【カードコラム】《終末の監視者ジ・ウォッチ》氏、覚醒する

　時は遡って超天篇。2019年7月。

　後に世を……多少揺るがしたりあまり揺るがさなかったりするカードが解き放たれます。

　その名は《爆銀王剣バトガイ刃斗》……ではなく、《終末の監視者ジ・ウォッチ》。

　とりあえず、今回の主役です。

T・ブレイカー

このクリーチャーが召喚によってバトルゾーンに出た時または攻撃する時、クリーチャーを２体まで選び、持ち主の手札に戻す。

相手のクリーチャーがバトルゾーンに出た時、または相手が呪文を唱えた時、ターンの残りをとばしてもよい。

発売後のジ・ウォッチ
覚醒ジ・ウォッチ
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発売後のジ・ウォッチ

　《終末の監視者ジ・ウォッチ》の登場は「絶対王者!! デュエキングパック」。2019年7月発売で、《天災デドダム》が世に登場するちょっと前。過去の強カードをリメイクする特殊弾で、《終末の監視者ジ・ウォッチ》はもちろん《終末の時計ザ・クロック》のリメイクカードです。だいぶ、カードとして変わっていますけど。

　その他《奇跡の精霊ネオ・ミルザム》とか《S級原始サンマックス》とか、《爆銀王剣バトガイ刃斗》とかの同期は、どっちかというとかなり元のカードに近しい性能なんですけどね。

　とはいえ、クロックが持っていたスキップ能力は健在。

　改めて、《終末の監視者ジ・ウォッチ》のテキストを読み上げておきましょう。

　召喚時、或いは攻撃時に2バウンス出来て、相手がクリーチャーを出したり呪文を唱えたときにターンを飛ばします。Tブレイカーです。←ここまでテキスト読み上げ

　つまりカードデザイン的には召喚して相手の面を捌き、以降は自身のターンスキップとバウンス効果を使って相手をハーフロック状態にし続けることが出来るわけです。イメージとしては、ロックが緩い代わりに広くなった《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》みたいな感じでしょうか。

　さて、同僚の《S級原始サンマックス》なんかは登場後にすぐ結果を残した一方で、ジウォッチさんはと言えば……

　箸にも棒にも掛かりませんでした。酷評の嵐。

ちなみにうちのブログ（ボクが管理人をする前の頃）に、こんな記事がありました。

終末の監視者ジ・ウォッチが弱い!

　いや、そりゃそうなんだよな。

　時は超天篇。《禁断機関 VV-8》、《BAKUOOON・ミッツァイル》、《魔導管理室カリヤドネ》、《生命と大地と轟破の決断》が蔓延る世界において、10コストのカードが生きていられる理由もなく……。

　ちなみに超高速ループ環境じゃなかったとしても別に評価は変わって無いんですよね。

　当時10コストのカードがプレイするには馬鹿正直に10マナ溜めるか、《ホーガン・ブラスター》みたいなカードで踏み倒すしかありませんでした。

　《終末王秘伝オリジナルフィナーレ》や《【マニフェスト】チームウェイブを救いたい【聞け】》といったカードがない時代に10マナを溜めるのは、まー現実的とは言えず。というか、7マナ以上はジョラゴンの領域なのでそこで戦うって現実的じゃないんですよね。

　で、踏み倒す方なんですが、さっき読み上げたテキストを思い出して欲しいんですけど……召喚しないとダメなんですよ。ホーガンとかで出してもダメなんですよ。

　仮にターンスキップ効果だけを使うにしても、それだけなら1コスト上に《完全不明》というのがいるんですよね。

　まぁ、踏み倒すなら元のコストが10か11って関係なくて、だったら「マナ置き」だけでもスキップできる《完全不明》の方を使う事になるよね、という。

　そんなわけで《終末の監視者ジ・ウォッチ》は「何をさせたいかよくわからないカード」の烙印を押され、人々から忘れ去られ、これまでの過去に存在した数々のカードと同じようにストレージの肥やしとなって消えていく……。

　……と、なるかと思ったんですけどね。

覚醒ジ・ウォッチ

2年後の2021年、10コストクリーチャー界隈に突如激震が走ります。

相手のターンの終わりに、相手がそのターン中、マナゾーンのカードをタップせずに、クリーチャーを出すか呪文を唱えていて、バトルゾーンに自分の《流星のガイアッシュ・カイザー》がなければ、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。

W・ブレイカー

このクリーチャーが出た時、カードを２枚引く。

自分のコスト10以上のクリーチャーの召喚コストを４少なくする。ただし、コストは０以下にはならない。

相手のクリーチャーは出たターン、自分を攻撃できない。

《流星のガイアッシュ・カイザー》、参戦――

　このカードはデュエマにちょっとした革命をもたらしたかもしれません。

　コスト10以上のカードを4軽減するとかいう効果が直接的な恩恵をもたらしたのはもちろん、「2ドロー」「出たターンの攻撃不能」は当然ゲームを伸ばすことに長けていて、しかもそれが相手ターンの終わりに出てくるという結構ヤっているカードです。2023年でも、バリバリの現役。

　この弾は《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》や《音卿の精霊龍ラフルル・ラブ》も収録されていて、かなりレベルの高いものになりました。

　ガイアッシュの凄いところは単体としても強いところにあるんですが、書いてあるテキストは全て使いたいもの。

　そんなわけで突如高コストフィニッシャーの価値が見直されます。中でも《勝利龍装クラッシュ“覇道”》との組み合わせは注目され、【ガイアッシュ覇道】は人気デッキに。この時期はJOなどの活躍が目立ったものの、そこに対して《流星のガイアッシュ・カイザー》はある程度のカウンターとなり得る

　そしてここまで教室の隅っこで1人でお弁当を食べていた《終末の監視者ジ・ウォッチ》はどうかというと……。

　遂に花開きました。

　ええ、イキリ始めました。