yk800の週刊! メタゲーム・ウォッチング Vol.20【20.1.29】

 どうも、レッドことyk800です。超BBP、剥いてますか? 僕は剥いてません。

 事前予想したような強力なメタカードは登場しませんでしたが、前回の「超ブラック・ボックス・パック」以降、4年もの長きに渡って停滞していたサイキック・クリーチャー事情に新たな風が吹き込みました。

 ブロックされないマッハファイターにほぼ全てのホールから出る3色レインボー。中型メタクリなら十分射程範囲に収める攻撃時パワー4000で隙のない《その先の未来へ、カミヤ・ミキ・ユア・ナルハ》。

 コスト5以下の小型サイキックでは例のない、表面から打点に計上できるブロッカー。わかりやすい強みはないものの、《アルプスの使徒メリーアン》や《アクア・カスケード》といった現在でも一線級のサイキックと比べても優れたスペックを誇る《愛しい場所、マイカ・月ノ・ハルナ》

 そして、火・闇2色のコスト4にしてSA持ち。攻撃時にガチンコジャッジで勝利できれば2打点。これだけでも十分素晴らしいにもかかわらず、なぜか種族にコマンドまでついてくる超パワーカード、《STARSCREAM -ALT MODE-》

 《道玄坂マングース、ココ・ユユ・ドクソン》はこれらのカードと比べればやや使い勝手に劣るものの、リンクしたあとの性能が十二分に強力であるため、同じギャンパレコラボのサイキック枠としてこちらもたびたび見かけることになりそうです。

 今週既にこれらのカードを使って結果を残したデッキもいくつかあるなど、その性能は折り紙付き。これからの活躍にも期待がかかりますね。

 新パックのお話はそんなところで、早速ですが本編へ参りましょう! 1月最終週、メタゲーム・ウォッチング、スタートです!



先週の結果総まとめ

 まずは先週(20.1.25〜20.1.26)行われたCSの結果を見ていきましょう。
(※元となった大会結果は田園補完計画さんからお借りしています。また、情報の抜け・漏れがある可能性がございますことをご了承ください)

 一位の座を簒奪するは【火水自然バーンメアジョーカーズ】!

 【火水自然闇ドッカンデイヤー】という前週までの絶対王者に対し、安定4ターンkillという回答をもって構造上の有利をつける《生命と大地と轟破の決断》コンボ。今週は惜しくもトップ5入りを逃しましたが、構築の周知も徐々に進み、その勢いは増す一方です

 これまでは「中心に居座る【デイヤー】と、それを対策するデッキ群」という環境の構図でしたが、これらの天敵が跋扈した先週末において、【デイヤー】はあくまで有力デッキの筆頭という立ち位置に止まり、多様なデッキが見られる環境へと発展しました。

 そんな中で首位を獲得したのが【バーンメアジョーカーズ】という対応力に優れたデッキであることに、なんら不思議はありません。盾が厚い構築コンセプト上、他の環境上位グループである各種ビートダウンデッキに対しても比較的立ち回りやすく、先週末はとにかく立ち位置のよかったデッキであるといえそうです。

 【バーンメア】・【ドッカンデイヤー】に続く三番手を押さえたのは【火光ビートダウン】。最上位グループには刺さりづらいものの《生命と大地と轟破の決断》系デッキやフィニッシャー早出し系ビートダウンに対して非常に有効な《奇石 ミクセル》を擁しており、やや足りない速度を妨害によって補いながら好成績を収めました。

 また、冒頭で紹介した各種新サイキックの恩恵を大きく受けたデッキでもあります。《銀河の裁きに勝てるもの無し♪》から超次元呪文を唱え怒涛の展開を叩きつけるプランは健在。定番だった《超次元サプライズ・ホール》に加え、《STARSCREAM -ALT MODE-》を活用するために《超次元キル・ホール》までもを投入し、超次元と超GRの両面から攻め立てる【火光ビートダウン】さえも登場しています。ひょっとすると「謎のブラック・ボックス・パック」において最も多くの強化を得たデッキかもしれませんね。

 【火水クラッシュ“覇道”】は際立った環境上の強みはパッと挙げづらいものの、デッキコンセプトの押し付けの強さ・周囲のガード低下により混沌としたメタゲームの中で一定の成果を上げています。
 後述しますがこのデッキは中盤のボード除去性能が高く、中型メタクリーチャー多めの現環境においてテンポ面で得をしやすく、それが今回の結果につながったのではないかと推測しています。

 多様化するメタと、多様化するメタカード。混沌へと近づく現環境から一歩先へ抜け出るのは、いったいどんなデッキになるのでしょうか。

今週のトピックス

【火水自然バーンメアジョーカーズ】

 首位獲得おめでとう! ということで今回はこのデッキにスポットライトを当てていきたいと思……ったんですが、ここは「デュエマ工房blog」。基本的なことはこちらで既に解説されていますので、現環境においてどのような構築・プレイングがなされているか、という部分について簡単にお話していきましょうか。

 多種多様なメタカードが採用できる【火水自然バーンメア】ですが、先週末の環境において主流だった配分は、

・呪文メタとして《奇天烈 シャッフ》が3〜4枚
・墓地メタとして《お清めシャラップ》が2〜3枚、GRに《ポクタマたま》をお好みで1枚
・追加のトリガーとして《知識と流転と時空の決断》か《ドンドン吸い込むナウ》を3〜4枚

 といった感じでしょうか。

 厚めのメタカード群から読み取れる通り、前環境の【火水自然ミッツァイル】のような2→4→6と一直線に突っ走る展開よりも、4で一旦メタを挟み、5マナ段階での《グレープ・ダール》や《灰になるほどヒート》から展開していくパターンが増えました

 そもそもこのデッキの主要なGRを見れば、今やその半分以上がマナドライブを持っておらず、「なんとしてでも最速6マナを目指さねば!」という気概は以前と比べるとやや必要性が薄くなったと言えそうです。
 もちろん最速で達成できるに越したことはないですが、今や環境上のデッキの大半が4ターン目にはウィンコンディションに入ってくる時代。4ターン目までマナ加速以外のアクションが取れないようでは後手を捲る手段がありません。「2でブーストして4で止め、5で《バーンメア》」のパターンはこのデッキの十八番と言えるでしょう。

 さて、《シャッフ》による呪文トリガー回避こそ得意なものの、《BAKUOOON・ミッツァイル》による馬鹿げたGR回転率は失ったため、勝ち筋の押し付け手段が弱くなっていることは以前お話ししたとおり。
 これはあらゆるカードゲームにおけるミッドレンジデッキの悩みと共通するものではあるのですが、妨害で時間を稼ぎつつ盤面を展開し、地道に打点を広げていくこの手のデッキは、1枚でドカンとゲームセットまで持っていく手段に乏しいため、引きや読みが噛み合わなければなかなか勝ち切ることができません。

 万能型ではあるもののその分扱いが難しく、また尖ったメタシーンではその万能性さえも活かしづらくなるという欠点を持ち合わせています。

 また、ある程度受けの硬さはあり、【火光ビートダウン】のようにジャスキルを揃えて攻撃してくるデッキに対してはかなり強く出られますが、一方で面での対処は苦手な部類なので、高速で過剰打点を組んで圧殺を狙ってくるデッキタイプとの対面は相応のトリガー運を要求されます。具体的には【火単“B-我”】あたりが代表格でしょうか。現在の環境において母数が多いわけではないですが、注意しておきたい点ですね。

 あらゆるデッキに対応し、時には特化した形さえも取る事のできる流動性の高さが魅力の【火水自然バーンメア】。極端に速度が出るわけではなく、理不尽の押し付けもないためか、その強力さに比してプレイヤーのヘイトは低め。
 メタの変動に合わせ少しずつ構築を変えながら、これからも環境の御庭番として上位に居続けてくれることでしょう。

HOT TECH

《百発人形マグナム》

 【バーンメアジョーカーズ】、【ハイオリーダファイブスター】、【ネイチャーヴァイカー】。これらのデッキにはある共通点があります。それは一体なんでしょうか?

 正解は、「クリーチャーを踏み倒したあと、シールドを攻撃して勝利する」という点。これらの戦術に一貫して機能するメタクリーチャーとして、今《百発人形マグナム》がにわかに注目を集めています。

 このカードを活用するデッキの旗手となるのが【火水自然闇ドッカンデイヤー】。一見すれば自分のデッキさえも妨害してしまいそうに見えますが、登場時能力でアドバンテージを獲得することに全てを注ぐこのデッキにはあまり影響がなく、それどころかむしろ早めにめくってしまった《ヨミジ 丁-二式》などをGRに戻せる利点として働くことすら。
 また、このカードが存在する状況下においていわゆる「ヨミジループ」を繰り返すだけで、自動的に「自身のクリーチャーを1体選んで破壊する」能力がストックされていくため、ループパーツとしても運用が可能。これまで《斬罪 シ蔑ザンド》や《零星 アンバラン》などのオーラを採用していた「自壊能力ループ」枠をこちらに差し替えた構築が徐々に頭角を表してきているのが現状です。

 本来構造的に相当の不利がつく各種《生命と大地と轟破の決断》コンボに対し、2→4から3ターン目にプレイするだけで大きな足止めを食らわせられるのは非常に魅力的、なおかつ【バーンメアジョーカーズ】の《グレープ・ダール》や《バーンメア・ザ・シルバー》に対して牽制を仕掛けられるとあっては、先週末の環境においては八面六臂の活躍を見せてくれたことでしょう。

 《MANGANO-CATSLE!》や各種オーラを主軸に打点を展開する【火水クラッシュ“覇道”】や【龍終アバレガンワンショット】、超次元呪文やGR召喚を中心にデッキが構築されている【火光ビートダウン】などの様々なアグロデッキに対しても、その足止め能力は十分に効果的。環境で有力なこれらのアグロデッキに対して効果が大きいこのカードを採用することで、トリガーが抜けた穴をある程度は補填できるのも見逃せないポイントです。

 かつて【メルゲドッカンデイヤー】という形で手を取り合った《百発人形マグナム》と《MEGATOON・ドッカンデイヤー》。これらのカードが再び結束し、かつては仲間だった《生命と大地と轟破の決断》に立ち向かう姿には、運命のいたずらを感じてしまい、胸が熱くなりますね。え、ならない? そう……。

《“乱振”舞神 G・W・D》

 《奇天烈 シャッフ》や《百発人形マグナム》など、中コスト域のメタクリーチャーの採用例が目立った先週末。【火水クラッシュ“覇道”】は中盤にこれらのカードを効率的に除去することによってテンポ面で得することができるのが強みでした。その最たるものが《G・W・D》。

 【火水自然闇デイヤー】や【火水自然バーンメア】に採用されるこれらのメタクリーチャーは、基本的にブーストを代償にプレイされているため、都合2ターン分以上の活躍が期待されています。1ターンしか稼げないのであればブーストを撃っているのと同じことですからね。
 できれば2ターン以上の遅延が望ましい。仮に1ターンしか遅延できなかったのだとすれば、せめてリソースを消費させられれば儲け物。それがメタクリーチャーをプレイする上での大前提です。
 しかし《G・W・D》はリソースを消費せずにメタクリーチャーを処理することにより、その目論見を打ち崩します

 また、単純にボードを制圧するカードとして、【火光ビートダウン】のようなウィニービートに対して有効に機能する点も重要。これらの要素により、このカードが上位3デッキ全てに対して一定の役割を持てることになります。

 強制攻撃は一長一短。相手にアドバンテージ的な損失を発生させることはできませんが、この1点によってキルターンが1ターン縮まることもあるため一概にどうとは言えません。【クラッシュ“覇道”】のようなハンドを重要視するデッキでなければ、ボードアドバンテージを稼ぐ事のできる《DROROOON・バックラスター》というのも、有力な候補かもしれません。

 最初に見たときはなぜ採用されていたかわからなかった《G・W・D》ですが、こうして紐解いていくとメタゲームに寄り添った優れた選択肢だったことが分かりますね。

今週のメタゲーム予想

 「丸い」【バーンメアジョーカーズ】に対し、自分のコンセプトを押し付けるのはそれなりに骨が折れます。A.【バーンメア】にメタられづらいコンセプトを選ぶか、B.【バーンメア】のメタカードをメタれる構築を使用するか、このいずれか選択肢から選ぶことになりそうです。

 筆者の考える今週末の候補は大きく3つ。

 まずは今週のHOT TECHでも紹介した《百発人形マグナム》入りの【火水自然闇ドッカンデイヤー】。《マグナム》は《灰になるほどヒート》からの《バーンメア・ザ・シルバー》や《グレープ・ダール》などによって処理されてしまいますが、前者であればそのターン中に《せんすいカンちゃん》のJトルネードから致死打点を組まれることは無くなりますし、後者であればそのターン中のJチェンジは制限することができます。うっかり数ターン生き残ってしまおうものなら、そのうちにコンボが成立していることでしょう。
 状況は選んで出す必要がありますが、相手の要求値を上げるという意味でも有用な《百発人形マグナム》は注目すべき1枚です。

 次いで、【火水クラッシュ“覇道”】。《G・W・D》は腐る対面も少なくないですが、こと【バーンメア】に対してはかなり有効。超GRチャージャーをプレイした、《バーンメア》からチェインがつながらなかった、などの要因で《ジェイ-SHOCKER》が棒立ちで残ることも少なくなく、これらを処理しながらアドバンテージに変換されては、【バーンメア】側はひとたまりもありません。

 受けトリガーが徐々に《知識と流転と時空の決断》へと流れているのも追い風です。同型はじめ、中盤に大打点を形成してくるデッキに対しては2面取りつつアドバンテージ力にも優れるこちらの方が《ドンドン吸い込むナウ》より有用ですが、墓地が4枚なければトリガーにならないため早期の突貫にやや脆くなりがちな印象。さしもの【バーンメア】も、3ターン《“覇道”》に対しては相当な苦戦を強いられることが予想されます。

 3つ目に、【水魔導具】。「謎のブラック・ボックス・パック」に収録された《堕呪 ゾメンザン》により4killルートが整備され、構築に革新が起こり、先週末も数件の入賞報告があったことは記憶に新しいですね。

 《卍新世壊卍》影響下においては《奇天烈 シャッフ》の呪文メタを無視してコンボの遂行が可能。受けと引き換えに速度が向上したことにより、その突貫力は次のステップへと進みました。
 《凶鬼卍号メラヴォルガル》によって自分の盾に埋まった《終末の時計 ザ・クロック》を踏み抜いて相手のトリガーから登場したクリーチャーの登場時能力の解決を待たずにExターンへと移行するコンボも考案されており、トリガーGR召喚から《マリゴルドⅢ》をめくって《シャッフ》で相手の攻撃を止めることも困難です。

 今週ポジションがよかった【水魔導具】の天敵・【火光ビートダウン】ですが、【バーンメア】との兼ね合いにより来週はやや減少すると予測されます。新体制に移行するにあたって火文明(=《ゴゴゴ・Cho絶ラッシュ》)を手放した【水魔導具】にとって、これは吉報以外の何物でもありませんね。

 さしあたって候補を挙げてみましたが、実際のところ今週末の環境がどうなるかについて、いまいちハッキリとしたことは言えません。そもそも【バーンメア】に対しては「これ!」といった決め手となるメタカードがあまりなく、これまでの、「前週活躍したデッキへ分かりやすいメタを施したデッキが勝つ」推移傾向からは少し離れてしまいます。
 
 しかしながら、予測不可能であるからこそメタゲームとは面白いもの。ひとまずの考えを頭に置いておきながら、今週末を待つとしましょう。

 今週のメタゲーム・ウォッチングはここまでとなります。それではみなさま、良い週末を!