【デュエマ】歴代最強デッキ選手権SSSランク~ファイアー・バード~

こんにちは、神結です。

歴代最強デッキ選手権、遂にここまで来ました。

ラストを飾るのはSSSランクより【ファイアー・バード】です。

第一期～生まれながらの最強～
- ファイアー・バード誕生
- いきなり三冠王
第二期～殿堂前より強くなってね？～
最終期～命尽きる直前が一番輝く～
おわりに
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第一期～生まれながらの最強～

ファイアー・バード誕生

【ファイアー・バード】は、ご存じの通り2024年7月20日に発売された「ファンタジーBEST」にて登場したデッキになります。

そのデビューは衝撃的で、まず緒戦で前回SSSランクで紹介しました【火水マジック】を倒します。

……こう書くと【火水マジック】がワンランク下がりそうな気もしますが、あれです、マジックがハンニバルでファイアー・バードがスキピオみたいなだけです。あと五条悟と宿儺がこういう関係らしいと聞いたことがあります。

そんなわけで、いきなり強さを見せ付けた【ファイアー・バード】でしたが、リストはだいたいこんな感じ。当初は《ボルシャック・モルナルク》が入ったリストとかもありました。

理想の動きとしては2ターン目《マジシャン・ルピア》、《ルピア&ガ:ナテハ》といった初動となるクリーチャーを置きつつ手札を準備し、3ターン目に《ハッター・ルピア》を投下。

相手のマナゾーンのカードの枚数よりコストが大きい相手のクリーチャーが出た時、そのクリーチャーを破壊する。
ハイパー化：自分の他のクリーチャーを１体タップする。（自分のメインステップ中に、ハイパーモードを解放できる。ハイパーモードは次の自分のターンのはじめまで続く）

あとはこの《ハッター・ルピア》がなんとかします。

この《ハッター・ルピア》はデュエマの歴史を塗り替えたようなカードです。テキストは読んでいただいた通りなのですが、ほぼ専用構築が要求される代わりに3コストのメタクリーチャーが展開能力を持っています。それはなんかこう……ダメじゃん。

そしてハイパー化した状態の「ファイアー・バード・メクレイド5」の火力は凄まじく、《雷炎翔鎧バルピアレスク》や《龍后凰翔クイーン・ルピア》が出てくれば、その気になれば3キルだって可能でしょう。

ただ【ファイアー・バード】の優れていた点は、「別にそんなことしなくていい」ということなんですよね。

このファイアー・バード・メクレイドはある程度の運も絡みますが、いずれにせよ《ハンプティ・ルピア》や《ポッピ・冠・ラッキー》、《龍后凰翔クイーン・ルピア》辺りを盤面に置いておけばまず優勢を維持できます。

そもそも相手のデッキや状況に応じて、選択の自由が広かったのも【ファイアー・バード】の強みです。

これは去年の全国大会前にあっとんさん（現チームSAGA）にインタビューをしたときのことなんですが。

彼は【ファイアー・バード】を使い続けて全国大会に行ったわけなんですけど、インタビュー中にこんなことを仰っていたんですよね。

あっとん「本当に環境読みだけは出来なかったんですよ。何も知らないデッキとも当たりますし」

――この前九州の方のCSで、《ドラグ変怪》が2連覇していて震えました。

あっとん「そういうのがあるんですよ。だから環境読みも出来ないし、知らないデッキばっかりですし、環境デッキでも構築が違ったりとかしていて。どのカードをケアするか、常に頭に入れておくのが大変でした」

――例えばヘブンズ・ゲートに《冥界を統べる新月のハーデス》を入れる人もいれば、《∞龍ゲンムエンペラー》もたくさん入れる人もいる、みたいな？

あっとん「そうです。採用カード的に《∞龍ゲンムエンペラー》は入って無さそうだなぁ、って思って《ハンプティ・ルピア》で手札覗いたら、《闘門の精霊ウェルキウス》も《∞龍ゲンムエンペラー》もどっちもある、みたいな」

――そういう意味では、広く対応できる【ファイアー・バード】は、相性よかったんでしょうね。

あっとん「《ハンプティ・ルピア》がデッキ教えてくれるので、《ハッター・ルピア》よりも《ハンプティ・ルピア》に感謝した方が多いかもしれません（笑）」

マナ埋めだけでは全貌が見えないデッキには一旦《ハンプティ・ルピア》。アドバンスではドラグハートに強い《ポッピ・冠・ラッキー》。このように相手に応じて優先度を変えてプレイが可能で、しかもそれが全部強いというのが【ファイアー・バード】なんです。

更に【ファイアー・バード】の大きな強みとしては、メタクリーチャーなどで盤面を固めてくるデッキに対して《アリスの突撃インタビュー》という強力かつ明快な回答を持っていたことでした。

S・トリガー
自分の手札を１枚捨てる。その後、コストの合計がその捨てた手札のコスト以下になるように相手のクリーチャーを２体まで選び、破壊する。捨てた手札がファイアー・バードなら、コスト５以下のクリーチャーを１体、自分の墓地から出してもよい。

《アリスの突撃インタビュー》は、先にメタクリーチャーを割ってから自分のクリーチャーを出せます。これまでメタクリーチャーの代表のような存在であった《ボン・キゴマイム》などに引っ掛かることなく攻撃に移行できるのが強力でした。もちろん、受けトリガーとしてもちゃんと強い。

インタビューだけ割り切ってターン返したらしっかりインタビューから破壊された……なんて試合は、皆も私も数多く経験したことでしょう。

そして最終的には、《雷炎翔鎧バルピアレスク》を絡めることで安全なフィニッシュも可能でした。

スピードアタッカー
このクリーチャーは、バトル中破壊されない。
このクリーチャーが攻撃する時、ファイアー・バードを１枚、自分の手札から出してもよい。
このクリーチャーの攻撃の終わりに、自分のファイアー・バードを５つ破壊してもよい。そうしたら、このターンの後に自分のターンを追加する。

《雷炎翔鎧バルピアレスク》は自分のファイアー・バードを5体破壊して追加ターンを獲得するカードです。元々はこの5体の用意が困難であるために【アーマード】などでは採用のなかったカードなんですが、【ファイアー・バード】では話が別。

自身が攻撃時に《アリス・ルピア》を出せばこれでもう5カウントが達成ですし、《ハッター・ルピア》が勝手に横を広げてくれるので、盤面を用意するのが非常に簡単になりました。

また破壊についても、《ポッピ・冠・ラッキー》や《龍后凰翔クイーン・ルピア》の破壊置換があるので、結果として3体程度の破壊で済むんですよね。ゲーム終盤には追加2～3ターン獲得なんて状況もありましたし、《コッコ・武・ルピア》絡めて無限追加ターンなんてケースもこともできました。

それまでハズレSR扱いだった《雷炎翔鎧バルピアレスク》の評価が一夜で逆転したことは、同カードの殿堂に際しても触れられたくらい有名な話でもあります。

ちなみにアドバンスでは《カモン・ピッピー》が使用できるため、《ゼロ・カイザー》との組み合わせによる疑似アポロや、《勝利のヴォルグ・サンダー》とセットで【ヘブンズ・ゲート】を詰めるといった使い方もありました。

まぁ【ファイアー・バード】の強みを語っていくとそれだけで終わってしまいそうなのでこれくらいにしておきますが、ほぼファンタジーBEST産のカードで組むことが可能である手軽さもあり、【ファイアー・バード】は一気に流行していくことになります。

いきなり三冠王

【ファイアー・バード】を語る上で欠かせない要素として、大型大会での強さが挙げられます。

これはあっとん選手のインタビュー内でも語られていたように、《ハンプティ・ルピア》のようなカードが地雷デッキに対しても強く、安全なフィニッシュが存在することも含めて本当に取りこぼしが少ないからでしょう。

まずは登場直後の8月3日に開催された超CSⅦ横浜にて、ファイアー・バードと巨大天門、光水天門のチームが優勝します。また3位のチームも、ファイアー・バード2面でした。

更にその半月後に行われた超CSⅦ広島では、ファイアー・バードを使用した愚っちゃん選手が個人で優勝。わずか1ヶ月であっさり二冠を達成します。

更に10月26・27日に開催されたDMGP2024-2ndのDay2では【マーシャルループ】が猛威を奮う中で、最終的に《凰翔竜機マーチ・ルピア》で【マーシャルループ】らを攻略したジンジャー選手が見事に優勝。

わずか3ヶ月であっさり三冠達成です。

当然ながらこのまま2024年後期の環境で活躍を続けることになり、オリジナルは「バード・マーシャル環境」と言えました。最終的に【水闇COMPLEX】も加えての3強環境という見方が強かったように思います。（一応、アドバンスは【闇単XENARCH】が強すぎてTier2くらいでした）。

ここの相性についてですが、バード-マーシャルについてはよくバード側の練度ゲーと言われていて、バード側ミスらずに詰め切れるかどうかみたいな話が多かったように思います。バード-COMPLEXについてはCOMPLEX側がバードにちょっとずつ刺さるメタクリを並べつつ《飛翔龍 5000VT》という大きな蓋もあったため、COMPLEX側が有利とされていました。

（COMPLEXが対【マーシャルループ】に寄せた構築にすると、バード側に傾くというジレンマもありました）

ただしファイアー・バードは有象無象に圧倒的、そりゃもう圧倒的なほどに強く、例えば【マーシャルループ】を《DG-パルテノン～龍の創り出される地～》などで狩りに来たデッキ（例：緑ゼニスなど）軽くあしらうことができたんですよね。

そういう意味では【ファイアー・バード】が抑えつけているデッキが多かったですね。私もよくモモキングだのバロムだの作ってはバードにボコられていました。

こうした実績を鑑みて、2025年2月をもって《雷炎翔鎧バルピアレスク》が殿堂入りします。ついでにライバルだった《マーシャル・クイーン》や《DARK MATERIAL COMPLEX》も殿堂入り。

これにより、ファイアー・バードの第一期は終わりを迎えました。

が。

すぐに第二期が始まるだろうことは、プレイヤーたちは薄々気付いてたことでしょう。

第二期～殿堂前より強くなってね？～

不死鳥は、炎の中よりなんとやらと言いますが、コイツに関してはそもそも死んでいません。

殿堂明け後、【ファイアー・バード】の評価が落ちることは別にありませんでした。

ファイアー・バードの強みである「3ｔ《ハッター・ルピア》」「メタクリーチャーに《アリスの突撃インタビュー》」といったギミックについては、特に制限を受けなかったからです。

「まぁ《雷炎翔鎧バルピアレスク》殿堂のファイアー・バードならそれくらいするよね」といった感じで、殿堂後の活躍についても逆に驚きはなかったように思います。

3月下旬に開催された全国大会2024では、ベスト8に2名を輩出します。

マーシャル・COMPLEXが消えたことで緑系のデッキがはしゃぎだし、決勝が【水自然ジャイアント】のミラーだったこともあって、【ファイアー・バード】の活躍自体は少し霞んだ結果とはなってしまいました。それでも充分な力があることを証明したとは言えるでしょう。

さて、そんな中で4月になると王道Wシリーズが始まり、「邪神vs邪神～ソウル・オブ・ジ・アビス～」が発売。

これで注目されたのが今年を時めくカードである《真気楼と誠偽感の決断》でした。

このカードの登場は序中盤の展開をメインギミックとするデッキ、具体的にいうと先に挙げた緑系のデッキである【水自然ジャイアント】や【ドリームメイト】に大打撃を与え、逆に受け寄りのデッキを大きく強化することになります。

そんな中で活躍を見せたデッキはなんでしょうか？

そう、【ファイアー・バード】ですね。

「手札誘発を構えた受けデッキに対しても勝てる」というのは、本来殴るデッキではあってはならない筈なんですよ。殴っているようで殴っていない【ファイアー・バード】の異質さをよく表していると言えるでしょう。

この時期のリストは、こんな感じ。

《雷炎翔鎧バルピアレスク》が1枚となった代わりに《凰翔竜機マーチ・ルピア》が多投されることになります。

革命チェンジ：コスト３以上のファイアー・バード
スピードアタッカー
スレイヤー
W・ブレイカー
自分のファイアー・バード・クリーチャーが破壊された時、それよりコストが小さいファイアー・バード・クリーチャーを１体、自分の墓地から出してもよい。

《龍后凰翔クイーン・ルピア》攻撃時にチェンジ《凰翔竜機マーチ・ルピア》で《凰翔竜機マーチ・ルピア》を破壊すると、メクレイド8をした上で《龍后凰翔クイーン・ルピア》の蘇生が確定しています。

そうでなくとも、盤面に《凰翔竜機マーチ・ルピア》が安着すると《雷炎翔鎧バルピアレスク》から詰める際、盤面が破壊がもはやデメリットではなくメリットになる説もあります。

特に《ハンプティ・ルピア》の使い回しなどが圧倒的にやりやすくなっていたことで、受け系のデッキには極めて強い構築となっていたのです。

更に1枚の《雷炎翔鎧バルピアレスク》についても《ルピア&ガ:ナテハ》によって楯落ちもケアできるため、理屈上はデッキの何処にいても触ることができました。まぁ実戦的なラインで言えば、よっぽどボトムの方とか、ラス楯とかじゃなきゃだいたい絡められるケースが多かったように思います。

そして5月に行われたDMGP2025-1stでは、まずアドバンスでなんとみるえめくん（現チームSAGA）の2位を筆頭に、3位、4位をも獲得。

《ポッピ・冠・ラッキー》がアドバンスで非常に強いことに加えて苦手の【闇単XENARCH】にも《凰翔竜機マーチ・ルピア》である程度の勝負ができるようになり、更に当時流行していた【5cバロム】にも（《ポッピ・冠・ラッキー》が強烈に刺さるため）有利など、勝つ条件が綺麗に揃っていたんですよね。

モルト？ムザルミ？オレの横で寝てるけど。

ただ翌日のオリジナルでは、予選突破数は最多ではあったもののTOP8には残れず。【水闇DOOMサガ】などで似たような現象がありましたが、【ファイアー・バード】でもそんなことがあるんだと逆に驚きました。

いずれにせよ、こうして【ファイアー・バード】は復活というより、第二の全盛期を我々に見せ付けてくれました。

田園補完計画さんの調査によりますと、3月の最終週にドリームメイトが入賞数トップになったのを最後に、4月から8月の殿堂まで最終的に18週連続トップで走り抜けたそうです。

《雷炎翔鎧バルピアレスク》の殿堂前は【マーシャルループ】【水闇COMPLEX】と天下を三分してたことを考えると、むしろ殿堂後の方が頭抜けていたという見方もあるかと思います。《DARK MATERIAL COMPLEX》の殿堂入りも大きかったでしょうね。

最終期～命尽きる直前が一番輝く～

そんなこんなで「ファンタジーBEST」発売から1年経ち、【ファイアー・バード】は環境トップのまま1年間を走り抜きました。もはや殿堂は避けられないという見方もある中で、【ファイアー・バード】は最後にご褒美を貰うことになります。

それは「ファンタジーBEST」の後継である「ヒロインBEST」にて登場した《愛銀河マーズ・シンギュラリティ》です。

自分のマナゾーンにあるカードとエレメントが、合計５つ以上、種族にファイアー・バードまたはフェニックスを持っていれば、このクリーチャーを[ff03]支払って召喚してもよい。
デッキ進化GV：このクリーチャーを、自分の山札の上から３枚の上に重ねつつ出す。（山札のカードは裏向きのまま下に重ねて出す）
T・ブレイカー
自分のクリーチャーすべてに「スピードアタッカー」を与える。
メテオバーン：このクリーチャーが攻撃する時、これの下にあるカードを１枚相手に見ないで選ばせ、墓地に置いてもよい。それが火のクリーチャーなら、墓地から出す。

《ハッター・ルピア》のメクレイドの当たりカードで、なんかそのまま相手を殴り倒せます。【ファイアー・バード】はこれまで相手を見下しながら負けない状況を作り続けて勝利を収めてきましたが、最後の最後で純粋な暴力も手にしました。