こんにちは、神結です。
「がんばれ十王篇」も今回で一応最終回です。
月を象るデスサイズ
というわけで、満を持して《月を象るデスサイズ》に登場していただきましょう。
ブロッカー- W・ブレイカー
- 自分の他のクリーチャーすべてのパワーを+2000する。
オシオキムーン：カードが自分のシールドゾーンを離れた時、このターン、相手のクリーチャーすべてのパワーを－2000する（パワー０以下のクリーチャーは破壊される）
改めてひっでぇテキストだなおい。
収録は「弩闘×十王超ファイナルウォーズ!!!」。
なんとあの《ソーシャル・マニフェストⅡ世》や《樹食の超人》、《【今すぐ】うわっ…相手の攻撃止めすぎ…？【クリック】》そして《「敬虔なる警官」》という数々の環境カードを送り込んだ伝説のパック出身です。
マニフェスト以外のSRの同期メンツが知りたい？ いいじゃんそういうのは。
イラストレーターの担当はakagi（赤木）さんで、こちらは《アビスベル=ジャシン帝》や《アビスベル＝覇＝ロード》を始めとしたウィンくんの切り札たちは他、なんと《ザオヴァナイン・カイザー》というflat-くんの切り札をも担当してくださっています。
ちなみに元ネタは月とデスサイズ、そして見た目を考えてもガンダムWの「ガンダムデスサイズ」かと思われます。
月に見とれた花は ただ散らされるのみ
（訳：その月型の鎌を見た者は、誰も生きては帰れないのです。）
フレーバーテキストもこれなんですが、デスサイズのパイロットであるデュオ・マックスウェルくんの「死ぬぜぇ、俺の姿を見た者はみんな死んじまうぞ」の台詞から来ているのでしょう。
オシオキムーンの扱いにくさ
というわけでそろそろテキストの中身に入っていこうと思うのですが、ブロッカーとW・ブレイカーは置いといて。
メインとなるのは味方クリーチャーの常時パワー＋2000とオシオキムーンで相手全体－2000修正を掛けることが出来ます。
うーーーーーーーーん……。
まぁ味方のパワー上昇については、あって困るものじゃないですからね。
で、なんでしたっけ？ オシオキムーンでパワー-2000修正？
いや、2000て。楯1枚2000て。
いや、一応ね、楯が万全の時にポン置きしておくと、相手が殴る度にパワーが下がっていくので結果的に守れる的なことがあると思うんですよ。実際想定としてはそういう使い方だとは思うんですが。
問題はそんな状況にならないというか……。
いや、だって2000ライン修正が痛いのってやっぱり小型を展開して殴ってくるデッキじゃないですか。
でもそういうデッキってさ、殴るまでが早いんですよ。だからね、こういうシスクリが立つ前にボコボコ殴るんですよ。
となると何が起こるかと言えば、効果使いたい時に何枚楯は残っているの？ って話になりまして……。
じゃあゆったりしたビートダウンならどうか？とも思うんですが、これもこれで微妙というか。
速度を出してないは来ないけど殴るタイプっていうと、これはもうある程度は瞬間的な火力の出るデッキな筈なんですよ。ちゃんとクリーチャー除去を持っていたり。除去りながら攻め込めたり。
少なくとも除去耐性のないシスクリ1枚程度では困らない筈、というデッキが多いと思います……。
そんなわけで、オシオキムーンの一番ダメなところとして、先置きしか許されないというものがあり、このカードはそれを特に解決していません。それなら《冥界を統べる新月のハーデス》くらいのパワーがないと戦っていけないんですよね。
よしんば間に合ったとて、これが刺さる層ってどんなデッキなんだという。
冷静に振り返ってみると十王篇ってキーワード能力を10個作っていて、それ自体はやっぱり凄いとは思うんですよ。でもやっぱり数が多ければいい奴とそうでない奴が浮き彫りになるとは思っていてですね。量が増えた分、どうしても比べてしまうんですよね。
結果として、1つ1つのキーワードに対しての精査はどうなんだろう、と思ったり。
流石にちょっと弱いよね、オシオキムーン。
だってオシオキムーンってそもそも「楯を減らす」という勝ちより負けに向かっている能力なんですよ？
だとしたら、それ相応の能力であって欲しいところですが。少なくとも《月を象るデスサイズ》については、かなり消極的だなぁという印象を持っています。
これ、アタックトリガーとか、もう少しアクティブな能力で発動するものだったら、多分そこまで言われてないですよ。
……みたいな話は過去にキーワード能力解説の「オシオキムーン」の回でざっくり書いたので、良かったらそちらも併せて是非。
全体パワーマイナスは危険な効果
というわけでオシオキムーンの悪いところが出てるなぁという1枚なんですけど、テキスト的にしょぼくなった理由はもう1つあると思っていまして。
それは「パワー全体マイナス、特に常在効果にはかなり慎重な調整をしているのではないか？」という点です。
デュエマはパワー0のクリーチャーは自動的に破壊されるシステムなんですが、そうでなくてもパワーさげてバトルで倒したりと、パワーマイナス効果は単純な確定除去より強いケースも多いです。
そんなこともあってか、パワーマイナス、特に盤面全体をマイナスするカードはかなり慎重にカードを作られていると感じます。
まーそもそもが1対多の交換になりやすいですから、刺さればアドなんですよ。
例えば全体マイナスというとトリガーだと《九番目の旧王》とか、条件満たした《サスペンス・ザイン》とか、ごく限られたカードしかないという。
で、そんなパワーマイナス系の中でも更に更に慎重に作られているのが、常在効果のシステムクリーチャーたちです。
《凄惨なる牙 パラノーマル》が殿堂したのはご存じの通りです。
ただコイツらも本当にカードを作って貰えていないタイプのカードたちなんですよ。
他だと覚醒条件が厳しい《殲滅の覚醒者ディアボロス Z》は別として、未だに《壊滅の悪魔龍 カナシミドミノ》とかになるという。かなり慎重に作っているなぁ……というのを感じます。
じゃあなんでこんなに慎重なんだというと、パワー全体マイナスって複数重なったりすると、相手のデッキ次第では“詰み”盤面になってしまうんですよね。
ですのでゲーム体験的に、あまり作りたくはないのでしょう。《凄惨なる牙 パラノーマル》が殿堂になったのも、そういった側面を意識していそうですし。
振り返って《月を象るデスサイズ》を考えると、まぁ何でそこに挑戦したかはわかりませんが「ギミックにちゃんと悪いところがあるオシオキムーン」と「カードを強く作りにくい全体パワーマイナスのシステムクリーチャー」があわさってこんなことになってしまったのだろうと推測しています。
一応楯回復のカードと併せつつ頑張って枚数を維持出来れば相手にとってそれなりに嫌なのはそうなんでしょうが、専用デッキを組むほど強いでもなく、月光王国系でデッキを纏めるのも難しいという現状。
マイナスのラインが4000だったら「これは強いな」と思えるんですけどねぇ。
いかんせん2000はな……。楯1枚の代償としてはな……。3枚くらい飛ばされた時点で効果実感出来そうだけど、だったらもうちょっと素直に除去させてくれという気持ちになるラインですね。
というわけで、《月を象るデスサイズ》の話でした。
十王篇にありがちな「イラストデザインは好きだけど、それはそれとして使うかは別」みたいな奴の総本山みたいな感じですかね……。
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