こんにちは。あーくんです。
何度かflat-工房の動画に出ていたり、FTGに所属しているため知っている方もいらっしゃると思いますが、この場を借りて改めてご挨拶とさせていただきます。
普段は関東でCSに出ていたりCSを開いたり、記事を書いたりしているプレイヤーで、この度は6月からこちらflat-工房blogにてライターとして活動することになりました。
友人である神結が残してくれた自己紹介欄を胸に頑張っていこうと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
さて、今回自分が担当するのは工房blogの中でも特に人気(だと外からは思っている)企画である歴代最強デッキ選手権。
少し前にSSSランクは終了してしまいましたが、【ファイアー・バード】亡き後もデュエマは続きます。
紹介するのは2025年の後半シーズンを勝ち抜いたド派手なコンボデッキ、【ゼーロループ】です。
今回の殿堂カード
※《闇王ゼーロ》
《闇王ゼーロ》概要
超大型踏み倒し呪文である《闇王ゼーロ》を唱え、大型クリーチャーを出してコンボに向かう【ゼーロループ】、その始まりは2021~2022年頃まで遡ります。
当時は《砕慄接続 グレイトフル・ベン》や《Disカルセ・ドニー》、《魂晶 リゲル-2》といったディスペクターを軸に《闇王ゼーロ》を使い回す構築が主流でした。

正直この頃の【ゼーロループ】は一定の強さはあるものの、速度やデッキの柔軟性と言った部分が欠けており、環境最強というわけではありませんでした。
強力なコンボなのになぜそこまで暴れなかったのか。
まずは今回名前が上がっている《闇王ゼーロ》の効果を改めて確認してみましょう。

■コストを支払うかわりに、自分の手札から闇のカードを3枚捨て、自分の闇のクリーチャーを3体破壊して、この呪文を唱えてもよい。
■自分の山札の上から4枚を墓地に置く。その後、闇のクリーチャーを1体、自分の墓地から出す。
そう、このカード、場と手札を3枚ずつ持っていく必要があり、なおかつそれが全て闇文明である必要がありました。
仮にこのコストを支払える状態だとして、それは大体そのままゲームに勝ってしまいます。
以前紹介されていた【水闇ゼーロ】なんかが良い例ですね。
つまりこのカード、ループさせようとすると《闇王ゼーロ》の出力から再度同じだけのアドバンテージが回収される構造がないとそもそもループすることにはならないのです。
このことに開発も気づいていたのか、《困惑の影トラブル・アルケミスト》のような1枚で一気に手札を増やすカードなどは事前に殿堂入りしていました。
その間にも【闇単ゼーロ】などのデッキは細々と活躍していましたが、どれも環境を揺るがすほどのインパクトはもたらしませんでした。
ですが、2025年9月、『邪神vs時皇 ~ビヨンド・ザ・タイム~』で登場したスチームナイトによるアドバンテージ源により、【ゼーロループ】は最強の称号を手に入れます。
そのカードこそがこの2枚。


■NEO進化:光、水、または闇のクリーチャー1体の上に置いてもよい。
■このクリーチャーが出た時、カードを3枚引いてもよい。そうしたら、自分の手札を2枚捨て、自分の山札の上から1枚をシールド化する。
ブロッカー(このクリーチャーをタップして、相手クリーチャーの攻撃先をこのクリーチャーに変更してもよい)
■このクリーチャーが出た時、カードを2枚引く。
■カードが自分のシールドゾーンに置かれた時、このクリーチャーを自分の墓地から出してもよい。
《DARK MATERIAL COMPLEX》は第二弾の頃からありましたが、相方とも言える《~地獄帰りの騎士~》が来てからが本番でしょう。非常にお手軽な2枚コンボの完成です。
挙動としては至極簡単。
1,まず《~地獄帰りの騎士~》をプレイし、墓地に《DARK MEMORY CONTAINER》を送ります。
2,《~地獄帰りの騎士~》の効果で自分のシールドを増加。今墓地に置いた《DARK MEMORY CONTAINER》がシールド追加に反応してバトルゾーンに。
3,《DARK MEMORY CONTAINER》の効果で2ドロー。
カードを1枚プレイしただけで、バトルゾーンには闇のクリーチャーが2枚。手札も2枚増えています。
そしてこのコンボ、《DARK MEMORY CONTAINER》を引いた数だけ連鎖します。つまり2枚引いたら即《闇王ゼーロ》起動。
手札に《DARK MEMORY CONTAINER》が1枚でも、《~地獄帰りの騎士~》の効果で引いたらそのままコンボ成立。
《闇王ゼーロ》が手札になくてもそれぞれの効果でドローできるので、とりあえずプレイして爆発を待つような展開が期待されました。
そこからは《戦国接続 ギャラクテスト・シデンシーザー》や《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》などのカードに繋げていき、最終的に各種EXWINで締めていくのが常套手段のデッキです。
何より重要だったのは、このコンボパッケージが非常にコンパクトだったことです。
《~地獄帰りの騎士~》《DARK MEMORY CONTAINER》《闇王ゼーロ》という最低限の枠だけでデッキが成立するため、残りのスペースには環境に合わせた受け札やメタカードを大量に投入することができました。
これにより、一口に【闇王ゼーロ】と言っても表しきれないほどの構築幅を持ったデッキが生まれます。それが今回紹介する【ゼーロループ】です。
【ゼーロループ】成立~GP
王道W 第3弾 『邪神vs時皇 ~ビヨンド・ザ・タイム~』発売後、【水単サイバー】一色だった環境ではまず【デアリDDD】が名乗りを上げました。
同時にそれの対策として注目が集まったのが《秩序の意志》です。そして《~地獄帰りの騎士~》と《DARK MEMORY CONTAINER》の相性の良さが注目されたことで【ゼーロループ】が成立しました。
まず最初に注目を集めたのは《天災 デドダム》を採用した【4cゼーロ】。
こちらは4tコンボ成立の速度や5コスト域のパワーカードによるロングゲームのしやすさなどから、殿堂入りするその日まで特に好まれたデッキでした。

そして同時期にkaisora(チーム金兎)選手がnoteで紹介したところから【ドロマーゼーロ】の認知も広がり始めます。

【最強結論デッキseries】最速3kill!ドロマーゼーロが攻守両対応の神デッキになった件。【デュエマ】
(↑こちらの動画でも紹介されています)
どちらのデッキにも言えますが、その最大の特徴はデッキ内の色配分。
先程述べた通り極論、《~地獄帰りの騎士~》と《DARK MEMORY CONTAINER》と《闇王ゼーロ》だけでデッキが成立してしまっているので、今までの【闇王ゼーロ】とは違い、他の文明のカードを無理なく採用することができています。
そのおかげで、当時環境トップであった【デアリDDD】と【水単サイバー】に対して、有効なメタカードを採用することが可能となっていたのです。
この特性はプレイヤーからしたら非常に堀り甲斐があるもので、9月後半からは様々な構築が提案されます。

対ビートダウンで想定される防御札は《秩序の意志》に《R・R・R》、《裏斬隠 テンサイ・ハート》に始まり、《オリオティス・ジャッジ》なんかも。
コンボに対するメタカードには《異端流し オニカマス》や《Dの天災 海底研究所》、果ては《真気楼と誠偽感の決断》なども採用されていました。
拡張性の高さはそのままデッキの強度に繋がります。この特性により、【ゼーロループ】は瞬く間に広まりました。
また、環境で戦っていくにあたって【ゼーロループ】は非常に運も良かったといえます。
というのもこのデッキ、同期には【水単サイバー】が存在しました。
どちらも最速3tの4tループデッキですが、【水単サイバー】が先に環境にいた事。また、【ゼーロループ】と違い、【水単サイバー】は殴るプランも取れたことから、環境全体のヘイトは【水単サイバー】に向いていました。
ですから当時採用されていたメタカードは《Dの天災 海底研究所》や《ボン・キゴマイム》といった攻撃を止めるようなカードが多かったわけです。
これに対して【ゼーロループ】はcipだけで完結するため、それらのメタカード全て無視することができました。
《DG-パルテノン ~龍の創り出される地~》のような行動抑制は効いてしまいますが、そういったカードは《愛銀河マーキュリー・スターフォージ》が駆逐していたこともこのデッキにとっては追い風でしょう。この2デッキは共生関係にあったと言えます。
コンボの成功率の都合、【ゼーロループ】自体は【水単サイバー】を少し苦手としていたものの、それ以外のデッキに対して強く出れるという立ち位置は、このデッキを環境トップへと連れて行きました。
その結果、発売後開催されたDMGP2025-2ndオリジナルでは【4cゼーロ】と【ドロマーゼーロ】が合わせて384中99人もの決勝トーナメント進出を果たしました。その割合は25.7%。
【水単サイバー】と合わせ勝ち組だった【ゼーロループ】は圧倒的に強く、同GPでの優勝チームにも持ち込まれています。

他のデッキであれば単一のアーキタイプの活躍と受け止められますが、リストの自由度の高さ故に各プレイヤーの環境認識がそのまま反映されたという結果は、これまでのループデッキにはあまり見られなかった特徴と言えるでしょう。
GP終わり~殿堂まで
GPが終わっても研究は進みます。
小型ハンデスによるテンポの獲得が《闇王ゼーロ》と相性が良いと判明した後、特に研究されたのが【ハンデスゼーロ】。
ハンデスだけではなく、《正義の逆転撃》による相手ターン中にブロッカーを多面展開する初見狩り要素を持っています。また、逆転撃でマナが寝ていても返しに《闇王ゼーロ》が唱えられることも相性が良いですね。
また、同時期には《Disカルセ・ドニー》と《~世紀末の善悪~》を採用したミッドレンジ調の構築の登場など、純粋にデッキパワーを高める工夫も散見されました。


この構築の不透明さもまた【ゼーロループ】の強さだったと言えるでしょう。
もちろん、どんな構築でも3tアヴァツボツボは健在。揃ったときの理不尽さから、その嘆きをCS会場で聞かない日はありません。
この頃になると、もはや【ゼーロループ】は単一のデッキではありませんでした。
【ドロマー】、【4c】、【ハンデス】といった派生がそれぞれ結果を残し始め、環境やプレイヤーごとに全く違うリストが持ち込まれるようになります。
それでいて最終的には《闇王ゼーロ》に辿り着くという構造は変わらず、どこまでいっても回避できないループキルがあるのが魅力的でしたね。
その後2025年12月20日に王道W第4弾『終淵 ~LOVE&ABYSS~』が発売し、環境が【水単サイバー】と【ゼーロループ】から《大集合!アカネ&アサギ&コハク》を中心としたトリーヴァ環境になっても、対【4c der’Bande】をはじめとした高速デッキに対して強く出れることから、環境の一角に居座り続けました。
この頃特に使われたのが、《ティンパニ=シンバリー》を採用した【ハンデスゼーロ】でしょう。
最序盤の軽量ハンデスから、4t《ティンパニ=シンバリー》。そこから出てくる《~地獄帰りの騎士~》と《DARK MEMORY CONTAINER》。これでそのまま《闇王ゼーロ》。 1枚から2枚を作れるヨビニオンをこれでもかとばかりに活かした構築になっています。
しかし同時期に環境トップに躍り出た【ゴルギーオージャー】には速度や《一音の妖精》が重いことから一強レベルになることはありませんでした。
ですが最後まで環境上位を退くことはなく、《闇王ゼーロ》は2026年3月に殿堂入り。理不尽な押しつけと対応力を誇った最強コンボデッキはその活躍を終えました。
強さの理由
3キルがある
この企画では何度も言われている最強デッキの必須要件です。
特にこのデッキは、そのフィニッシュ手段がループであるため確殺性が非常に高いこと。
キルまで届かなくても圧倒的なリソースを構えて二の矢を放てること。
そしてこのコンボを警戒すると、ハンデスや除去といった妨害によってゲームの主導権を握りやすくなったのも、このデッキの強みでしょう。
環境によって構築を変えられる
普通のコンボデッキは完成形が存在します。しかし【ゼーロループ】には完成形がありませんでした。
なぜなら《闇王ゼーロ》へ繋がるギミックだけでデッキが成立するため、残りの枠を全て環境に合わせて変更できたからです。
その結果、【ドロマー】、【4c】、【ハンデス】といった様々な派生が誕生し、環境が変化しても常に形を変えながら生き残り続けました。
相手がビートダウンなら受けを強くし、相手がコントロールやコンボなら速度を上げる。局所的なメタカードの採用も可能。この構築の柔軟性こそが【ゼーロループ】が環境に残り続けた最大の要因です。
Aランクの理由
ここまで紹介してきた【ゼーロループ】ですが、今回はAランクとさせていただきました。
その理由が要求値の高さです。
受けもできるループデッキと、それこそ【マーシャルループ】などが記憶に新しいポジションのデッキですが、そもそも《~地獄帰りの騎士~》が3色を要求してくる他、《DARK MATERIAL COMPLEX》1枚だけではコンボに入らないことから、3キルはあくまでも上振れという見方が一般的でした。
また、相手のターン中にループに入ることができなかったり、呪文メタが致命的になるなど、所謂ラインを超えた強さはなかったように思います。
その他、【水単サイバー】と守り守られることで環境内での立ち位置を向上させていたことや、【ゴルギーオージャー】の台頭後は勢いが押されがちと、圧倒的なTier1ではなく、鎬を削りあう強力なデッキという分類になります。
高い柔軟性と対応力で環境に適応し続けた名コンボデッキとして今回はAランクとして選出しました。
終わりに
ロマンカードに相性の良い足回りがどんどん追加され、ついぞその出力閾値を超えてしまう。
《闇王ゼーロ》はTCGにおけるカードの歴史を綺麗になぞり、その生涯を終えました。
もっとも、このデッキを本当に強くしたのはカード単体の性能だけではありません。
【ドロマーゼーロ】、【4cゼーロ】、【ハンデスゼーロ】。
プレイヤーたちは環境に合わせて構築を変え続け、毎週のように新しい【ゼーロループ】を生み出しました。
だからこそ【ゼーロループ】は単なるコンボデッキではなく、2025年後半から2026年初頭にかけてのメタゲームそのものを象徴するデッキだったと言えるでしょう。
今後《闇王ゼーロ》が再び環境に戻ってくることはないと思われます。
ですが、その柔軟性と研究の歴史は、きっとこれからも語り継がれていくはずです。そんなプレイヤー達の知恵と努力の結晶とも言えるのが【ゼーロループ】です。
それでは今回の記事はここまで。次回の記事もお楽しみに。
以上、あーくんでした。

ブロッカー(このクリーチャーをタップして、相手クリーチャーの攻撃先をこのクリーチャーに変更してもよい)