yk800の週刊! メタゲーム・ウォッチング Vol.19【20.1.22】

 どうも、レッドことyk800です。みなさん、「デュエマ検定」は受験しましたか?

デュエマ検定|キッズステーション

 背景ストーリーやカード名、ルールや裁定に至るまでデュエル・マスターズにまつわる多種多様な問題が出題される公式企画。30問とやや長く、やや古い知識もたくさん要求されるため難易度は相当高いですが、おそらく80点以上? を獲得できれば今週末発売の「謎のブラック・ボックス・パック」がもらえる抽選に応募できるようになりますので、お暇な時にやってみてはいかがでしょうか。ルールについての問題とかは知っておいて損はないですしね。

 ちなみに幼稚園児の頃の夢はデュエルマスター、骨の髄からデュエマキッズな筆者は初見・カンニングなしで93点でした。多分かなり頑張った方。

 というわけで新プール追加間近の1月第4週、一応のところは環境最終盤。20年1月環境の結論を振り返っていきましょう。メタゲーム・ウォッチング、スタートです!



先週の結果総まとめ

 まずは先週(20.1.18〜20.1.19)行われたCSの結果を見ていきましょう。
(※元となった大会結果は田園補完計画さんからお借りしています。また、情報の抜け・漏れがある可能性がございますことをご了承ください)

 墓地メタ増加の隙を付き、アグロ躍進。

 今週はトップ5(同率5位含め6デッキ)の中に【火光ビートダウン】、【火単“B-我”ライザ】、【火単速攻】と3種のビートダウンデッキが肩を並べることになりました。

 先週の段階では【墓地ソース】の《暴走龍 5000GT》対策としてトリガーによる受けが積まれていましたが、翌日の【カリヤドネ】台頭を見て多くの【火水自然闇ドッカンデイヤー】や【火水自然バーンメアジョーカーズ】が墓地メタを増量。割りを食うようにトリガーの枠が減量され、基本3ターン、遅くとも4ターン以内に決着を見るアグロデッキの通りが良かったのが先週末でした。

 そして、時を同じくして目立ってきたのは《生命と大地と轟破の決断》コンボ系デッキの増加。ビートダウンの【火自然ネイチャーヴァイカー】、ロックをかけて倒し切る【ハイオリーダファイブスター】、一撃必殺の【ネイチャーネロティウス】など、いくつかのバリエーションはありますがそのどれもが安定4ターンkillを標榜しているのが最大の特徴。

 【火水自然闇ドッカンデイヤー】、【墓地ソース】、そして台頭しはじめたアグロデッキ。そのどれに対しても呪文メタは有効ではなく、現在の環境において《奇天烈 シャッフ》のメタ性能は以前よりも低下しています。これまで当たり前のようにシャッフを3枚、4枚と採用されていたデッキからも減らされる傾向に。
 《生命と大地と轟破の決断》の天敵である彼の絶対数減少はこれらのデッキにとってまさに渡りに船。先週末の環境においてこれらのデッキが勢力を伸ばす一因となったのではないかと筆者は分析しています。

 ただし、《ネイチャー》系デッキは同じく上がり調子なアグロデッキに対して軒並み不利がついてしまいます。【ドッカンデイヤー】がアグロ意識でトリガーを増やし、アグロのポジションが悪くなったとしたら、その時こそが真価を発揮するタイミングになるかもしれませんね。

 新興勢力の胎動は確かに感じるものの、なんだかんだと圧倒的1位は譲らないのが環境王者である【火水自然闇ドッカンデイヤー】。単に王様として玉座にふんぞり返っているだけではなく、様々なメタカードを味方に付け、着実に環境に対応しながら勢力を維持し続けているのが特徴的です。

 ここ数週間のメタゲームを観測していると、最近の環境では筆者の予想以上に「新興勢力に対する露骨なメタを施した構築」が勝ち上がりやすいように感じています。先週は特にわかりやすかったために様々なデッキに墓地メタが積まれていましたが、そこをいくと今週はアグロ、《生命と大地と轟破の決断》と軸の違う2つのデッキが頭角を表しつつあります。プレイヤーたちがどちらをメタりにいくのか、要注目ですね。

今週のトピックス

【ハイオリーダファイブスター】

 数々の新デッキを生み出している《生命と大地と轟破の決断》系コンボから、今週は【ハイオリーダファイブスター】をピックアップ。某所においてその強力さが話題を呼び、実戦で使用され各地に波及した形となりました。

 そもそもループを発生させて勝ちを狙う構築のイメージが強かった《音奏 ハイオリーダ》+《幸運の精霊ファイブスター》のコンボでしたが、ループインのためにはマナドライブ7を達成させる必要性があり、必然的に《逆転のオーロラ》の力を頼らざるをえませんでした。
 その一方でコンボのメインパーツである《ハイオリーダ》が多色であるため、どうしてもタップインリスクは付き纏います。《オーロラ》は撃ったら即座に勝たなければいけないカードなので、決して相性がいいとは言えません。

 そこで開発されたのが「2→4→6と繋ぎ、怒涛の横展開によって軽減された《神楯と天門と正義の決断》で《ダイヤモンド・エイヴン》を投げつけ、《煌銀河 サヴァクティス》を《時の法皇 ミラダンテ》に革命チェンジさせて倒し切る」封殺ビートダウン狙いの構築です。

 カギを握るのは《バルバルバルチュー》。ギミックの中心となる《ハイオリーダ》+《ファイブスター》のコンボは、GRを連鎖させるためにW・シールド・プラスによって大量のカードを1枚のシールドにまとめることができます。桁外れに分厚くなったシールドを、最後に《バルチュー》が回収することによって圧倒的なリソースから勝ち手段を押し付けるのが今回の構築のキモ。手札の枚数が20枚を超えるのは平常運転であり、これだけリソース補充ができればコンボパーツが揃わない可能性のほうが低いですね。

 他にもいくつかネイチャーコンボは存在しますが、このデッキの最大の強みは、《逆転のオーロラ》や革命・マナドライブと言った外部ギミックを必要とせず、《ハイオリーダ》、《ファイブスター》、各種GRの3者のみでメインギミックが完結しているため、コンボ達成の要求値が低く、変なリスクを負う必要がない点です。

 まず《逆転のオーロラ》を排することにより、《シャッフ》をはじめとした呪文メタを乗り越えやすくなりました。出したいカードがどちらもシステムクリーチャーであるため、手に揃ってしまえば適当に5マナを2回払って出すだけで勝ちを見込めます。除去されると総崩れになるためリスクのあるプレイではありますが、相手に対処を強要するプレイングであり、場面次第では有効に働くでしょう。

 革命・マナドライブといった要求値を上げるギミックもないため、どんな体勢であっても「とりあえず揃えば勝ち」を作れます。マナからの展開で全てを賄えてしまうため「コンボ直前にハンデスでキーパーツ抜かれて頓死」も「アグロデッキに盾割り切られて《オーロラ》でマナドライブ作れず詰み」もこのデッキには縁のないシチュエーションです。

 もう1点、コンボパーツがメインデッキ12枚とGR、あとはデッキに4〜6枚程度の勝ち筋のみで完結しているため、このデッキにはメタカードを積む枠の余裕すら存在します。現在主流な構築で採用されるのはシールド・トリガーが多数派ですが、環境次第では《ファイナル・ストップ》のようなカードを搭載することも十分に可能です。

 では安定感が高いのかというと、それは一概には言い切れません。コンボスタート時のGR召喚は《ハイオリーダ》の盾追加1枚が引き起こす1回分のみなので、ここで《バルバルバルチュー》を引いてしまうと極めて悲惨。即負けとまでは行きませんが、その後コンボを決めたとしても盾を回収する手段がないため、せっかくの膨れたリソースを活かしきれない展開になりがちです。

 1/12。1積みの《バルチュー》をめくってしまうこの確率を、どの程度重く見るか。
 単純に数字に直せばおよそ92%。決して低くはない、むしろ非常に高い数値ですが、これを一般的な64人CS(予選5回戦+本戦4回戦)で使用することを想定すると、1日中トップ《バルチュー》が発生しない確率は、0.92の9乗で約0.47。おおよそ53%の確率で、9回戦中1回はコンボが失敗するということです

 このあたりの数字は個々人ごとにかなり捉え方が違いそうで、面白いですね。

 先週末の入賞リストは多くが《神楯と天門と正義の決断》+《ダイヤモンド・エイヴン》型でしたが、現在は《鬼の轟き 参角》を《エメスレム・ルミナリエ》で繰り出し、《聖霊王 アルファディオス》や《水上第九院 シャコガイル》などの勝ち筋を投下して勝利する構築の研究が盛んに行われています。

 《神楯と天門と正義の決断》プレイのための光マナを確保しておく必要がないため、5マナ段階での勝利を見込めるのが最大の強み。2コスブーストから4で妨害・除去を挟んで5で勝利。2ターン目にブーストが撃てなくても3でブーストを撃って5で勝利など、6マナなければ勝てなかった従来の構築とは一線を画す安定度でコンボを成立させることができます。

 筆者としては明確にこちらの構築の方が利点が大きく、今後はこちらの方が主流になっていくであろうと予想しています。

HOT TECH

環境を動かすはメタカード!? 現代デュエマのメタカード事情総復習

 さて、結果総まとめのコーナーでは、「現在の環境は先週の勝ち組に露骨なメタを張ったデッキが勝ちやすい傾向にある」と述べました。あくまで筆者の感想の範疇ではありますが、1月1日の新殿堂施行以降その傾向は強まっているように感じます。それと同時に、「先週の勝ち組に対しての露骨なメタが通らないデッキ」を選ぶことの重要性も週を追うごとに増しています。

 そんな現在の環境を見るにあたり大事なのは、「どんなデッキに対してどんなメタカードが有効なのか?」という相性関係の把握
 というわけで今回のHOT TECHでは、特定のカードを取り上げるのではなく、環境内のメタカードを総復習していきたいと思います。早速行ってみましょう!

・呪文メタ

 現在の環境における代表格は《奇天烈 シャッフ》。柔軟性が高く、登場時のみならず攻撃時にもロックをかけることができるため、特定の呪文1枚に依存しがちなコンボデッキをたった1枚で完封しうる点が評価されています。《生命と大地と轟破の決断》系のデッキや【ナウ・オア・ネバーループ】に対して滅法強く、1月初頭はこのカードの台頭によりこれらのデッキは活躍の場が狭められていました。

 《ファイナル・ストップ》も有力な選択肢でしたが、《Wave ウェイブ》による使い回しが後述の墓地メタ増加によりあまり機能しなくなり、単体で永続ロックを掛けられない点が見劣りしてか採用例はやや少なめに止まっています。

 現在の環境トップをひた走る【火水自然闇ドッカンデイヤー】に対してあまり効果がなく、【墓地ソース】や【零龍速攻】・【火単速攻】をはじめとしたアグロに対しても無力なので先週末の時点ではやや下火気味。《生命と大地と轟破の決断》コンボがさらなる躍進を遂げればまた出番は巡ってくるでしょう。

・墓地メタ

 環境内の代表格は《お清めシャラップ》、《ポクタマたま》・《トムライ 丙-三式》。前者は2→4→6のマナカーブに重きを置くデッキにおいて中継ぎ兼事故時の初動を兼ねたブースト札として、後者は「GR召喚するカードを使用するものの、デッキ全体としてGRにギミックを依存していない」デッキがめくれればラッキーの入れ得カードとして採用されています。

 主な役割対象は【墓地ソース】や【カリヤドネ】、【零龍速攻】など。《ヨミジ 丁-二式》のリアニメイトから展開を作ることもある【ドッカンデイヤー】に対しても、引きの噛み合い方次第では有効に働くタイミングがあります。

 ただし、墓地メタは他のメタカードと比べ刺さる対面・刺さらない対面の温度差が激しく、有効な相手には劇的な効果を得られるものの、何もないデッキに対しては本当に何もしないことが多いです。特に、メインデッキからの墓地メタの採用は、なんらかの方法でデッキのメインムーブに絡むことができるカードでなければやや難しい印象です。先週末は役割対象が多かったために採用例も多数確認できましたが、今週以降はまた少しづつ減少する可能性が高いと予想しています。

・シールド・トリガー(アグロメタ)

 幅広いため代表格といえるカードは挙げられません。

 当然の話ではありますが、他の戦術へのメタにカードを割けば割くほど、デッキに搭載できるトリガーの数は減りアグロとのマッチアップは苦しくなります。
 デュエル・マスターズというゲームの勝ち方は、概ね殴るかコンボするかの二つに一つなので、【カリヤドネ】や【ナウ・オア・ネバーループ】、ことによっては【ドッカンデイヤー】なども含め、「コンセプトの段階で一定以上のシールド・トリガーを確保できるコンボデッキ」というのはメタ外デッキへの耐性が高く、基本的に強力です。

 露骨にメタを貼らなければやっていられないアンフェアデッキが増えた際には、トリガーの採用数は減少する傾向にあり、先週末はまさに減量の巡りが来たタイミングであったため、ビートダウンを遂行するデッキが一定の成果を得ました。

・ハンデス

 ランダム(セルフ)ハンデス・ピーピングハンデス、軽量・中量・重量でそれぞれ取り回しは異なりますが、その用途はどれも同じく「相手のリズムを崩す」ことにあります。

 デュエル・マスターズは手札の流れを読みながらマナセット・カードのプレイを行うゲームであり、相手のプランニングを妨害できるハンデスはランダムであっても有用です。

 完全に刺さらないデッキはほぼ存在しないためメタカードに分類すべきかは微妙なところですが、今回は広く「妨害」という意味合いでピックアップしました。特に対コンボデッキにおいては、インパクトターンの直前にハンデスでキーパーツを落とすことで「上から特定のパーツを引かなければいけない」状況を作ることができ、かなりの時間を稼ぐことが出来ます。現代デュエル・マスターズはいわば「大コンボ時代」ですので、ピーピングハンデスの重要性はかなり高い方

 一方で、GR召喚がトップから全てを解決してしまい、コンボデッキも《生命と大地と轟破の決断》によるマナからの展開や墓地回収からコスト1になったフィニッシャーの叩きつけもザラな現環境において、古式ゆかしい【水闇光ハンデス】のように相手のハンドを全て叩き落として完全に状況を制圧するハンデスコントロールの立場は未だかつてないほどに悪化しています
 現環境のハンデスは、「コンボデッキが、コンボ成立直前のターンに、確実に返ってくる1ターンをもらうためのカード」というような趣で使用されることが多いことには留意しておきましょう。

 現在の環境における代表的なカードは《解罪 ジェ霊ニー》、《蒼神龍ヴェール・バビロニア》、《零星アステル》あたりでしょうか。《アステル》はピーピングハンデスではありませんが、1:1交換が基本となるハンデスながら1:2交換が出来、コストパフォーマンスに優れる点。そしてGR召喚を行える点が評価されいくつかのデッキにおいて採用に至っています。

 先週なにかと話題になった《生命と大地と轟破の決断》はマナからの展開で完結しているため多くの場合でハンデスに強く、それもかのデッキが活躍の機会を増やす要因になっていると考えられます。

・召喚そのものへのメタ

 絶対数は極小ですがGR召喚全盛のこの時代に劇的に刺さるカード群。現在の環境では《暴走龍 5000GT》、《「本日のラッキーナンバー!」》、《無双の縛り 達閃》、《ジェイ-SHOCKER》の使用例が多く見られます。

 いずれも強力である反面、「専用構築がほぼ必須・殿堂入りにより1枚しか使えない・高速着地が困難・コスト4のジョーカーズを確保したうえで攻撃の必要アリ」とそれぞれにデメリットを抱えており、単なるメタカードというよりは「このカードが環境的に刺さるので使う!」という強いモチベーションを元に、そのためのデッキを組み上げる必要があるのが特徴です。

 筆者個人の感覚としては、ロック性能のみを考慮するのであれば《達閃》は頭ひとつ抜けており、早期着地・維持さえできればほとんどの対面を封殺してしまえるパワーを持っているように思います。現状は強く使えるデッキがあまりなく、スペックを発揮しきれていない印象。今後の新カード展開に期待がかかります。

 駆け足ですが現環境を取り巻くメタカードの事情についておさらいしました。CSの入賞リストを見る際は、デッキのメインギミック部分ももちろん大事ですが、これらメタカードの配分・カードチョイスにも気を配ってみてはいかがでしょうか。強豪プレイヤーたちのメタ読みを垣間見る貴重なチャンスですからね。

今週のメタゲーム予想

 環境的な追い風に乗り入賞数を伸ばしたアグロデッキと、母数こそ少ないものの強豪プレイヤーがこぞって研究を続ける《生命と大地と轟破の決断》コンボ。どちらも墓地メタ過多なメタゲームの隙間を縫って結果を伸ばしたデッキ群ですが、困ったことに対策のベクトルは全くの真逆。多くのプレイヤーはここで取捨選択を迫られます。

 どちらに対しても相性が悪くないデッキで言えば、【ナウ・オア・ネバー】か【火水自然バーンメアジョーカーズ】あたりが挙げられるでしょうか。どちらもトリガーからのカウンター能力に優れており、《ファイナル・ストップ》や《奇天烈 シャッフ》といった呪文メタの存在によって《生命と大地と轟破の決断》系デッキに対しても互角以上に立ち回ることが出来ます。

 よりアグロを意識するなら無限シールドによる完全封殺コンボを持つ【ナウ・オア・ネバー】の方が優れていますが、このデッキはコンボ成立速度やハンデス耐性の低さから、環境最上位である【火水自然闇ドッカンデイヤー】に対し不利であるという大きなハンデを背負っています。

 筆者が今週末大会に出るのであれば、これらのデッキ全てに一定の勝率を見込める【火水自然バーンメアジョーカーズ】を使いたいところですね。

 今週のメタゲーム・ウォッチングはここまでとなります。それではみなさま、良い週末を!