抗する【赤黒ドギラゴン剣】も登場する バスター同士の環境争いが勃発

2016/9/15 デアリバスターの主力カードであった《フェアリー・ギフト》が殿堂に

2016/9/17 「世界は0だ! ブラックアウト」が発売し、《スクランブル・チェンジ》が登場

2016/9/19 GP3rdにて【赤黒ドギラゴン剣】が優勝する

2016年秋~2017年冬
この頃【5cドギラゴン剣】が開発される
《リュウセイ・ジ・アース》の登場で、モルトNEXTにもバスターが採用されるようになる
【モルトNEXT】、【デアリドギラゴン剣】、【赤白ジョバンニ】、【天門ループ】らと共に環境を形成

2017/2/26 バスターの主力であった《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》と《メガ・マナロック・ドラゴン》が殿堂に
以降しばらくはバスターは【モルトNEXT】で活躍することに

2017/3/25 新章デュエルマスターズがスタート 《異端流し オニカマス》や《洗脳センノー》が登場

2017/4/16 GP4thにて【モルトNEXT】が優勝

2017/7/8 【モルトNEXT】の主力カードであった《スクランブル・チェンジ》が殿堂 しかしNEXT時代は終わらず

2017年夏~秋
この頃【クローシス剣】が開発される 《裏切りの魔狼月下城》や《超次元ガロウズ・ホール》などが活躍

2018/1/27 「誕ジョー!マスター・ドルスザク!!〜無月の魔凰〜」が発売し、《“龍装”チュリス》が登場

2018/3/1 《超戦龍覇 モルトNEXT》と《爆熱天守 バトライ閣》がコンビ殿堂し、モルトNEXTは解散に
【5cドギラゴン剣】を支えた《単騎連射 マグナム》と《音精 ラフルル》、【クローシス剣】を支えた《裏切りの魔狼月下城》と《超次元ガロウズ・ホール》が殿堂に
バスター本体、またもお咎めなし

2018/3/11 全国大会2017にて【赤青t白バスター】が優勝 全国的に赤青バスターが大活躍

2018/3/31 「轟快!! ジョラゴンGo Fight!!」が発売し、《龍装者 バルチュリス》が登場
またこの年より、2ブロックレギュレーションが実装される

2018年春~夏
この頃【霊峰バスター】が開発、活躍する

2018/7/14 バスターの長年の相棒だった《勝利のアパッチ・ウララー》、赤青バスターの主力であった《プラチナ・ワルスラS》、が殿堂に
バスター本体、またもお咎めなし

2018/8/11 超CSⅡでレヴィアバスターが優勝

2018年秋~冬
この頃【ラッカバスター】がCSなどで散見されるようになる

2019/3/1 《蒼き団長 ドギラゴン剣》、遂に殿堂に 赤青バスターは最後までそれなりに活躍した模様

2020/11/21 レジェンドスーパーデッキ「蒼龍革命」が発売される

2021年冬~春
この頃赤青ノヴァが、そして赤白ノヴァが開発される

2021年夏
この頃シータノヴァが開発される

2021年~2022年
アドバンスで4cドラグナーが開発され、活躍する

 


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