どうも、レッドことyk800です。先週はちょっと体調を崩してしまいお休みさせていただきました。申し訳ございません。
さて、1週空いたということは今回の記事が新殿堂1発目。【サガループ】以前/以後で環境の前提は大幅に変わり、その分割を食ったデッキもあれば、逆に強くなったデッキもあり。なんでもないような顔をして以前と同じような活躍を見せるものも確かに存在しています。
そろそろ過渡期の混乱も落ち着き、「環境」の姿が見え始めた8月第4週。メタゲーム・ウォッチング、スタートです!
結果総まとめ
先週から今週(2023/8/19〜8/25)にかけてのCS結果は以下の通り。
(※データはDMPランキングに掲載されている公認CSの運営Twitter等を元に独自に集計したものとなっております。詳細な大会結果を確認できなかったCSについては集計の対象となっていないこと、その他抜け・漏れがある可能性がありますことをご了承ください)
殿堂後初回となる今回は、環境の上位に位置するデッキを総ざらいしていきましょう。
新環境環境開始からしばらくが経ち、飛び抜けた戦績を残しているのが【青魔導具】、【アビス】、【5cザーディクリカ】の3デッキ。
【青魔導具】は《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》が抜けた枠に《堕∞魔 ヴォゲンム》を採用し、大量の墓地を活かして戦う《卍 新世壊 卍》に依存しないルートを確立するのが一般的に。
新環境での懸念点となっていたエレメント除去・カード除去の増加を乗り越える手段が開拓されたことでデッキとしての強度が大幅に高まっており、それが入賞数にも現れた形です。
今回は【青魔導具】という括りに全て含んでいるものの、これまでの常識からは考えられない「《卍 新世壊 卍》+《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》」不採用の【青黒魔導具】も出てきており、こちらは完全に《堕∞魔 ヴォゲンム》から《「無月」の頂 $スザーク$》を着地させることに重きを置いた形。
【青黒魔導具】はほとんど完全にコントロールデッキですが、実際のところ既存の【青魔導具】ですらも《「無月」の頂 $スザーク$》を複数着地させてリソース差で勝つゲームは数多く、このドルスザクのカードとしての強さが窺い知れます。
【アビス】はハンデスコントロールとしての強みとビートフィニッシュの強みを相手に合わせて切り替えられる点が大きな強み。
単純な除去は《邪龍 ジャブラッド》で受け流せますし、従来苦手としていた手札・墓地からの踏み倒しを絡めたカウンター戦術に対しても《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》でピーピングハンデスした後に《深淵の文暴具 ケシカス=カース》の墓地リセットを噛ませることで相手への要求値を大きく引き上げられるため、汎用性の高いアビスを組み合わせるだけでも安全なフィニッシュを狙いやすくなっています。
【アポロヌス】の存在もあって踏み倒しトリガーは現在のデュエマにおけるひとつのトレンド。そこに対して明確な回答を持ち合わせているのはメリットと言えそうです。
なんだかんだと墓地リセットには弱いものの、弱った相手のリソースを《ウォズレックの審問》と《絶望と反魂と滅殺の決断》で削り取るプランである程度まではカバー可能。メタクリーチャーに至っては後続を叩き落とした後に除去すれば何の問題もなく突破できますし、そもそも墓地対策の効かないデッキも多い現環境では遭遇率自体も以前ほど高くはありません。
総合して、受けに少し難を抱えていること以外に目立った弱点のない、非常に対応力に優れたデッキ、という認識です。
【5cザーディクリカ】はもはや言わずもがな。4〜5ターンでの全ハンデスという凶悪な妨害性能や《龍風混成 ザーディクリカ》が有する展開・除去・ドローの圧倒的なパワーによって非常に対応力が高く、受けの性能も悪くないためゲーム展開次第ではほとんどのデッキに対して勝てるのがこのデッキ最大の特徴。
1アクション1アクションのゲームへの影響力が大きく、ブースト専用のカードなどを加味しても純粋なカードパワー比べでは現環境最高峰のデッキです。
一方で「ゲーム展開次第では」と述べたように、展開が噛み合わなければどんな相手にでもあっさり負けるパターンを有しているのがこのデッキの弱点でもあります。
4ターン目の《ナウ・オア・ネバー》+《ザーディクリカ》+《ロスト・Re:ソウル》はひとつの勝ちパターンですが、逆に言えばそれ以外に「これをすれば勝ち!」というわかりやすい勝ち方はなく、相手に応じた適切な勝ち筋を通す必要もあり。
また、ハンデスの有効性が低い墓地利用デッキは単に《ロスト・Re:ソウル》を通してはいおしまい、とはいかないためかなり厄介。惜しむらくは現在入賞数で【5cザーディクリカ】 に勝る【青魔導具】と【アビス】がどちらもこの条件を満たしていることでしょう。そろそろ立ち位置のいいデッキ、とは言えなくなってきたかもしれません。
上位3デッキからやや距離を離して次点につけるのが、【サムライ】や【赤単我我我】、【アポロヌス】といったビートダウンデッキ群に、ループコンボ筆頭となった【キリコグラスパー】。
ビートダウンの中でも【サムライ】と【赤単我我我】、【アポロヌス】とではかなり立ち位置が違うのは読者の皆さんもご存知の通り。
【サムライ】は上手く回れば理不尽な動きを押し付けられる強力なデッキで、前評判でも【サガループ】が消えた後の環境ではトップTierとさえ呼ばれていたデッキでした。しかしフタを開けてみれば、もちろん強力なデッキではあるものの環境の筆頭にまでは届いていない印象です。
【サムライ】はその最大出力の高さの代償として、初動軽減の維持と動き出すまでの手札の噛み合わせに強烈に依存してしまうデッキです。
わかりやすいところでは、【アビス】相手の後手なんかを想像してみると絶望的でしょう。《ウォズレックの審問》で軽減を抜かれればアウト、2ターン目の《ブルーム・プルーフ》から3ターン目に《漆黒の深淵 ジャシン帝》で軽減クリーチャーを焼かれればアウト、《邪侵入》から《マーダン=ロウ》が出てきて《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》が抜かれてもアウト。何なら《ハンマ=ダンマ》ですら厳しいです。
そもそも相手の妨害に関係なく、不確定要素の絡む選択肢が多いため勝手に裏目を踏み抜いて自滅してしまうことも少なくありません。一見するとシンプルそうに見えるデッキですが、ランダム要素の期待値やハズれた際のリスクなどをきちんと計算して動ける使い手でなければそのポテンシャルを発揮しきれないデッキであるとも言えます。
それでも前環境でこのデッキが強かったのは、上ブレを抜きにしても《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》や《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》の盤面戦を否定する性能が対【サガループ】デッキ群に非常に有効だったからだと考えられます。
例えば【アナカラージャオウガ】や【ラッカ鬼羅.Star】、フィールドを多用していた【青魔導具】もそのうちのそのうちの一つに挙げていいでしょう。
こういった「盤面で【サガループ】を止めつつビートダウンを遂行する」デッキは盤面処理に長けた【サムライ】にとっては絶好の相手でした。
しかし、【サガループ】の消滅・「ビクトリーBEST」での大幅な小型クリーチャー弾圧によってこの手のデッキがTier上位から消え去ってしまいました。【青魔導具】は引き続き存在しますが、《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》がなくなったことで《卍 新世壊 卍》への依存度が大幅に低下。
特に新たに開拓された【青黒魔導具】は【サムライ】に有利……とまではいかないかもしれませんが、少なくとも【青魔導具】よりは遥かに「戦える」デッキになっています。
強力なデッキではあるものの、強みがひとつ薄れたことと自分自身との戦いのハードルがあるため、上位陣と比べれば今一歩物足りない印象です。
【赤単我我我】と【アポロヌス】は、「通りが良いものの、悪い」という複雑な立ち位置。
環境上位に目を向ければビートダウンデッキそのものの通りはかなり良好に見えますが、【サガループ】が消えたことで多くのデッキがビートダウンに意識を割く余裕ができたのもまた事実。
明確に意識しなければならない頂点が存在しない以上、環境のどこに重きを置くかは各々の判断に委ねられ、それはビートダウンを徹底的に通さないようなデッキの存在をも許容します。
強いデッキであることは疑いようがないものの、群雄割拠の環境では乗り越えなければならないハードルが多くなってしまうのは、トリガーケア手段を持たないビートダウンデッキの宿命とも言えるでしょう。
【キリコグラスパー】は環境でも随一のループコンボによる特殊勝利を取り込んだコンボデッキで、速度を犠牲に防御性能と「回れば絶対に勝ち」という安心感に重点的にステータスを割り振っています。
速度が犠牲になったのは、どうしてもコンボの始動条件上7枚のマナを必要とするため。4マナ2ブーストカードなどを採用すれば強引に速度を上げることもできなくはないですが、そうなると今度はコンボパーツ以外にも引かなければならないカードが増え、どうしても安定性に欠けてしまいます。
マナさえ伸ばしてしまえば《蒼狼の王妃 イザナミテラス》1枚からコンボがスタートするのは相変わらずの強み。いくらハンデスしてもトップのカード1枚で解決しうるのはマナを起点に展開を作成するこのコンボの特権でしょう。
コンボまで持ち込めるゲームレンジの相手にはそもそも強く、それよりも早く決着を狙ってくるデッキにはトリガーを踏ませて解決を試みます。
他方、受け専用のカードに費やした枠はそのままコンボの不純物。効かない相手には純粋にマナが出るだけのカードになってしまいますし、そういったカードを採用する分だけコンボの再現性自体はどうしても下がります。
そもそもの話、入れられて8枚のトリガー枠で十把一絡げに「ビートダウンデッキ」全般を対策するのはほぼ不可能です。
環境上の立ち位置や強みの主張点は非常に良いものの、やや中途半端さが拭えないデッキでもあります。
そこから少し離して【テスタDOOM】、【黒赤アビス邪王門】、【アナカラージャオウガ】や【アナカラーハンデス】が名前を連ねる形。そのほかにも多数のデッキが活躍中の新環境ですが、大きな勢力としては概ねこんなところでしょうか。
少し下位のデッキの中では【マッド・デッド・ウッド】の胎動が気になりますね。いわゆる「ベン天門」ギミックに《Disアイ・チョイス》+《ブレイン・スラッシュ》のパッケージが加わった形で、能動的な仕掛けと受けのバリエーションの両面で《ブレイン・スラッシュ》が存在感を発揮している注目のデッキです。
メタゲーム予報
ある程度環境の形が見えてきた殿堂後のオリジナル。
特筆すべきは、上位3デッキがすべてハンデスによるゲームコントロールの要素を含んでいる点でしょう。
【青魔導具】は一見するとコンボデッキ(ですし実際にコンボデッキとしての強みも大きいです)が、このデッキが今なお活躍し続けている原動力としては《「無月」の頂 $スザーク$》の存在が最も大きなそれであることは間違いないでしょう。 《堕∞魔 ヴォゲンム》採用が一般的になって以降は、より一層その強さにデッキの重心を預けている印象です。
ハンデスが台頭する環境で割を食うのは、手札に特定のカードを揃えなければならない、いわゆる「絵合わせ」色の強いデッキでしょう。
手札の組み合わせへの依存度が高く手札以外のリソースをメクレイド以外で供給できない【サムライ】や、キーパーツが抜かれると途端にフィニッシュが遠のく【アポロヌス】のようなデッキは使いこなすのにスキルを要します。
逆に手札を崩されてもデッキトップのカード1枚から逆転を狙えるデッキや、墓地・マナの活用に長けた手札外リソースの潤沢なデッキはこの環境を攻略するうえでキーになるのではないでしょうか。
直近で活躍しているデッキでは、【キリコグラスパー】や【マッド・デッド・ウッド】は明らかにこの類。【キリコグラスパー】に至っては《貝獣パウアー》まで採用される場合がほとんどで、全ハンデスに屈するつもりはないという強い意志を感じます。
墓地リセットを併用されるとやや難しいですが、【テスタDOOM】も本質的には《超神星DOOM・ドラゲリオン》の1枚コンボなので、ハンデスにはある程度強い部類と言えるかもしれません。
また、ビートダウンの中では特定のカードへの依存度が低く、《カンゴク入道》や《斬斬人形コダマンマ GS》のような細かくリソースを回収できる【赤単我我我】は満足に動きやすい、という意味では頭一つ抜けているでしょう。
…………もっとも、墓地がそのままリソースに化ける【アビス】は言うに及ばず、墓地の魔導具呪文を使った「無月の門・絶」や手札1枚からでもドローを連鎖させられる《卍 新世壊 卍》を駆使する【青魔導具】、墓地の呪文・クリーチャーにアクセスする《龍風混成 ザーディクリカ》や《ブレイン・スラッシュ》を擁する【5cコントロール】といった現環境のトップ層もこの条件に漏れないのですが…………。
とはいえ、それだけで攻略できれば苦労しないのも事実。ハンデスは重要な要素ですが、上位デッキ陣がそれだけで勝っているわけではありません。これらの「ハンデスに強い」デッキの活躍に注目しつつ、そのほかのアプローチにも目を配っていきたいですね。
今週のメタゲームウォッチングはここまでとなります。それでは皆さま、良い週末を!
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