yk800の週刊! メタゲーム・ウォッチング Vol.16【20.1.1】

 新年明けましておめでとうございます、本日よりこちらのブログで週刊連載記事を寄稿させていただきますレッドことyk800です。初めましてな方はぜひ僕のご挨拶記事の方をご覧くださいませませ。

 さて、こんな年明け早々からデュエル・マスターズのブログを見るあなたも、帰省先で必死こいてブログ書いてる僕も、みんな平等に物好きのデュエマ好き。本日1月1日は奇しくもかねてより発表されていた殿堂入りの適用開始日です。今週末にどのぐらいのCSが開催されるのかは分かりませんが、おそらく多くのプレイヤーが新環境を早く味わいたくてウズウズしているのではないかと思います。

 来る年あれば行く年ありということで、心機一転新たな環境を考察する前に、殿堂入り施行前最後のCS結果をチェックしていきましょう! それではメタゲーム・ウォッチング、スタートです!

 ……の、前に。

 「yk800の週刊! メタゲーム・ウォッチング」も新章スタートですので、読者の皆さまに改めてお伝えしておくべきことがあります。それは、

「この記事に書かれていることをそのまま鵜呑みにしないでほしい」
 ということです。「当たり前やんけ」と思われた方、あなたはそのままで大丈夫。

 メタゲーム・ウォッチングはあくまで観測と分析のお裾分け。ここで僕が読者の皆さまに提示する情報は、「皆さまの思考を活性化させるための材料」です。実績を残しているプレイヤーはここに書かれてあるぐらいの情報は当然ながら検討し、さらにその先を行く構築・プレイを生み出そうと日々思考と試行を繰り返しています。

 また、あまり大きく的外れなことは書かないよう、実際の対戦ログや動画を閲覧し、時には手づからデッキを回しながら、できる限り正しい情報をお伝えできるよう努めておりますが、それでも実態とは異なることを書いてしまっていることはおそらく多々あります。

 ここで得た情報を元に、皆さまが自らカードを触り、考え、「なんやこいつ、適当言うとるやないか」と、もしそう思ってもらうことができれば、それが僕にとって最大の幸せです。どうぞよろしくお願いします。

 というわけで、改めまして。2020年最初のメタゲーム・ウォッチング、スタートです!



先週の結果総まとめ

 まずは先週(19.12.26〜19.12.31)行われたCSの結果を見ていきましょう。
 (※元となった大会結果は田園補完計画さんからお借りしています。また、情報の抜け・漏れがある可能性がございますことをご了承ください)


 有終の美を飾る【火水万軍投ジョーカーズミッツァイル】。

 先週は明確に【火水万軍投Jミッツァイル】のアタリ週となりました。大方の下馬評通り、ビートダウンデッキと高速トリガーケア込み打点のジレンマの前に多くのデッキが苦戦を強いられたようです。環境的に通りのいい墓地メタの影響をほぼ受けず、自身の勝ち筋を押し付ける力も非常に高いため、この「圧勝」も納得のいく結果だと言えるでしょう。

 かねてより採用例はあったもののエリア戦を境にブレイクした印象の強い超GRへの《ポクタマたま》採用ですが、先週のフィールドにおいてはその勢いがさらに増加。ピン投はもちろんのこと、思い切って2枚を採用した構築も上位入賞を果たしています。墓地デッキに対する意識の高さが窺えますね。

 華々しい活躍を見せたデッキがある一方で、前週の覇者だった【カリヤドネ】は順位が大きく転落。【火水万軍投Jミッツァイル】はじめ、墓地対策を手厚く採用したデッキに有利を付けにくくなっているのが向かい風。登場以来懸念されていた「メタられると脆い」という弱点が環境最終週のここで明るみに出る結果となってしまいました。

 また、この数週間下火であった【火水自然ミッツァイル】、新興勢力の代表格とも言える【光水ナウ・オア・ネバー】の活躍も目立ちます。これらの事実が示唆するのは、《「本日のラッキーナンバー!」》の相対的な地位低下であったと筆者は考えています。

 先述の【火水万軍投Jミッツァイル】を筆頭として、【零龍速攻】【火単速攻】【火単“B-我”】といった先手からの3ターンkillが可能なデッキが現環境には一定数存在し、なおかつ環境を定義するカードとして《「本日のラッキーナンバー!」》は極めて強く意識され、もはや上位のデッキは「何らかの手段でこのカードによるロックを回避できるのが当然」のものとして構築されています。
 結果として現在のメタゲームにおいてその拘束力は緩まることとなり、《「ラッキーナンバー!」》1枚で苦戦を余儀なくされるこれらのデッキタイプにも活躍の機会が与えられたのではないかと考えられます。

 【火水自然ミッツァイル】の主流は依然としてジョーカーズ軸ですが、こと先週に関しては、タッチカラーの光を戻して《スローリー・チェーン》などの強力なトリガーを採用した受け重視の構築が復権した傾向にありました。ジョーカーズ軸の方もトリガーを増量している痕跡があり、総じてカウンターを意識した構築が最終週の結論となったようです。

 殿堂入り前の使い納めとして《BAKUOOON・ミッツァイル》を使いたいプレイヤーが多かったという背景こそあれ、「必殺‼︎マキシマムザマスターパック」発売と同時に彗星の如く環境を席巻した【火水万軍投Jミッツァイル】というデッキタイプがこの環境最終週を制した事実には一片の揺らぎもありません。去りゆく王者に惜しみない拍手を送り、また次の環境を見据えることとしましょう。

HOT TECH

《奇天烈 シャッフ》

 《「本日のラッキーナンバー!」》亡き後、大暴れが予想される《生命と大地と轟破の決断》や《ナウ・オア・ネバー》を主軸とした強力なコンボデッキ群。では我々はそれらへの対抗策を失ってしまうのでしょうか? ーーそんなわけはありません。【火水自然ミッツァイル】や【火水クラッシュ“覇道”】、【デッドダムド】や果ては【ロマノフワンショット】まで、水文明を扱う様々なデッキに採用されはじめているのがこの《奇天烈 シャッフ》です。

 このカードの強みは何と言っても「半永続的に特定のコストの呪文を縛り続けることができる」点。《Wave ウェイブ》などで使い回すことこそ不可能ですが、除去さえされなければ単体で継続的なロックをかけることができるのでほとんど気になりません。どんなデッキでも採用しうるカードではありますが、継続的ロックのためにはシールドを攻撃しなければならないので、どちらかと言えばコンボやコントロールよりも前のめりなデッキの方が適性は高め。

 《ファイナル・ストップ》などによる牽制も有力ではありますが、これらのコンボデッキが時間稼ぎ兼「メタのメタ」としてこれらのカードを採用している例も多く、現環境の【カリヤドネ】よろしくコンボスタート読み《ファイナル・ストップ》読み《ファイナル・ストップ》、というようなプレイングが飛び交う不毛な状況になってしまうことは目に見えています。
 その点、《奇天烈 シャッフ》はこれらのカードの影響を受けず、妨害の応酬に差し込んで相手のコンボを妨害することが出来るため、これは明確に優れていると言えます。

 地味ながら盤面を止める能力も決して弱くはなく、呪文を使わない対面にも腐りづらいこのカードは個人的に注目度高し。実は【光水ナウ・オア・ネバー】にも入るんじゃね? という疑惑もあり、今後の動向から目が離せません!

《ムシ無視のんのん/灰になるほどヒート》

 ジョーカーズ軸の【火水自然ミッツァイル】において追加のトリガーが採用される傾向にあったと先述しましたが、そのトリガー枠に収まっていたのは2〜3枚の《灰になるほどヒート》。このカードは【火水自然ミッツァイル】のみに止まらず、【火自然バーンメアジョラゴン】とでもいうべき新機軸の【ジョラゴンジョーカーズ】デッキにも複数枚採用されていたため、この度HOT TECHとしてピックアップしました。

 まずは【火水自然ミッツァイル】における役割から考えていきましょう。かのデッキにおいてこのカードから踏み倒せるカードは大きく3種:《エモG》、《スゴ腕プロジューサー》、《グレープ・ダール》です。

 トリガーした際に出して嬉しいのは主に前2つ。《エモG》はジャスキルを止めてターンを貰えば1枚から3枚の展開を作って返しの《ミッツァイル》着地確率を大きく引き上げますし、《スゴ腕プロジューサー》もブロッカー能力と合わせて2面を止められる可能性アリ。
 ここから《バイナラシャッター》や《全能ゼンノー》などの防御的なGRをめくることができればさらなる打点ストップが見込めますし、《マリゴルドⅢ》や《ダダダチッコ・ダッチー》もさらなるGRの呼び水となる可能性があるため、引いて嬉しい「アタリ」はたくさん。防御トリガーとしての期待値は上々です。

 《グレープ・ダール》はトリガーからの展開こそ単なる5000火力に止まりますが、自ターン中に厄介なシステムクリーチャー、特にマッハファイターを止めてしまう《全能ゼンノー》を破壊しながら即座にチェンジ《エモG》しつつの2面処理+GR展開という黄金パターンへの切り返しを持つ点には注目すべきです。

 もう一つこのカードを採用しているデッキとして今注目を集めているのが《バーンメア・ザ・シルバー》を採用した【ジョラゴンジョーカーズ】。

 基本的な動きは高速で・あるいはカウンター気味に登場させた《バーンメア・ザ・シルバー》から《せんすいカンちゃん》や《無限合体 ダンダルダBB》などをSAで登場させてJトルネードからGR召喚を継続し更なる打点を展開していくというもの。
 《ダンダルダBB》は一見するとどう使うのかわかりづらいですが、《バーンメア・ザ・シルバー》を戻しながら《灰になるほどヒート》を唱え、たった今手札に戻した《バーンメア・ザ・シルバー》を再度登場させることでSA打点を展開することが出来ます。

 定番トリガーの《7777777》、《灰になるほどヒート》、そして状況は選びますが《バーンメア・ザ・シルバー》の呪文面である《オラオラ・スラッシュ》も受けトリガーになりうるため、デッキのメインパーツのみで実に12枚のシールド・トリガーが搭載できます。そこからさらに《マン・オブ・すて〜る》や《スゴ腕プロジューサー》、《バイナラドア》などの受けカードを採用できるとあってカウンター性能は抜群。

 基盤が【ジョラゴン】であるため《キング・ザ・スロットン》から大連鎖の果てに《アイアン・マンハッタン》で返しのキルをケアしつつ攻撃する定番ムーブも健在です。突破力はそのままに《ジョット・ガン・ジョラゴン》への依存度は下がりながら受け性能もアップ、これまで【ジョラゴン】にとって致命的弱点であった《全能ゼンノー》も《灰になるほどヒート》で処理可能と隙が非常に小さくなっています。
 その分GRへの依存度が上がっているためめくれがプランと噛み合わなかった時の反動が大きいという弱点は存在しますが、それを加味しても純粋に強化されたと言っていい戦力の拡張具合でしょう。火文明のデッキ内比率が大きく向上したため7マナを払って《アイアン・マンハッタン》を走らせる機会が増えたのも特徴的です。

 ジョーくんが主人公を張り続けるかぎりジョーカーズサポートのカバー範囲は広く、手厚くなっていきます。踏み倒しであり、直接的な除去であり、なおかつトリガーでもあるこのカードは取り回しが非常に良いため、これからの環境で何度も見かけることになるのではないでしょうか。

今週のメタゲーム予想

 新殿堂によりメタゲームが大きく変動するので、今週のこのコーナーは予想というよりも感想。話半分程度にお聞きくださいね。

 新弾の登場により成立した新たなデッキタイプ、【零龍速攻】と【光水ナウ・オア・ネバー】についてですが、前者は殿堂施行後にやや減少傾向、後者は今後2週ほどは高いパフォーマンスを発揮し、その後はメタゲームの一角に落ち着くのではないかと予想しています。

 【零龍速攻】の弱点は言うまでもなくシールド・トリガーに極めて弱い点。【火水万軍投Jミッツァイル】の存在下においては板挟みの片板として環境に強烈なプレッシャーを与えられましたが、今後はそれがなくなるため入賞数という目に見える形での支配力はやや弱まるのではないかと思います。
 もちろん「【零龍速攻】がいるからトリガー増やす」という意味で、環境の外形を定義する1デッキであることは間違いありません。環境の中心に居座るのではなく、環境を回す歯車としてこのデッキの存在はこれからも機能していきそうです。

 【光水ナウ・オア・ネバー】はアンフェアなコンボデッキの代表格になりうる逸材として破格の強度を誇っていますが、手札に4枚ものカードを揃える必要があるコンボなので、意識的にメタられた時の脆さは決して無視できません。この点は【零龍速攻】と共通している部分ですね。最初週は華々しい活躍が予想されますが、現在の形のままで活躍を続けて行けるのは筆者の予想では翌週までが限度ではないかと。
 もっとも、こちらのデッキは非常に高いカスタム性を持っていますので環境に合わせて形を変えながらデッキタイプとしては高いTierを維持していくことが予想されます。今後のバリエーション展開に期待がかかりますね。

 次は少し違った観点から。《BAKUOOON・ミッツァイル》の殿堂入りによって環境全体のデッキパワーが数ヶ月前まで後退する中、新カードの暴力的なパフォーマンスを発揮できるマナドライブ6サイクル、マナドライブ7自壊サイクルの恩恵を存分に授かれるデッキはおそらく「組めれば強い」デッキであると言えるでしょう。
 GR召喚というギミックそのものは《「本日のラッキーナンバー!」》の殿堂入りによりむしろ通りやすくなっており、これまで強いられていた「《ナンバー》避け4統一」のような縛りも薄くなるため純粋に超GRの自由度が増しています。

 今週ピックアップした《奇天烈 シャッフ》、《ムシ無視のんのん/灰になるほどヒート》という2種のカードをどちらも無理なく採用することのできる【火水自然GRジョーカーズ】に《BAKUOOON・ミッツァイル》を1枚搭載するような形のデッキタイプは引き続き存続していくのではないかと考えられます。

 その他、変わったところでは《Wave ウェイブ》、《龍装艦 チェンジザ》で妨害呪文を連発してマウントを維持しながら《ドンジャングルS7》へと繋げる【水自然光チェンジザドンジャングル】、GRクリーチャーにフォーカスを当てた【5cコントロール】など、マナドライブ6・7を活用できる「重い」デッキはいくつか考えられます。
 実は密かに重コントロールデッキが好きな筆者個人としては、このようなデッキの可能性にも注目していきたいところですね。

 何はなくとも今週は環境のスタートラインを定義する第1週、今後のデュエル・マスターズの未来を占う大事な週です。来週はいつも以上に微に入り細を穿ち、密度の濃いメタゲーム・ウォッチングをお届けできればなと思います。

 今週のメタゲーム・ウォッチングはここまでとなります。それではみなさま、良い週末を!