yk800のメタゲーム・ウォッチング! 特別編〜殿堂予想・2020夏の陣〜【20.6.21】

 どうも、レッドことyk800です。メタゲーム・ウォッチングの名を冠する記事は2月26日の更新以降、実に4か月ぶり。もう書き方忘れちゃってるよ。自分の書いた「メタゲーム・ウォッチングの作り方」を読み返して勉強しなおしたいと思います。

 そんなことはさておき、いよいよ来ますね。

 殿堂入りカード発表!

 待望の、と言っても過言ではないかと思います。おそらく現役でデュエル・マスターズをプレイしているほとんどの人が待ち望んでいたのではないでしょうか。

 時期的にも7月頭に再開予定のCSとの間に、土日が1回挟まりつつも新弾のカードプール追加が見込まれる、絶好のタイミング。殿堂施行(おそらく7月1日スタート?)+新弾発売からの環境開始という形は、ちょうど半年前の1月1日施行の殿堂に近いスタートとなる予想です。初週の環境までにどこまでプールを精査できるかが勝負のカギですね。

 さっそく殿堂予想の方に入っていきたいと思いますが、ひとつだけ。
 以前筆者のブログを読んだ方はご存知かもしれませんが、当記事は予想というよりは「筆者の考える殿堂入りカード」という趣の記事になっていますので、実際にオッズの高いカードだけをピックアップしているわけではありません。可能性の非常に高いカードについては言及していますが、その点にはご注意ください。

 また、当ブログの運営主であるflat-の殿堂予想動画もありますので、そちらも合わせて楽しんでいただければ。

 それではレッツゴー!



前提となる環境把握

 まずは現在の環境を定義するところ始めましょう。vaultでの大会結果や参加母数などを踏まえて、2020年6月21日現在におけるTierリストを簡単に作っていくと、だいたいこんな感じではないかと。

Tier0—【4cドッカンデイヤー】

Tier1—【火自然(水)バーンメア】、【火光レッドゾーン】

Tier2—【カリヤドネループ】、【零龍速攻】

 筆頭となるのは不動の絶対王者【4cドッカンデイヤー】。採用しうるカードの幅広さが群を抜いているこのデッキは、たびたび話題のデッキに上位をさらわれながらも環境に適応した構築ですぐにメタゲームの最前線へと復帰し、今もこの地位を保ち続けています。

 【バーンメア】はしばらくはあまり見ることのないデッキでしたが、【火光レッドゾーン】の隆盛により評価が向上。【火光レッドゾーン】や【零龍速攻】といった高速ビートダウン系に対して高いカウンター性能を持ちつつ、GR系のデッキに対しても《バーンメア》から飛び出した《ジェイ-SHOCKER》でGRロックをかけての勝ちを狙えます。
 そもそもの地力は高いデッキですが、「受けの強さ」がウリのデッキだったためしばらくは鳴りを潜めていた、という形なのでしょう。ビートダウンが環境に戻ってくることで相対的にこのデッキは強くなりました。

 【火光レッドゾーン】は「メタクリーチャーで1ターンずらしつつその1ターンで大打点をぶつける」デッキの代表格。パンチ1回の打点が大きく、《伝説の禁断 ドキンダムX》による押し込みも持つため《テック団の波壊Go!》に比較的強いビートダウンです。このデッキの登場以降【4cドッカンデイヤー】のトリガー枠に《ゴースト・パイレーツ》が入り始めるなど、環境に様々な影響を与えたデッキタイプです。

 立ち位置としてはトップメタに対するメタデッキでありながらも、単純に速度の早いビートダウンであるために相手にトリガーの枚数を要求します。【4cドッカンデイヤー】の牛耳る現在の環境において、受けるためだけのトリガーを入れることは【4cドッカンデイヤー】へのガードを下げることに直結するためそれだけでリスク。
 もちろん、当の【4cドッカンデイヤー】も【火光レッドゾーン】へのガードをあげればミラーマッチがそれだけ立ち回りづらくなります。このジレンマによるポジションの良さが現在の立ち位置に繋がっていることは間違いないでしょう。

 Tier2は前環境から引き続き有力なデッキ群。

 【カリヤドネループ】はメタの動き次第でTier1と入れ替わりうるデッキですが、【火光ビートダウン】の立ち位置の良さも相まって現在のところはこの位置に落ち着いています。無理対面とまでは言いませんが、なんだかんだで不利寄りではある印象。
 環境は良くありませんが、再現性の高さと受けの強さの両立からくるデッキ出力は健在です。

 【零龍速攻】はプレイの難解さ、その先に待ち受けているトリガーお祈りタイムの両面のハードルが使用者を遠ざけている印象です。6月19日付で大会優勝もあるなど、出力自体は一線級。1ターン目に手札全てを投げ捨てて2ターン目にシールドを全て割り切るムーブは決まってしまうとメタを挟む余地がほぼなく、対処が困難です。

 環境上位のデッキ群についてはこのような感じのイメージです。もっと細かく詰められるところはありますが、ひとまずは漠然としたデッキの強みと環境外形の把握ということでこの辺りで。

考察

 これは皆さんの共通認識かとは思いますが、クリエイターズレターにおいて名指しで指摘された超GRゾーン関連のギミックについて、大幅なテコ入れが入ることは間違いないでしょう。
 プレイヤー間の認識だけでなく、「私たちも問題だと思っています」と宣言してしまったため、今回の殿堂施行ではここを中心とした制限の掛け方がなされることが予想されます。逆に、GR関連以外の危険なカードに関してやや甘くなりそうなのが怖いところではありますが……。

 で、これは個人的な予想なのであまり確度は高くないんですが、筆者は「GRに『殿堂入り』という概念は持ち込まないのでは?」 と考えています。要するに、「プレミアム殿堂orNot殿堂入り」という形ですね。0か2か。

 理由として、GRゾーンに1枚制限を適用してしまうと、通常の殿堂入り以上に「引いたもん勝ち」感が否めず、GRにおいて批判されがちな運要素の強さを大幅に引き上げかねない点が挙げられます。そこに依存したデッキは組みづらくとも、規制が叫ばれているGRカード群は単純なパワーカードが多いため、殿堂入りしようともそれを活用したデッキはほぼ確実に登場するでしょうから、このような形でプレイ体験の問題点が改善されないのは良くありません。

 また、そもそもGRの中身を総ざらいして確実に利用するデッキタイプが存在する以上、1枚だけを制限にする意味がさほどない可能性が高いとも考えています。
 単純に施行回数を増やせば12枚のGRは簡単に掘り切れてしまいます。文明こそ縛られますが、《続召の意志 マーチス》を組み込んでのGR圧縮など、対応手段はいくらでも考えられます。GRの性質上、ここのカードが1枚制限になったところで抑止力としては不十分でしょう。

 以上を踏まえると、GRカードに関しては「プレミアム殿堂orメインデッキのカードとのコンビプレ殿」のみでの制限になるのではないかと予想しています。
 ただ、コンビプレ殿もおそらくできれば出したくない類の規制だと思うんですよね。なので、GRゾーンのカードが直接殿堂入り指定を受けるのであれば、それは直接のプレミアム殿堂入りになるのではないかと思います。

 それを踏まえたうえで、ウィザーズがGRという戦術そのものを根絶やしにするとは考えづらいです。

 十王篇以降のメタクリーチャー追加により、通常どおりにGRを活用するぶんには健全な範囲ではないかと個人的には思っています。

 では、通常どおりではないGRの使い方がどのようなものかというと、具体的には先ほども言ったように「GRを総ざらいするカード」、あるいは「GRを総ざらいするようなチェインを発生させうるカード」。これらに関しては、GRの根本的なデザイン意図に反するため、なんらかの規制がかかる可能性が高いと考えています。例外は《煌銀河最終形態 ギラングレイル》。

逆に、カード・デッキタイプとして強くともGRの中身を総ざらいするようなチェインを発生させない・cipで勝利に直結するアドバンテージも取れないカードは比較的安全なのではないかと予想しています。
 具体的には、アタックトリガーへの依存度が高い【バーンメア】関連のパーツ群。これらはスピードアタッカーやマッハファイターによってターンをまたぐことなくアドバンテージを獲得しますが、cip速度でアドバンテージを得ないカードは置換でないメタにもひっかかってしまうため対処が簡単です。

 この辺りのカードが規制される可能性は低いんじゃないかなーというのが筆者の予想。

 続いてGR外のコンボ系デッキに関してですが、先に述べたとおり、GRでないカードをウィザーズがどこまで問題視しているかがいまいち判別しきれないため、評価が難しい側面があります。
 個人的に《生命と大地と轟破の決断》はかからない派。見えている脅威であるため呪文メタが通りやすく、コスト5というのもいろいろな対策に引っかかる範囲です。少なくとも1年は完走できるのではないかと予想しています。

 そのほかのカードで注視すべきだと感じているのは、【カリヤドネ】、【ロマノフワンショット】、【ナウ・オア・ネバー】。この中でほぼ間違いなくなんらかのカードが殿堂入りするだろうと断言できるのは【カリヤドネ】のみです。コンボ再現性の圧倒的な高さに加え、このデッキタイプは《奇天烈シャッフ》形式のメタを容易に貫通することができるため、他と比べてメタへの耐性が頭一つ抜けて高いです。

 ただし、現在の環境トップが軒並み落ちたあと、【ナウ・オア・ネバー】は「スペルコンボとビートダウンのどちらにも有利なデッキ」として猛威を振るうと予想されます。個人的には事前に釘を刺しておくべきではないかと思っています。

 速攻系のデッキについて、問題視するべきは【零龍速攻】のみではないかと感じています。十王篇のトリガーは軒並みカードパワーが高く、コンボデッキが弱体化を受けトリガーをデッキに入れることが肯定される環境になれば、多くの速攻デッキに関しては問題なく対応することが可能だと思います。

 唯一の例外が【零龍速攻】。フィニッシャーの除去耐性が高く、先攻2ターン目に盾を割り切ることもある圧倒的な速度からメタが困難で、なおかつ《零龍》卍誕後も墓地から粘り強くクリーチャーを展開することができます。
 もっとも、このデッキについては問題点が明確であり、「《怨念怪人ギャスカ》が1枚から《手札の儀》を達成する、爆発的な上振れムーブがある」のがそれです。3〜4ターンでの《零龍》卍誕は、こう言っては何ですが現代のデュエル・マスターズにおいてはありふれたアクションであり、同じく2ターン卍誕においても特定のカードが2枚以上要求されるのであればさほど問題はないでしょう。
 《ギャスカ》が古いカードであることも相まって、ここが殿堂入りになる可能性は高いと見ています。

筆者の考える殿堂カード

 以上の考察を踏まえ、筆者の指定する殿堂入りカードたちがこちら。

【プレミアム殿堂入り】

《ヨミジ 丁-二式》、《MEGATOON・ドッカンデイヤー》、《セイレーン・コンチェルト》

【殿堂入り】

《“魔神轟怒”万軍投》、《ブラッディ・クロス》、《怨念怪人ギャスカ》、《グレープ・ダール》、《ヘブンズ・フォース》、《龍素記号Sr スペルサイクリカ》、《音奏 ハイオリーダ》

 同じカテゴリの中では、左に近いカードほど殿堂入りの可能性が高いと予想しています。

 前項の考察通りにいけばおおむね順当なところではないかと思いますが、いくつか特徴的なチョイスがあるのでそこについて少しお話しします。

《グレープ・ダール》

 一番順当に【バーンメア】を弱体化させるのであればここかな、という枠。言うまでもなく、マナから《バーンメア》を出す手段がなくなれば【バーンメア】というデッキは大打撃を受けます。ピンポイントで特定のデッキにダメージを与えるので、ファンデッキが潰されづらいのもかけやすさに拍車をかける点。

 ぶっちゃけると【バーンメア】に問題があるとすれば《ダール》+《マリゴルド》によるマナからの《バーンメア》おかわりコンボであり、それ以外の部分についてはさほど問題があると思っていません。詳しくは後述しますが、筆者は《マリゴルドⅢ》容認派なので、このカードの方が殿堂入りになると予想しています。

《龍素記号Sr スペルサイクリカ》

 【ナウ・オア・ネバー】からの殿堂入り枠です。最大のポイントはこのカードがクリーチャーであること。【ナウ・オア・ネバー】には多くの構築で《ロジック・キューブ》系のサーチが採用されており、呪文パーツは殿堂入りの影響をさほど大きく受けません(ネオンクス型の場合は《ナウ・オア・ネバー》が複数枚必須ですが、フィニッシュを変えれば問題なく回ります)。

 《サイクリカ》+《ナウ・オア・ネバー》が生きていれば、これらによる無限使い回しループを常に考慮しなければならなくなるため、他のカードのデザインをも圧迫します。《サイクリカ》は殿堂入りさせても問題ないのではないでしょうか。

《音奏 ハイオリーダ》

 大量GRを発生させうる枠。シールド関連のデザイン領域を圧迫します。

 殿堂入りの欄に置いているものの、もっぱら使われがちな【ハイオリーダファイスター】ではサーチによって直接埋められるため、デッキタイプが崩壊するほどの影響力はありません。かといって一発プレ殿レベルかというと……うーん……となる悩ましい存在。

 一番右端に置いていることからも分かるとおり、可能性はあまり高くないと考えています。それでも、置きGRは常に危険なので注視しておきたいカードですね。

《マリゴルドⅢ》なし

 個人的にこのカードはプレミアム殿堂に値するほどの大きな問題はないと思っています。

 というのも、このカードの強みはバトルゾーンを直接的にリソースに変換できる《BAKUOOON・ミッツァイル》や繋がれば一発でGRを掘りきりかねない《MEGATOON・ドッカンデイヤー》ありきのものであり、これらが規制されてしまえば「出せば勝ち」のカードになるとは考えづらいためです。

 自分で壊れて再利用可能リソースにならず、ただ連打するだけではマナが減っていつかは止まります。このカード自身が単体でループを発生させないデザインである以上、仮に何らかのコンボに使われるとすれば、問題があるのはこのカードから繋がるカードの側にあるでしょう。

 大量同時GRによって《クリスマⅢ》をめくらなければマナドライブが維持しづらいこともあり、総じてそこまで悪さをするカードではないな、という印象。遠くない未来にその名をリストに連ねることになるとは思いますが、今ではないのではないかと思います。

 ただ、このカードは批判の声が大きいカードではあるので、逝く可能性自体は高いのかなーと思います。

《天啓 CX-20》なし

 めちゃくちゃ悩みました。悩みましたが、このカードも《MEGATOON・ドッカンデイヤー》と《BAKUOOON・ミッツァイル》がなければ許容範囲でないかと判断しました。個人的に《マリゴルドⅢ》よりこっちの方が危険性は高いと考えています。3枚以上の非公開領域に触れるカードは危ないと相場が決まっている。

 結局のところ、得たリソースをマナ効率良く勝利に変換できるカードがなければ、このカードは単体で人を殺さないカードです。上記のカードが無くなったあとなら即時のワンショットコンボに使えるわけでもないので、マナドライブの遅さも相まってギリギリ許されるラインなのではないかと思います。
 あとは、このカードを潰すなら《サザン・エー》もダメだろ、となってしまうのも理由の一つではある。

 でもまあ、危ないカードです。いつ逝ってもおかしくはない。今回の殿堂発表をすり抜けたら、いつお別れになってもいいよう、今のうちに3ドロー連打して幸せな気持ちになっておきましょう。

総括

 というわけで殿堂予想2020夏の陣をお届けました。皆さんの予想とどれぐらい一致していたでしょうか。

 殿堂予想の時期、楽しいですよね。合ってるかはあまり重要ではなくて、その人がどんなカードが嫌いだったり、どんなふうに環境を捉えているのかが予想したカードから見えるのが個人的には大好きです。

 いよいよ7月も目前に近づいてきて、メタゲーム・ウォッチング再開の目処もそろそろ立つかな? と漠然と思ったりしています。新環境始まってすぐにお届けできれば一番いいんですが、その辺りはまだちょっとわかんないですね。

 それでは、殿堂入り発表後の世界でまたお会いしましょう!