絶対王者の消えた環境に、1人の天才が舞い降りた。
こんにちは、神結です。
GP振り返りシリーズも残すところあと8thと9thを残すのみです。
そのうちGP8thは2日間開催ですので、記事もまあ分割することになりますね。
というわけで、さっそく振り返りの方にいきましょー!
※GP7thはこちら
GP8thの基本情報
開催日:
2019年4月13日、14日会場:
幕張メッセ参加者数:
day1,2ともに2500人規模プロモ
TOP8:《超戦龍覇 モルトNEXT》
TOP128:《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》
参加賞:《ミステリー・キューブ》備考:
史上初の2day開催
というわけでGP8thです。
一番大きな話は「2日間開催になった」という点でしょうか。
MTGとかに詳しい方はGP2日開催というとそれなりに馴染みがあるかと思います。day1で予選をやって、day2で本戦をやる感じですね。ですので、day2に残るというのは一種のステータスであり、名誉なことでもあります。
そういうわけで私も最初「デュエマGP、2日間開催決定!」ってニュースを見たとき(詳しく覚えてないんですが、GP7thか全国大会の生放送かどっちかだったと記憶してます)は「遂にデュエマも2日開催で分けることにしたのか~」と思ったんですが、なんかよく読んだら違うこと書いてあるんですよね。
えっ、day1とday2で違う大会するの……?(困惑)
というわけで、本記事もday1・2で分割しています。余談ですがこの時のカバレージは中々ハードモードでした。ほぼ2日間立ちっぱなしで仕事をしていたであろうジャッジ、スタッフの方も相当大変だっただろうと思います。
またこの時、「プレイヤー解説」という立場が初めて設けられ、前年度の全国大会に出場したしゃくれ副店長さんがこの役を務めました。やはりプレイヤー目線での解説はわかりやすく、面白いですね。
さて、8thのプロモといえばお馴染み《超戦龍覇 モルトNEXT》。
「NEXTが欲しいから」という理由で参加した方も多かったと聞いています。
TOP128、参加賞も強かったですね……。《奇石 ミクセル》はもちろん、直前に殿堂が解除された《ミステリー・キューブ》も大人から子どもまで笑顔にしてくれる素敵なカードでした。
というわけで前代未聞2day連続開催と、それに相応しいプロモが用意されたGP8thが始まります。
事前メタゲーム予想(2ブロック)
GP7thや前年度の全国大会で活躍した2ブロックのデッキといえば【白ゼロサッヴァーク】や【赤青覇道】といったデッキでした。
特に全国大会でも活躍を見せた【赤青覇道】は、この環境に於ける絶対王者と言ってもいいでしょう。
ところが【白ゼロサッヴァーク】からは肝心の《煌龍 サッヴァーク》が2ブロ落ち。
また【赤青覇道】は《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》こそ健在だったものの、《異端流し オニカマス》や《終末の時計 ザ・クロック》といったカードはこの時は2ブロ落ちしてしまったため、デッキとしての強みを大きく失った状況でした。
代わりに環境トップとして目されたのが新規ギミックのGRカードに、従来のメタビートの要素を合せた【赤白轟轟轟】です。
特に《“轟轟轟”ブランド》の爆発力は高く、かなり偏った構築にしないと勝てないと思わせるほどに他のデッキを凌駕していました。頭の抜け方が一歩上だったんですよね。
新規で手にした《音奏 プーンギ》や《♪銀河の裁きに勝てるもの無し》といったカードも相性がよく、「質の高いカードを並べつつ、パワカでもゴリ押せる」というビートダウンとしては破格の性能を有していたのです。
一方でそんな無敵の轟轟轟にも一応の未解決問題がありました。
それが《BAKUOOON・ミッツァイル》の有無になります。
この時点ではプレイヤー間でもこのカードの評価が定まっておらず、強力だと感じる人もいれば過剰だと感じる人もいました。当時はまだ【赤白轟轟轟】というデッキを「初手のハンドリソースを全て盤面に変換するアグロデッキ」だという、GR登場以前の印象を抱いていた人も多かったのだと思います。
まあ、このこの後の活躍――とくに殿堂レギュレーションでの活躍を見て、評価を改めた人も多かったでしょうね……。
ではこの【赤白轟轟轟】に対抗馬出来るデッキには何があったのかというと、決して数は多くありませんでした。
まず対抗馬として一番有力なのは、【ジョラゴンジョーカーズ】でしょうか。
《ジョット・ガン・ジョラゴン》や《ガヨウ神》という主力級のカードが落ちておらず、ほぼほぼ不自由せずにカードを選ぶことが可能でした。構築上代替が利かなかったのは《燃えるデット・ソード》くらいでしょうか。
ただしこのデッキは「後ろ寄りのデッキを確実に屠り、前寄せのデッキには盾にお祈り」という性質から免れられません。アグロに対しては明らかに不利が付いてます。この辺りは【赤青覇道】環境だった全国大会2018の2ブロックでほとんど誰もジョーカーズを使わなかったという事実が、全てを物語っていると言っていいでしょうか。
《行燈どろん》のようなトリガーこそ獲得しましたが、さすがに根本的な解決とはなりませんでした。
他の有力択の1つとしては、双極篇から引き続き健在の【バラギアラループ】でしょうか。
赤を抜いた4色、赤と青を抜いた3色などそれなりに構築に差異はありますが、共通して言えるのはトリガーを厚く採用していることです。《マッド・デーモン閣下 /デーモン・ハンド》はもちろん、《龍装の調べ 初不/ホーリー・スパーク》や《撃髄医 スパイナー》のようなカードまで採用しているものもありました。
……もっともここまで読んだ方はわかっていただけるでしょうが、「せざるを得ない」というのがより適当だと思います。
その他【青黒オーラ】は【赤白轟轟轟】には勝てるもののそれ以外のデッキにはほぼ勝てず、他の候補に至っては環境トップの【赤白轟轟轟】には不利が付いている始末。
というわけで2ブロックは 「【赤白轟轟轟】vs 何か」、或いは「【赤白轟轟轟】構築Aパターンvs【赤白轟轟轟】構築B パターン」というような構図になることが予想されていました。
もっともこの「極めてわかりやすい」メタゲームというのは、環境に対するアンサーデッキを用意しやすいということでもありました。
少し面白いインタビューがあったので、紹介しておこうと思います。
ばんぱく「昨今のCSの増加に伴って入賞リストを手に入れやすくなり、それらをコピーして使うプレイヤーが増加しました。そうしたプレイヤーは自分でデッキを組むのが苦手で、常にコピーデッキを使う傾向にあります。
今回のカードプール変更後のメタ読みは楽でした。昨年ごろから上位プレイヤーがリストを隠すようになり、ネット上で供給される情報が絞られていた為、リストのコピー元はそう多くないからです。
自分はもっと新しいものを見たいので、自らの手でデッキを組む人が増えてほしいし、DMPランキングを頑張る人も増えて欲しいと思っています」
特に2ブロックは、その性質上「メインは殿堂。2ブロックはあんまりデッキを用意していない」というプレイヤーも多かったことでしょう。必然的に、大半のプレイヤーの構築は似通ってきます。
そしてとある1人の天才が、この【赤白轟轟轟】が支配する環境に打ち克つデッキを求めることになるのです。
当日の結果
優勝
おんそく(赤緑印鑑パラス)準優勝
L(4cバラギアラループ)3位
武蔵(赤白轟轟轟)4位
ぴな(赤白轟轟轟)
なおベスト8は以下の結果となっています。
ベスト8
Runo(ネクラバラギアラループ)ネコラック(白単絶十)
クロロ(山形県)(赤白轟轟轟)
Arturia(赤白轟轟轟)
TOP8のうち約半数が【赤白轟轟轟】という環境の中、それらを見事に捌いたおんそく・Lの両名が決勝に進出。
そして伝説の決勝の果てに、【赤緑印鑑パラス】という未知のデッキを使用したおんそくが見事GP8th覇者となりました。
それではまたいつも通り、アーキタイプごとに結果を振り返っていきましょう。
赤緑印鑑パラス
「したい会(現在は諸事情あって活動休止中)」の天才デッキビルダーは、その名をこっちゃーと言います。
あまりにも独創的過ぎる発想力、それを形にしてしまう構築力、そして作ったデッキを回しきってしまう高いプレイング力、全てを備えています。
もちろんデッキビルダーはもちろん世に数多くいるのですが、「悪魔的発想力」という点では彼は頭1つ抜けていると思います。
そんな彼がGP8thのために生み出したデッキこそが【赤緑印鑑パラス】です。
(GP8th2ブロック 優勝 おんそく)
正直な話、何度世界線をループしてもこのデッキに辿り着くことが出来る気がしません。
便宜上【赤緑印鑑パラス】と呼んでいますが、その実情は【赤緑覇道】でもあり、【赤緑轟轟轟】でもあります。
どうして3つのデッキが1つにまとまって、それでいて強いんですかね??? 《幻緑の双月》から《ゴリガン砕車 ゴルドーザ》に繋いで《“轟轟轟”ブランド》が出せるってどうしてそんな構造をデッキに組み込めるんですかね??? 私にはもう訳が分かりません。
そしてこのデッキを使用したおんそくが、見事GP8thの頂点に輝くことになります。
赤白轟轟轟
まあホントに強かったですね。
予選突破数等はちょっとわからないんですが、ベスト8に半数いたという辺りで察してください。
特にこのデッキはアグロに寄せることもミッドレンジ気味に構築することも可能で、また赤単速攻のようなデッキと違ってそれなりの枚数のトリガーを積むことができます。とりあえず6点並べてGoみたいなデッキに安易に負けないのも、上位を固めたゆえんでしょうか。
(GP8th2ブロック 3位 武蔵)
また構築もかなり人によって差異があったのも面白いところですね。
主要パーツこそ共通ですが、トップ8では《BAKUOOON・ミッツァイル》を採用していた人の方がむしろ少なかったんですよね。
(GP8th2ブロック ベスト8 クロロ(山形県))
このデッキの存在が、他の環境デッキの構築を大きく制限することになりました。
少なくとも一定枚数のトリガーが存在しないデッキは、存在できる理由がなくなってしまいましたね……。
バラギアラループ
全国大会の2ブロックでも一定の成果を残したこのデッキは、GPでも引き続き結果を出しました。
バラギアラにも3色、4色で構築に幅があると述べましたが準優勝したL選手の構築は青入りの4色でした。
青を入れることで《龍装艦 チェンジザ》を採用することが可能で、《天地命動 バラギアラ/輪廻暴氷》と合せてデッキの安定感を高めることが可能です。
もちろん《「本日のラッキーナンバー!」》も採用出来るようになるのもプラスですね。
(GP8th2ブロック 準優勝 L)
一方で青抜きのネクラの構築の利点は、空いた枠にトリガーを積めることですね。
特に下のRuno選手の構築は顕著なのですが、なんとトリガーはマシマシの24枚。更にその上で《無修羅デジルムカデ》まで採用しています。
赤白轟轟轟とは、人類にここまでさせるのです。
(GP8th2ブロック ベスト8 Runo)
さて、このデッキタイプは、優勝する筈でした。
まあ何故か優勝出来なかったんですけど。
いやぁ、何でですかね……。
DMGP8th DAY1 決勝戦:おんそく vs. L | デュエル・マスターズ (takaratomy.co.jp)
その他
トッププレイヤーの中では【ジョラゴンジョーカーズ】を使用したプレイヤーも多かったです。
例えばZweilanceやばんぱくといったプレイヤーはこのデッキを使用しています。【赤白轟轟轟】にノーチャンではなく、「【赤白轟轟轟】に勝てるデッキに勝てる」という性質を評価してのことでしょう。
またネコラック選手が【白単絶十】を使ってトップ8に入賞しています。《音奏 プーンギ》は戦いづらいですが、《音奏 ハイオリーダ》が絡むと高い防御力を発揮することが出来ました。
このデッキの強さは、この翌日に北海道から来たとあるプレイヤーの手によって再び証明されることになります。
DMGP8th DAY1 Round 9:ZweiLance(宮城) vs. さんみ(茨城) | デュエル・マスターズ (takaratomy.co.jp)
DMGP8th DAY1 準々決勝:L(神奈川) vs. ネコラック(兵庫) | デュエル・マスターズ (takaratomy.co.jp)
まとめ
というわけで、GP8thのday1の振り返りでした。
私はカバレージを担当しておりましたが、2日間開催は本当に未知の世界でした。会場は大盛況だったのですが、1日目が終わったときは、ぶっちゃけ飯食って寝ることしか考えてませんでした。
そんなわけで、激闘のday2へと向かっていきます……。
(day2に続く)