yk800の週刊! メタゲーム・ウォッチング Vol.21【20.2.5】

 どうも、レッドことyk800です。早いものでメタゲーム・ウォッチングの連載移籍から1ヶ月が経ちました。そろそろ定番記事の仲間入りを果たせたかな? と思ったりする今日この頃。
 デュエマ的には(プレイスの新弾リリースがあるからか)新カードの情報はしばらく入ってきておらず、久しぶりにのんびりとした期間となっています。まあ日本一決定戦直前にプール追加するんか? という話もありますしね……。

 そんなこんなでちょっと休息の2月第1週。メタゲーム・ウォッチング、スタートです!



先週の結果総まとめ

 まずは先週(20.1.28〜20.2.2)行われたCSの結果を見ていきましょう。
 (※元となった大会結果は田園補完計画さんからお借りしています。また、情報の抜け・漏れがある可能性がございますことをご了承ください)

 バーンメア前線、停滞せり。

 先週のトップ5から内容はほぼ動かず。首位の【火水自然バーンメアジョーカーズ】が占有率を大きく伸ばし、メタゲームは停滞期へと突入しました。他の上位デッキ陣のシェアもほとんどが横ばい、ないしはむしろ向上したデッキばかりで、これは混沌に近かった先週の環境とはうってかわり、「強いデッキのみが結果を残し、中堅層は脱落する傾向にあった」という見方ができそうです。

 実際、入賞アーキタイプの種類数は先週28種に対し今週は18種。母数の差を加味しても大幅に減少したと言って良い数値でしょう。

 「謎のブラック・ボックス・パック」が環境に与えた影響はさほど大きいものではなく、1月1日から続く新殿堂環境はほとんど円熟の領域に達しています。当面はなさそうなんですが、そろそろプール追加が欲しい、というのが本音ですね……。

 そんな中、燦然と輝く新興デッキが【ガンバトラージョーカーズ】。後ほど詳しくピックアップしますが、水と自然の2色を中心に構築される、4ターン前後のキルを強く意識した高速ビートダウンデッキです。
 有料ノートの公開に伴い母数を伸ばしたこのデッキ。ジョーカーズ特有の各種メタカードが環境に強く突き刺さっており、自身が環境で使われやすいメタカードによって受ける被害があまり大きくありません。これらの要因によって上位陣に対して強く出やすい傾向にあったためか、先週末をもって遂にメタゲーム・ウォッチング観測史上初のトップ5入りを果たしました。

 固定化したメタゲームに吹く一陣の風、【ガンバトラージョーカーズ】。その影響のほどは果たして。

今週のトピックス

【ガンバトラージョーカーズ】

 アーキタイプ名にこそ《ガンバトラーG7》を冠し、実際フィニッシュ打点として強烈な役割を持っていますが、実のところこのデッキの核は「Jチェンジ4」、そして《ジョリー・ザ・ジョルネード》。

 《ジョジョジョ・ジョーカーズ》などから2種8枚のJチェンジ持ち:《タイク・タイソンズ》と《ボーボボ・ボーボ坊》を2ターン目にプレイし、3ターン目、手撃ちの3コストGR召喚クリーチャー+Jチェンジ4からGR召喚持ちクリーチャーと繋げて怒涛の4面展開。盤面にプレッシャーをかけつつ、相手ターン終了時の《ジョリー・ザ・ジョルネード》によってこれらを打点に変換し、返すターンの一斉突撃で一気に勝負を決めるのがこのデッキの基本プランです。
 《ガンバトラー》の役割は主に2コス2打点+α、といったところ。

 この戦術を脇から支えるのがジョーカーズの誇る優秀なメタクリーチャーです。といっても、今の環境でメインとして機能しているのはもっぱら《洗脳センノー》ただ1体のみ。

 後ほどHOT TECHで詳しく紹介しますが、《洗脳センノー》は「クリーチャーを出た後でどうにかする」のではなく「クリーチャーをそもそも出すことができなくし」ます。登場時能力さえ使えないこのロックがどれほど強力かは周知の通り。
 GR召喚に対して何もできないことから長らくやや苦しい立ち位置が続いていましたが、幸いにして現在の環境はこの能力が非常に有用。環境トップのデッキに対して軒並み効果があり、他のデッキ群はこのカードへの対処を余儀なくされます。

 さらに、【ガンバトラージョーカーズ】は《洗脳センノー》を守るための手段も豊富。現在の環境では除去の手段をマッハファイターに依存したデッキがいくつか存在します。代表的な例をあげれば【火水自然バーンメア】の《グレープ・ダール》や【ハイオリーダファイブスター】の《オブラディ・ホーネット》。
 これらの除去手段から、《全能ゼンノー》、または《オケ狭間 寛兵衛》や《ウォッシャ幾三》らのブロッカー・ガードマン能力でガッチリガードできるため、見た目以上に《洗脳センノー》の対処は困難です。これらがセットで並んでしまえば2ターン、3ターンと時間を稼ぐことも苦ではなくなるでしょう。

 また、構造上の観点からも、このデッキの優位は存在します。

 というのも、現在環境で主流なデッキは3ターン以内の面展開に対処する手段が少ないのです。それなりの速度で着地するマッハファイター持ちは一定数存在しますが、先述の通り《全能ゼンノー》や《ウォッシャ幾三》で攻撃による除去はある程度ケアが可能。テンポ・アドバンテージ面で損せずに盤面を取る手段は《DROROOON・バックラスター》や《“乱振”舞神 G・W・D》などごく一部に止まり、これらもマナ加速や踏み倒し手段を噛ませなければ4ターン目までプレイすることができません。

 現在の環境では3ターン目の《ジョリー・ザ・ジョルネード》を通しやすく、一気に超過打点を生成することによりある程度の受けなら持ち前の爆発力で押し切ってしまえます。これが現在の環境における【ガンバトラージョーカーズ】の優位性ではないかと考えています。
 付け加えるのであれば、大量展開と《タイク・タイソンズ》によるブーストが噛み合えば4ターン、平均して5ターンでの《ジョジョジョ・マキシマム》フィニッシュが狙える点も魅力的ですね。

 ただし、受けはかなり薄めなため、殴り合いになるとやや分が悪くなる事も少なくありません。《終末の時計 クロック》を有しており《G・W・D》や《KAMASE-BURN!》で盤面除去性能に優れる【火水クラッシュ“覇道”】は相手の構築次第ですが概ね不利。【火光ビートダウン】は早期に《奇石 ミクセル》をプレイされてしまうとそれなりに苦しい展開になるでしょう。

 カウンター性能の高い【バーンメア】の隆盛以後、環境はやや後ろ寄りへ移行し、先週末はシールド・トリガーのやや薄い週となりました。今週も【バーンメア】が勝ち残った以上、この傾向は強まりこそすれ弱まることは考えづらいでしょう。
 ジャスキルではなく過剰打点を形成しつつ、様々なメタクリーチャーによって上位陣とも互角に立ち回れる【ガンバトラージョーカーズ】。今週も注目です。

 flatデュエマ工房の方でも対戦動画を上げているので、実際に動いているところが見てみたい方はそちらも要チェック!

HOT TECH

《洗脳センノー》

 環境ぶっ刺さり度No.1の大注目メタカードといえばこのカード!  やはり直接的に「カードを出させない」効果は非常に強力です。

 環境トップの【バーンメア】が起点として使用する《灰になるほどヒート》、《グレープ・ダール》の最速プレイ(4ターン目)を、後手からでも問題なく妨害できるだけでなく、GR召喚後の展開を支える《ダダダチッコ・ダッチー》、《マリゴルドⅢ》をも封殺。
 除去の大部分をマッハファイターに依存しているこのデッキは《ウォッシャ幾三》や《全能ゼンノー》と並んだこのカードを対処するのに非常に骨が折れます。バウンスで直接どかしてもさほど意味がなく、バウンス+マッハファイターで頑張ろうとすると9マナ要求。そこまで時間があれば十分に勝ち筋に辿り着くことができるでしょう。

 他にも、

・【火水自然闇ドッカンデイヤー】

 《ヨミジ 丁-二式》と《マリゴルドⅢ》、《りんご娘はさんにんっ娘》など。《ドッカンデイヤー》の2枚目を引っ張り出す手段が大きく制限されるため、1枚の《ドッカンデイヤー》から勝てるほどまで手札を貯め込むか、《ヴェール・バビロニア》を立てておくなどの工夫が必要となる。

 定番ルートである「《“魔神轟怒”万軍投》で《デイヤー》切って《ヨミジ》からループイン」のパターンが封殺される。

 《シ蔑ザンド》などを複数回使えば対処できなくはないが無限ループまで持っていくにも《デイヤー》1枚で達成するのはかなりハードル高し。

・【生命と大地と轟破の決断コンボ】

 言わずもがなメインの勝ち筋である《生命と大地と轟破の決断》封殺。安定4killが基本なので後手からでも間に合う。《オブラディ・ホーネット》での除去には《ゼンノー》、《ウォッシャ》で回答可能。
 《DROROOON・バックラスター》を採用していることの多い【ネイチャーヴァイカー】は一定の耐性があるものの、それ以外の構築ではかなり対処が困難。

・【火光ビートダウン】

 超次元軸、《サンマックス》軸、《レッドゾーン》軸には一定の効果アリ。ドローに手厚いデッキではないので噛み合うと抜け出しづらい。ただし、《バックラスター》や《G・W・D》を採用する余地のあるデッキであるため過信は禁物。

 などなど、現在環境の上位に居座るデッキ群に対して、幅広く一定以上の効果を期待できます。

 除去耐性があるわけではないのであくまで時間稼ぎが本領であり、使うのであれば攻めっ気の強いデッキが望ましいですね。色マナがタイトなので雑に入れて強い、というわけではありませんが、もしかすると【バーンメア】側が取り込む可能性もあるやも?

 今後の入賞デッキリストでの採用例にも注目していきたいカードですね。

今週のメタゲーム予想

 あまりメタゲームに変動がなかったため、当社比あっさりめでお送りした今週のメタゲーム・ウォッチング。

 【バーンメア】の隆盛は引き続き継続しそうですが、偏りすぎたメタは間違いなく歪みを招き、そこに新たなデッキが付け入る隙が生じます

 【バーンメア】がミラーを出し抜くために墓地メタを減量して、その隙をついた【カリヤドネ】や【墓地ソース】が復権、というのは最も手近にあり得そうな未来です。
これらのデッキは今でこそ標準搭載となった墓地メタに押し出されていますが、それさえいなくなれば環境の上位デッキに対してはかなり有利な部類。十分に活躍できる土壌は整っています。

 また、【ガンバトラージョーカーズ】は大きく注目を集めたため、引き続き強力ではあるもののやや動きづらくなりそうです。
 わかりやすいのは直接的な除去が増量されるパターンでしょうか。環境全体を通して「中盤に盤面を作る」デッキは少なくない数に登っており、以前と比べて除去は腐りづらくなりました。先週に引き続いて、《G・W・D》や《バックラスター》は要注目カードです。

 【バーンメア】一強とも言える現在のメタゲームは、もはや環境末期の様相を呈していますが、このプールとの付き合いはまだもうしばらく続きます。このまま書くことがないのは筆者にとって死活問題ですので、何らかのブレイクスルーの登場に期待がかかりますね。

 今週のメタゲーム・ウォッチングはここまでとなります。それではみなさま、良い週末を!